粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

放射能不安を払拭する4つの条件

2015-03-29 14:49:45 | 過剰不安の先

自分の321日のブログでも書いたように、福島県内の放射線量は避難区域とされる場所でも多くは極めて低く、実際は健康への影響は少ないといえる。札幌医科大学の高田純教授も指摘しているように国道6号線で福島を縦断しても被曝は同じ時間搭乗する飛行機内での被曝の半分に過ぎない。

まして避難区域以外の福島の地域は他県とさほど差はなく、全く問題がないレベルである。しかし、いまだに年間1ミリシーベルト説が国民の間を徘徊していて、放射能不安がトラウマのようにくすぶっている。昨年降ってわいたように起こった鼻血漫画騒動で、いかに現実離れし悪意に満ちた偏見がいまだ居残っているかを改めて思い知らされた。

そこでこんな放射能不安を払拭するためには以下4つの条件が肝心だと自分自身考える。

1、専門家による被曝に関する正確の情報の提供

2、政府などの公的機関による積極的な広報・啓蒙活動

3、メディアによる公平で冷静な報道

4、国民の被曝に対する正しい理解

まず、1についていえば、事故後、実は被曝の知識のない「専門家」と称する学者が、マスコミで無責任で勝手な言説を喧伝していた。彼らは、反原発の立場から世間に流布する不確かなデータを頼りに被曝の影響を過剰に吹聴する。これをメデイアが盛んに持ち上げたため一時は反原発の旗手として祭り上げられた。

実際は、福島の事故での被曝量は多い人でも100mSVよりはるかに低く、避難した多くの住民の被曝はせいぜい5mSV程度であることが専門家の調査で明らかになっている。しかし事故直後、こうした正確な情報は横に追いやられ、危険を煽る報道にかき消されてしまった。

むしろこうした専門家は「御用学者」として東電や原子力推進者たちと同類に扱われ糾弾された。事故当時、政府も避難区域とされる場所の実地調査に専門家を動員させることを怠った。その結果、被曝の実態が把握できず、詳細が今でも明らかにできていない。

高田教授が指摘しているように、福島の帰還困難区域とされる場所でも線量が低く、居住できる所も少なくない。これも過去のデータに固執して空間線量という住民生活と乖離した数値をいまだ採用していることが問題だ。大半を室内で過ごす日常生活ではいわゆる空間線量のその3分の1程度の被曝とされている。再度こうした地域での正確な被曝環境を調べて避難区域の区割り自体を再考すべき時期に来ていると思う。

また、一部学者による年間1mSV説が一人歩きし国民ががこれにとらわれて、除染や食品の流通に暗い影を落としている。これがいかに非科学的で偏見にみちているか。今後もっと専門家によって明らかにされることが望まれるし、彼らの出番なのだ。

2の政府広報についていえば、現政府は一応「放射能被曝は軽微であり、健康の影響は少ない」という立場にあるようだ。そのためのリスクコミュニケーションも施してはいるが、まだまだ十分とはいえない。環境大臣が安全性を特に強調したという話も聞かないし、まして安倍首相が率先してその啓蒙に尽力したということもいえない。

汚染水問題で「完全にコントロールされている」とした首相の発言は評価できるが、五輪開催のために口実に使われたと思われるのが残念である。首相にまず当面望むのは、原発敷地内に溜まったタンクの浄化水を早く水で基準以下に薄めて海に放水することを指導することだ。これが福島の安心、日本の安心を国内外の示す第一歩になると思う。

3のメディア報道が一番始末が悪い。メディアの中には反原発の立場に凝り固まって、何が何でも原発再稼働を阻止するために、放射能の影響を誇大かつ意図的に報道しようという傾向がある。被曝を悪用しているといってよいかもしれない。そして、フリージャーナリストと称する人間にもそうした立ち位置の者が少なくない。皮肉をいえば、彼らにとって、被曝で被害がおこらないのでは「困る」のだ。

そんな不純な動機を持っっているメディアやジャーナリストはなんとしても糾されなければならない。ここにきて、ネットメディアが深化してきたのは大きい。これによって従来型の意図的な情報は威力を失いつつある。慰安婦捏造報道を30年も続けてきた新聞が昨年やっとその誤りを認めた。放射能煽り報道をいつ改悛するかが今後のひとつ課題ともいえる。現在のメディアの新潮流によって意外に事態は早く進むかも知れない。

そこでメディアの煽り報道で今年注目したいことがある。福島県が進めている甲状腺検査である。チェルノブイリ事故でも子供の甲状腺がんの発生は4年後から顕著になっている。福島の原発事故からすでに4年が過ぎて県民検査は新たな段階にはいった。これまでの検査結果をもとに今後1年の検査を比較すれば事故による甲状腺がんの影響を調べることができる。自分自身事故の影響は皆無だと信じているが、この1年でその真相がおおよそ明らかになると思う。テレビ朝日の報道ステーションを筆頭に、事故での影響を誇大に煽っていたメディアやジャーナリストにとってはおそらく「不本意な結果」が出てくることを自分自身「期待」している。

最後に4の国民の理解だ。被曝の影響はまずありえないと訴えても一度そう思い込んでしまうとなかなかその考えを排除することは難しい。ある程度長期戦を覚悟しなければならない。それがどれだけ早く進むかは先にあげた、2、3の条件がいかに早くクリアーされるかにかかっている。これが進まないことには事故の本当の解決にならず福島の復興そして日本の復興はあり得ないと考える。