粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

世紀のミスが勲章に

2014-12-20 17:37:41 | 一般

元NHKアナウンサーの生方恵一氏が死去した。81歳。東京新聞の報道で〈生方恵一さん死去 紅白司会で「ミソラ」〉、とある。そう、このアナウンサーでまず思い浮かべるのが紅白の「世紀の大ミス」である。1984年の紅白歌合戦で司会を務めたものの、出場歌手の都はるみを間違って「ミソラさん」とよんで番組終了後世間でこれが大きな話題になった。あのとんねるずの石橋貴明が直後の他局の番組でこのしくじりをネタにしていたのを記憶している。

当時NHKは間違えた「ミソラ」こと美空ひばりとは冷戦状態にあった。ひばりの弟が暴力団に関わっていたことを問題にして、ずっと以前から美空ひばりは紅白から閉め出されていた。これにひばりは強く反発していて弟の死去後もNHK憎しの怨念は変わらなかった。

いわば、「美空ひばり」はNHKでは禁句になっていた。しかし、NHKのベテランアナウンサーがよりによって、紅白というNHKの最大の看板番組で「ミソラ」を口走るなど大事件であった。それ以来この生方アナウンサーは東京新聞の見出しの通り「ミソラ」と世紀の大間違いをした人物として広く定着したが、逆に知名度を一層あげたことは確かだ。

ただ、この大ミスが災いしたのか生方氏はまもなく、NHKを退社してフリーアナウンサーとして民放の歌謡番組で活躍することになる。世紀の失敗を逆手に使って活路を見出す逞しさには敬服する。まさに「失敗は成功のもと」というべきだろう。確か、その後の歌番組でNHKの失敗を生方氏が茶化しながら話題にしていたのを記憶している。

もちろん、普段は立て板に水のごとく、アナウンスをしている人が偶々一番大事な時にミスをするから注目されたはずだ。これが日常凡ミスを繰り返す民放の女子アナならさして話題にならない。世紀のミスが生方氏には勲章になったといえる。自分自身も大ミスが勲章になる位、人生の技を磨きたいと思うが、凡人の無い物ねだりにしかならないのが悲しいところだ。

 


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