スズメの子は、元気でいるだろうか?
この春、わが家の玄関は殊の他賑やかだった。小鳥たちが朝な夕なにチュンチュン出たり入ったり。彼らは忙しくパタパタと杉山の方に向かって飛翔しては少しすると舞い戻ってきて再び玄関の梁の上に潜りこむ。そんな鳥たちが二羽。下からはよくは見えないが、きっと巣を作ってるんだろう。わが家の庇の下は例年夥しいクモと、時折アシナガバチなどの活動的な居住地になることはあるのだけれど . . . 本文を読む
扉を開けるなり、語気強く私は問い質した。「誰がハラヘリストだっ?」
「ボクッ!!」と間髪を入れずにアポロが手を挙げる。そしてコンマ1秒の差を置いてミーコとタインが「わたしよっ!」「ボクもだよっ!」と立て続けに叫ぶ。
コマリンとクマはあえて特段語らないながらも、事ここに至れば早晩もたらされるであろう幸せに期待の瞳を輝かせて足どり宙を舞い、暗に強靭たる賛同の意を表現。マスキーは戸の向こうで「アタシもな . . . 本文を読む
すべてが流れ去った空ろな顔で、雨だれの音を聞いた。
水滴が時に細かく、また時に粒となって屋根のトタンを打ち叩く。気まぐれの風にあおられて右へ左へと揺れながら。肌に柔らかな風のせせらぎを感じさせるような、爽やかな雨だった。
4日間に及んだ田植えは終わった。今となっては思い起こす気力そのものさえないのだが、ただ特筆すべきだろうことは、今年は不耕起栽培に初めて取り組んだこと。田の場合の「不耕起」とは、 . . . 本文を読む
桜をこのまま散らすのはもったいないから・・・
というのは言わずと知れた言い訳。昨日私はお花見をした。ほどよい微風に花の香漂う、うららかさを絵に描いたような春の日だった。
わが家の庭の桜は遅咲きで、他所の桜が散りかけた頃に満開を迎える。だから枝に花だけということはなく、色づいた葉も散りばめられてなんとなく混みあった風にも見えるのだが、咲けばそれはそれなりにとてもきれいだ。まだ家の庇を越えたほどの若い . . . 本文を読む
ふと気がついたら、いつの間にか寝ていた・・・
ということがこのところよく、というか毎日のように、いや正確には確実に毎日ある。
夜にふっと目が醒める。炬燵に横になっている自分がいる(わが家ではまだ炬燵を出したままだ)。ところがいつ寝たのか全然憶えていない。炬燵の上には皿が並んでいるのでどうやら夕食は食べたみたいだ。こんな時いつも気になるのは猫たちの餌なのだが、流しを見るとちゃんと彼ら用の皿が汚れて積 . . . 本文を読む
食後に香り高いコーヒーを・・・と今朝もコロンビア100%の豆を取り出して、コーヒー・ミルに入れた。
蓋を閉めようとして、手を止めた。ふと、何かがそこに「あった」ような気がしたのだ。どうも気になる。念のためミルを持って窓辺に移り、じっと中を覗いてみた。
そこにはやはり、あった。いや「いた」!
可愛らしい8つの目玉をつけたタランチュラの子どもが手足を縮めてミルの軸にへばりついている。色も形も大きさもコ . . . 本文を読む
いきなり目の前を茶色い物体が横切った。それはまるで大リーグの直球投手の抛った球のように、バックホーの車体の下から真一文字に裏庭へと駆け抜ける。それはトラベルモータの潤滑油を抜こうとして六角レンチを回していた私の、寝ぼけまなこの動体視力の端に辛うじて引っかかった。鳥だった。丸こい胴体にぴょこりと首を突き出し尾がすらりと長い。雉かもしれない。続いてそれを目がけて猫のミーコが脱兎のごとく飛び出してくる。 . . . 本文を読む
そば好きの私は、スーパーなどでたまに安いそばを見つけたりすると自然と手が伸びてしまう。わが家でもソバは栽培してるし手打ちそばも作るのだが、なにせ石臼で挽いてそば切りをしてとなると結構な手間なものだし、それに打ったそばは半日も置くともう麺がくっついてひと塊になってしまうので、その都度食べ切るようにしている。そんなこんなで食べる度にそばを打つのが面倒なものだから、つい買い置きの乾麺を食べる時が多いのだ . . . 本文を読む
吹雪の晩を二つ越したら
春も夏も、秋もすっ飛ばして
まんたいきなり冬が来たようじゃった。
このあたりは寒さはしんどいが
雪はそう降らんでな
いっきに膝丈越したのはわしも初めてぞ。
まるで3週間分の雪をまとめてぶちまけたようじゃ。
イヌは喜び庭かけまわるというけんど、
ありゃあ嘘じゃ。スヌーピーは100メートル進んだらダウンじゃぞい。
昨日でかけた猫らは戻りよらん。はよう雪かいてやらんと。
市の除雪 . . . 本文を読む
ある朝、僕は水が飲めなくなった。
昨日まで毎日飲んでいた水だ。料理にも使うし酒作りにも使う。朝晩猫や鶏にもやるし洗濯や手洗いその他、冬にはストーブの上の大きなやかんでいつも湯気を吐いている、わが家の唯一の飲料水、その水が飲めなくなった。誤解の向きもあろうと思うので念のために言っておくが、けして料金を滞納して水道が止められたというのではない。ただ、体が受け付けまいとしているのだ。
この冬は思うとこ . . . 本文を読む
朝方スヌーピーや猫たちと山を歩いたら、木々の枝はどれも若芽を孕み、冬枯れの木立の中に紛れようもない春の息吹が感じられた。先日の大雪ももうすっかり溶けている。風はまだ温かくはないけれど冷たくもない。南斜面の陽だまりにまあるい笑顔で福寿草が咲いていた。今年の春はいつもよりひと月も早くやってくる。
先日来恋に狂うオス猫たちの活動場所が判明した。玄関で餌を食べた後すぐにスタスタと去っていく彼らの後をつけ . . . 本文を読む
久しぶりに雪が降った。
本当に冬らしくない冬だ。いや、もう「だった」と言って差し支えないだろう。太陽もとうに折り返し点を過ぎて、陽射しも刻々と長くなり暖かくなってもきている。しかしわが家では今年雪掻きもしていないし、これは寒い!と思った朝を一度も迎えていない。例年ならば除雪のために活躍するバックホーが、今朝も畑の隅に所在なげに鎮座している。
雪の無い山々は既に春の色に染まり、気づけば梅の蕾も色づ . . . 本文を読む
遠出をした帰りにスーパーに寄ったら、桜肉が売っていた。
「カナダ産、馬刺し用」見た目真紅の霜降のような肉で美味しそう。さすがに高価な値札がかかっていたが、なんとその時は「半額」のシールがぺタリ。手にとってよく見たら賞味期限が今日じゃないか。しかし私はにやりとほくそ笑んだ。すると、あと何日かは保つってことだな・・・
いつか隣りのジッちゃんに訊いたことがある。今まで食べた肉で一番うまかったのは何ですか . . . 本文を読む
先日スーパーに行ったら、保冷品の棚に丸ごとの鶏が並んでいた。どれもきれいな小麦色に焼きあがった調理済み。パックには「ロースト・チキン」と書いてある。クリスマスが近いんだね。ひとつ980円。
昔よく丸ごと料理したっけな・・・と懐かしみながらふと手にとって裏を返す。見えないところに貼られたラベルには、思いの外たくさんの原材料の記載があった。タンパク加水分解物、アミノ酸、香料、保存料、発色剤・・・正直言 . . . 本文を読む
断食7日目。
朝起きたら見事に雪が降り積んでいた。今日は昨日より更に体調がいい。
雪の原を見やりながら、今日は出かけなければならないことを思っていた。車はまだ冬タイヤに履き替えていない。もう少ししたら溶けるだろうか・・・と思ううちに陽が射してきて雪が見る見る解けていく。まだ土の温度がそれほど低くない。ホッとして外出の準備に取り掛かった。猫たちの食材を仕込みに行かないと。
4日ぶりに髭を剃ってGパ . . . 本文を読む