来月2日公示の衆議院選挙に向けて、各党が政権公約を打ち出しているが、原発政策では与野党で再稼動を巡って判断が明確に分かれている。自民党、公明党、次世代の党が安全性を確保した上で再稼動は認める。維新の党、共産党、社民党、生活の党は最初から認めない。民主党はまず避難計画を厳格にした上で判断すべきという条件付きだ。
次世代の党以外のほとんどの野党が再稼動を認めず「脱原発をめざすべき」だとは声高に主張している。しかし、考えてみれば、民主党政権時代に原発はストップしてすでに「脱原発」は実現しているのだ。昨年7月から新しい安全基準の下、審査が行なわれているが1年経って九州の川内原発2機がやっと再稼動にこぎつける段階に入った状況に過ぎない。
規制庁は安全審査をもっと効率化してスピードアップを計るようだが、1年でせいぜい2原発計4機程度しか再稼動は進まないだろう。つまり福島の原発事故以前の稼働率にもどるのは最低でも10年は掛かってしまう。現在原発に変わって天然ガス、石油、石炭といった火力発電が日本の総電力の9割を占め、残り1割が再生可能エネルギーである。ただし、そのうち大半が既存の水力発電であり、太陽光や風力発電は全体の2.2%程度にしか過ぎない。原発も動かさないで化石燃料の比率を下げたいのならどうしてもひたすら再生可能エネルギーの発電を増やすしかない。
しかし、太陽光や風力発電が全く不安定な電源であり、それを補完するためには火力発電の助けが必要だ。例えていえば、学校を卒業して社会人として即戦力になって欲しいのに、いつまでの親の脛をかじる自立のできない新成人のような存在である。そんな出来の悪い?息子に日本の将来を任せるわけにはいかない。いつまでも火力の「脛」をかじって甘やかすほど、日本という家庭は裕福ではない。
やはり、仲間の一人が偶々事故ってしまったものの、即戦力のプロ職人の存在=原発は必要不可欠である。確かに原発事故での影響は大きかったが、現在見るところ事故は津波による電源喪失という極めて明確な原因であるようだ。同じ東北でも福島第二原発や女川原発は津波での被害はなくほぼ無傷であったことを考えれば、自分には今の日本にとって原発即危険と決めつけるのは短絡的過ぎると思う。
したがって再稼動はともかく反対というのはあまりにも情緒的であり、こうした絶対阻止を唱える政党は現実性を欠いて世論に迎合するだけで無責任としかいいようがない。誰かこれに反論したいのなら、再生可能エンルギーが「安定電源」に直ぐになりうることを証明して欲しいと言いたくなる。