国の安全や外交に関する機密情報の漏洩を防止するために秘密保護法案が今度の臨時国会で提出、審議される。この法案を巡っては、やはりというか、安部内閣の政権志向を支持するか否かで賛否がはっきり分かれるようだ。当然左翼陣営は、この法案が国民の知る権利を侵害するものとして断固成立阻止を唱えている。
法案は、「防衛、外交、安全脅威活動、テロ活動の4分野のうち特に秘匿すべき情報を、各省の大臣が『特定秘密』に指定する。公務員がこれを外部に漏らした場合、最高で懲役10年の刑罰を科す。」(日経記事)というものだ。これに違反した者は最高刑で懲役10年が科せられる。
そんな中ある有名女優がこの法案に「疑問」を呈し自分のブログに書き綴っている。藤原紀香、日本人誰もが知っている美人女優であるが、そのブログを読んで少し違和感を覚えた。彼女が「知る権利」を阻害する例として原発問題をあげていることだ。
放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)
…原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。
彼女がブログ中に2回も原発問題に言及するほど、この問題に関心があるとは自分自身不勉強のせいか想像していなかった。ただ法案が原発問題を想定しているかは疑問に思われる。
法案は「防衛、外交、安全脅威活動、テロ活動」が機密保護の対象となっている。原発に絡んできそうなのはテロ活動だけではないか。つまり、国内の原発が内外の反日勢力によってテロの脅威にさらされることだ。これを阻止すべく国はテロ対策に万全を期すが、それにはテロリストに知られてはまずい機密も存在するだろう。しかし、あくまでもテロ対策に限定したものであり、彼女がいう放射能汚染や被曝はあまり関係がない。こうしたことは、原子力規制委員会で公開で審議され再稼働前に住民説明会でもオープンにされる。国家機密にはなり得ない性格のものだと思う、
さらに日本ペンクラブも法案反対の理由として原発問題を例に挙げて意見書を出している。
例えば原発の安全性に関わる問題は、原発に対するテロ活動防止の観点から「特定秘密」に指定される可能性がある。しかしそうした情報の漏洩(内部告発)や取得(取材活動)が処罰されることになれば、国民は政策選択における必須の重要情報を知る機会を失うこととなりかねない。
テロ対策が拡大解釈されることを懸念しているが、どうも先ほど理由で過剰反応の印象がある。情報によると最近の世論調査ではこの法案に国民の63.4%が支持しているようだ。公務員や取材者が処罰の対象ということなので、大半の国民には実感が薄いこともあるが、この数字は予想外に大きい。
おそらく法案反対者は、国民には敏感な放射能汚染という原発問題を例に挙げれば国民に訴えられると考えたのかもしれないが、その思惑は外れているようだ。思うに最近になって国民の間に国の安全保障や防衛について問題意識が高まってきたことも背景にあるのではないか。近隣諸国特に中国との領土を巡る厳しい現実が国民を目覚めさせたともいえる。
最近のアメリカはシリア問題でも見られるように世界の警察として存在感を失いつつある。近年国防費が大幅削減されて、嘗てのように日本はアメリカの核の傘に寄りかかるわけにはいかなくなってきた。
安部内閣は最近日本版NSC(安全保障会議)の創設も検討しているようである。日本の安全保障は自国で再構築しアメリカとの新たな同盟強化もはかる。そのためには国家機密になるものはしっかり守って同盟国ともきっちり共有する。そのためにもこうした秘密保護法のような法整備が必要ではないか。多くの国民の間にもそんな意識が芽生えているのように思われる。自分自身、それが日本の安全保障には欠かせない条件だと考える。
それにしても藤原紀香の問題提起は唐突な印象がある。彼女の自然な政治感覚からなのだろうか。どうも誰か思想性の強い人物の影響があるような気もする。もしかして新恋人?これは余計なお節介、蛇足でした(>_<)