粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

報ステの捨てぜりふと福島県医科大の満額回答

2014-03-14 16:12:49 | 反原発反日メディア
こんな時期になぜかテレビ朝日「報道ステーション」が福島における甲状腺の県民検査のことを特集していた。放送後の反響は大きく、特に煽りネタが枯渇していた反原発陣営は「よくぞ放送してくれた」と狂喜乱舞だ。
 残念ながら、当日その放送を視聴できなかったのでネットで調べてみた。番組の動画こそなかったが、ある反原発ブログがその内容を克明に書き下ろしていた。やはり、県立医科大主導による県民健康管理検査の報告内容と検査態勢を批判的に捉えていて、県内の母親、医師の声を伝えチェルのブリの研究機関まで取材する。果ては県民健康管理検査を中傷して逆に抗議された毎日新聞記者まで登場させる「禁じ手」を使う始末で、その偏向報道には呆れる。 
番組でのポイントは主に2点だ。一つは、検査態勢に付いてだ。すなわち検査が福島県立医科大学のみに委ねられて他の病院は「排除」されている。その方法も機械的すぎて「流れ作業」のようであり、結果の通知も十分な説明もなく2行の文章で「検査しません」などと簡単過ぎるということだ。 
もう一つは、検査報告で原発事故との因果関係を否定している事に対する疑問提起だ。県立医科大の鈴木教授はチェルノブイリ事故では4、5年たって甲状腺がんが増えだしたのであって、それ以前には原発事故の影響をみられず、福島でも同様だと説明している。しかし、番組ではウクライナの研究機関の担当者にこれに疑問視する発言をさせる。すなわち、当初エコー検査のような高度な医療診断で大掛かりなスクリーニングが行なわれず「触診」という簡単な方法であり、対象も散発的で正確なデータになっていないということだ。
 番組のトーンが県民健康管理検査批判に染まっていて、弘前大学教授らによる独自の試みも「横やりが入った」との証言が飛び出す。最後は心ある福島県民の間では「県民の敵」とも囁かれている毎日新聞の日野記者を登場させて駄目出しさせる。 「私が着目したのはその(県による)情報の管理ですよね。非常に、情報の公開度が低いというレベルではない程の情報の管理。」「自分たちで情報を独占して評価は全部自分たちでやる。それはもう、被ばくの影響はやはりない、という事を前提にする。で、結論を付けられるという事が可能になるのだと思います、このシステムだと」福島県民の安心を担保しようとする県の努力に難癖をつけるこの人物の底知れぬ反福島感情にはやり切れなさばかりが募る。
 締めはスタジオの朝日新聞論説委員とメインキャスターのコメントだ。 恵村論説委員「『被ばくで甲状腺がんになるには何年もかかる』という通説ですよね。これに私自身が捕らわれていたなという事にVTRであらためて気付かされました。 で、3つの事を思ったんですね。ひとつは、被ばくによる子どもの甲状腺への影響についててあまりにも少ないという事なんですね。…二つ目は、被災者が100人おられれば100通りの悩みがあるという事なんですね。… それから三つ目は原発がひとたび事故を起こせばですね、本当に多くの人に苦労を背をわせるという、原発の罪深さすね。原発再稼働というものに対する根本的な疑問にもつながってくると思います。」
 この朝日記者、最後はやはり「再稼働反対」に言及して反原発の本性がむき出しになる。
 そして古館キャスター「「放射能っていうのは恵村さん、人間関係にひびを入れますね。」放射能恐い、原発憎しといった彼特有の情緒、本音が飛び出す。これまた反原発人間によくあるパターンだ。 
残念ながら、二人の肉声をリアルタイムで聞けなかった。書き下ろしを読むとどこか「捨て台詞」に思えてしまう。反原発の嵐が過ぎて世論が事故を冷静に見つめ始め、原発再稼働が規定の事実となってきた今、番組には焦りさえ感じられるのだ。
 話は変わるが、この報道に関して福島県立医科大学の担当部署から番組に対する反論が出された。 たとえば県医科大主導の検査について「判定については実施医療機関によるばらつきをなくし、精度を維持管理するため、放射線医学県民健康管理センターにおいて複数の甲状腺専門医による『判定委員会』を開き、検査データを確認しながら判定を行っております。」などと県の一斉検査の性格を示し、理解を求めている。
 また原発事故との因果関係でも「チェルノブイリでは放射線の感受性が高い0~5歳(被ばく時年齢)の層に多くの甲状腺がんの方が見つかったのに対し、福島では現在のところ、その年齢層には甲状腺がんの方は見つかっていないこと。甲状腺がんの発見率に地域差がみられないこと。このようなことを考え合わせ、現在見つかっている、甲状腺がんと診断された方については福島第一原発事故の影響によるものとは考えにくい」と年齢や地域でのデータによって事故とは関連付けられないことを明言している。
 その他番組で提起された疑問にことごとく明快な反論をしている。いわば福島県医科大の「満額回答」になっており、報道ステーションもこれには沈黙してしまうのではないか。震災3年目の報道にこんな特定イデオロギーや情緒を先行させる姿勢には問題が多過ぎる。

コメントを投稿