粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

反原発旗手の白旗?

2013-08-20 09:24:22 | 煽りの達人

池田信夫氏のブログを読んでいたら、一昨年の原発事故以来反原発論陣の代表格である小出裕章京都大学助教がこれまでの事故評価を180度転回するような見解を示したという。

特に国連科学委員会やWHOの調査によれば、福島事故の放射線による死者は出ないこと、石炭の健康リスクは原発よりはるかに大きいことについては彼も同意した。

数行の記述だけなので小出助教が池田氏にどのような意見を述べたのか詳細はわからない。しかし、「低線量被曝も健康被害はおろそかにできない」と小出助教があれだけ強烈に論陣を張っていたのは一体なんだったのかと疑念を抱かざるを得ない。

国内の専門家による小出批判には、正面切って応じず黙りを決め込んでいても、国連のような権威のある機関や委員会にはさすがに反駁する気力はなかったのだろうか。9月には国連科学員会の詳細な報告書が公表されるといわれる。その公表をまたず白旗を挙げたということだろうか。

原発事故直後は威勢がよかった反原発論陣は、次第に彼らにとって不都合な真実というべき医学的事実、資料が次々明るみに出るに従い、その勢いを失っていく。もはや主要なメディアも彼らの主張には関心を示さない。事故直後の狂乱というべき反原発報道は一体なんだったのか訝しく思い出される。

武田邦彦中部大学教授などは、国連の報告など信用できないといい、「年間1ミリシーベルト」危険説を相変わらず唱えているが、その根拠を全くいってよいほど示していない。地方都市の講演で持論を吐露しているようだが、どうも反原発に固執している人々のための慰撫でしかない感じがする。

「反原発三羽がらす」の残りの一人である広瀬隆氏も最近あまり目立った動向が見られない。週刊誌の連載は続いているようだが、インパクトは皆無といってよい。

このように反原発論陣は「総崩れ」の様相を呈している。しかし、国民の間に原発認識が十分「開眼」したかといえばさにあらずだ。原発事故直後の「放射能恐い」といった素朴な感情はなかなか消えることはない。ある種トラウマのようになって国民全体の空気を覆っていることは確かである。如何せん人間は感情の動物である。これからは、いかにこのトラウマから国民を解きほぐすかということだ。もちろん、原発や放射能が全く無害で安全というつもりはない。扱い方によって危険になりうることも理解しなければならない。つまりよくいわれることだが「正しく恐れる」ことこそが大切である。

原発事故から2年半、そんな冷静な着眼で見直す段階に入ったといえる。それにしても小出さん、今後はそんな「正しい理解」に一役買ってくれないだろうか。過去は過去として。


1 コメント

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「意外に一致点があった。」「については彼も同意した。」 (お茶。)
2013-08-23 19:02:51
最大の強敵を論破した割には控えめな記事ですね。討論全体を見てみたいものですね。

汚染水や関連死など何一つ解決が見えない中で、何が貴方を満たしてはしゃがせているのか、興味がありますが、たぶんまあ「論理のすり替えだ!放射能は安全だったじゃないか」と言う点でしか、この悲劇への関心はないのでしょうね。(あるいは喜劇といっておくべきか。)

>統合型高速炉
別に革新的なものでなく、核燃料サイクルをコンパクトにまとめて一箇所で完結させて、コストを抑えると言うのが主眼ですよね。
確か池田氏は、核燃料サイクル自体を経済面で見限っているはずですが。

>受動的安全装置
べつにIFR固有の話でなく、ナトリウム冷却の話のようですが、それなら常陽やもんじゅはそんなに安全なんでしょうか。研究を続ける数少ない各国とも、ナトリウムの扱いに手を焼いているはずですが。

それに、福島の事故でもとりあえず安全停止装置自体は作動しましたが、その後停電で水の循環が維持出来なくなったことが問題なのは周知ですよね。ナトリウムが安全と言う根拠に、沸点が800度程度と水と比べ高いから、空焚きにならない(なりにくい?)というのが根拠のようですが、原子炉が止まっても核の崩壊熱を抑えられなければ、燃料が2000度をこえて容器を溶かすと言うのが、問題だったと思うのですが、これで安全と言い切れるんでしょうか。まあ私も技術論は付け焼刃ですので、間違っていればお詫びします。

なんにせよ
>伊方原発訴訟で「炉心溶融の可能性は否定できない」とした原告住民の主張は正しく、まさに福島で実証されたのだ。しかし炉心溶融の起こらない原子炉は可能であり、

などと平気で言っている人間は、人としてまともでないし、その記事を引っ張ってきてはしゃいでいる人も、やはり正常とはいえないと思いますよ。
いろんな原発好論者(というかアンチ反原発愛好家)を観察してますが、見ててかわいそうです。はやく現実にもどれればよいのですが。
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