粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

よくわからないイスラム法学者

2015-01-22 20:27:09 | 国際時事

イスラム過激派「イスラム国」による日本人人質事件は72時間後の殺害予告で緊張の極に達しているが、ここへきてあるイスラム法学者の会見が波紋を投げ掛けている。中田考元同志社大学教授が外国特派員クラブで記者会見したが、その内容には首を傾げてしまう。この法学者はイスラム国の幹部との個人的なパイプがあることを示しながら、一つの提案をしている。

国際赤十字、中東地域では、赤新月社と言われていますが、ここはイスラム国の支配下のところでも人道活動を続けてきていると聞いております。

ですので、私の提言といたしましては、イスラム国の要求している金額、これはあくまでも日本政府の難民支援に対して、それと同額のものということですので、これを難民支援、人道支援に限るということで赤新月社を通じ、そしてトルコに仲介役になってもらって、そういう条件を課した上で、日本はあくまでも難民の支援を行う。

イラク、シリアで犠牲にがなっている人たち、その家族の支援を行うという条件を課した上で行う。これが一番合理的で、どちらの側にも受け入れられるギリギリの選択じゃないかと思っています。

要するに、イスラム国が一応支配しているシリア、イラクの難民キャンプに対して2億ドルの支援を行う。これをイスラム国が日本人人質解放のために要求している2億ドルの支払いの条件としてイスラム国側に認めてもらう。

そうすることで「イスラムとイスラム国のイメージをよくする」ことになるとまるでイスラム国にメリットになるような主張だ。

どうも、この提案はイスラム国が人道に理解を示す文明国と誤解しているといわざるを得ない。これまでの残忍きわまる恐怖統治をみればわかる。また、こうした国内の難民キャンプは、国内とはいってもイスラム国の完全な支配下にあるとはいえない。反イスラム勢力が一定の勢力を持っている地域であるといえる。

だから、これらの地域に2億ドルを支援してもイスラム国側が承認するはずがない。まして、イスラム国が要求する2億ドルの「合理的」な使い道とはなりえないし、「イスラム国イメージアップ」になると考えていないであろう。もし、トルコを通じて、「2億ドルを国内の難民対策に使ってください」とイスラム国に求めても所詮は自分たちの勢力拡大のための軍事資金に利用されること必定だ。

どうも法学者はイスラム国を過大評価している反面、安倍首相の中東政策には非常に批判的だ。特に今回安倍首相が訪問先にひとつにイスラエルを選んだことは「アメリカとイスラエルの手先」と中東では見なされ、人道支援を表明しても理解されないと断じている。

実際、こうした提案を批判された安倍政権が同意するはずもないだろう。そしてこの人質事件の結末は現状では非常に厳しいものになることが懸念される。72時間後刻々と迫り、それ以降の状況も紛糾が続く。


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