粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

中国の融解

2013-02-06 11:14:31 | 厄介な隣国

中国のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射した問題、中国側の危険な挑発行為が軍上層部のどの辺りの指示によるかわからない。もしたから現場の跳ね上がりということも考えられるが、少なくとも党軍事委員会主席習近平から発せられたものではないことは確かだ。習近平はまだ国家主席、国家軍事委員会主席に就任していない。この3月にやっとこれら要職を兼務するのだが、その隙を狙って軍の特定の立場の者が問題を仕掛けたことは大いに考えられる。

つまり、政府、軍トップの統制が聞かず、同調しない勢力が自分勝手な行動をとっている可能性がある。いまだ政府から日本政府の抗議に対して正式な対応がないのもこれを反映している。もしこうした行為が無秩序におこなわれるとしたら非常に危険な話だ。何か偶発的な行為が日中の軍事衝突にもなりかねない。

習近平が今後どの程度軍を掌握していくか気がかりである。ただもはや昔の毛沢東や鄧小平のように軍に強い影響力を持つトップはいない。そうなると文民支配という確たる法支配が確立していなければならないが、いまだ中国は「人治の国」と言われるようにトップの恣意で動かせられる傾向が強い。法律も支配者の思惑でねじ込まれる。今日の中国の問題は絶対的な指導者がいない反面、個々の部署で権力者が存在し、彼らが好き勝手な行動を取ることだ。地方の省幹部がいて、またその下部にも党の役人が自分の都合で権力を行使する。

中国は一見統制が取れていて、実は内実はかなり緩慢な状態になっているのではないか。最近よく話題になる深刻な大気汚染も、もはや政府トップの統制がきかないことによる弊害といえる。おそらく、言論統制も実際は我々が思うほど強固でないだろう。統制の弛みは全体的には日本などの近隣諸国に悪影響を及ばしかねない。特に軍事関係や環境問題についていえる。ひとつだけ救いがあるとしたら、言論統制がより緩んで中国全体が開かれた国になっていくことだが、今後それはどのくらいで進行していくのか注目ではある。。