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粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

細川・小泉演説を聞いて

2014-01-25 17:02:35 | 国内政治

23日、細川護煕元首相が都知事選の第一声を新宿で行った。傍らにはもう一人の元首相小泉純一郎氏がツートップよろしく構えていた。始めに細川氏が立候補の決意を述べていたが、相変わらず脱原発一本槍で、聞いていてどこか生彩がなかった。76歳という年齢は隠しようもなく侘しさが伝わってくる。当然観衆の拍手も望みようもなく、全く盛り上がりに欠けていた。この先どう選挙戦を盛り上げていくのだろうかと他人事ながら心配になってくる。

その点、小泉元首相は往時の派手なアクションは健在で確かにパワーは感じられる。しかし首相時代と比べると発音に明朗さを欠き、それだけ観衆へ訴える力が昔と比べたら弱い。これまた、観衆の拍手がまばらで盛り上がりもあまりない。さすがに老いは隠せない。おまけに細川氏に輪をかけたような「脱原発」オンリーで観衆の反応がまるで伝わってこない。有権者がやはりこのシングルイッシューに疑問を感じている証拠だろう。

小泉氏の演説を聞いているとどうも、彼の原発ゼロを批判する政治家やマスコミへの異常と思える反発や憤怒を感じる。「よくぞ、この俺のことを悪く言ってくれたな」とすごんでみせる感じだ。細川支援の動機がこの怒りの発散ではないかと勘ぐってしまう。ならば、自分で出馬すればよいと思うが、そこまでしない。その辺の本気度が疑われる。

とはいっても細川元首相と比べると、壇上での目立ち具合ははるかに小泉首相の方が上である。どちらが主役なのかわからないほどだ。少し細川氏が哀れに思えてくる。首相当時もあまり精力的に見える政治家ではなかった。今となっては余計生気が感じられない。どうも選挙戦では劣勢が予想される。

「小泉は枯れて流れず細川に」(*当初の句を一部変更)


天声人語の細川候補支持

2014-01-23 13:21:16 | 国内政治

朝日新聞に公平中立を望むのは、いまさら無理ということか。本日23日の天声人語を読むと、都知事選告示の当日にして誰を本音では支持したいかが自ずとわかる内容になっている。(以下引用、前半部分一部カット)

▼先の名護市長選では500億円の札束を見せ、推した候補が負けると直ちに手のひらを返した。カネで心を売れといわんばかり。人には誇りというものがある。みくびるなという反発が出て不思議はない▼かつて梶山氏は「国益なくして県益なし」といった。一方で、県益の最大限の尊重が最大の国益につながるとも。負担の沖縄への集中にもうしわけなさを感じていたことは間違いない。その痛みへの感度が、いまどれほどあるだろう▼地方選に国策の是非をからめるのはおかしいという議論がある。おかしいのはどちらか。沖縄以外の地域には米軍基地が少ない。その現実に各地域の民意が反映していないといえるだろうか。沖縄だけは民主主義抜きでやってくれというのだろうか▼東京都知事選で原発が争点になるのもおかしくはない。リスクを地方に押しつけているという点で基地と同じ構造である。しかも、ひとたび事故が起これば被害はどこにでも及びうる。基地と原発には、どの地域も当事者意識を持つべきなのだ。

「地方選に国策の是非をからめるのはおかしいという議論がある。おかしいのはどちらか。…東京都知事選で原発が争点になるのもおかしくはない。リスクを地方に押しつけているという点で基地と同じ構造である。」という箇所を読めば、昨日の出馬記者会見で相変わらず、「原発問題を最大の政策課題」にしている細川護煕候補を支援している、少なくとも支援したいことはあきらかだ。

日本の新聞は米国の新聞と違ってあからさまに特定の候補者を支持出来ない。選挙戦突入とあらばなおさらだ。しかし、テレビや新聞、あるいはネットで情報を得ている人であれば、「原発を争点にする」人物が誰であるかは常識的にわかる。天声人語もそれを知っていて、巧妙に細川支援へと誘導している。

さらにえげつないのは同時に沖縄名護市長選挙を絡めて展開していることだ。記事内容から、名護市長選挙で辺野古移設反対で現役市長が当選したことを歓迎していることがわかる。その余勢をかってでまさに天声人語が「どや顔」で都知事選へと駒を進めている。

それも辺野古への移設には「カネで心を売る」「リスクを地方に負わせる」という政府の手法が名護市住民の反発を呼んだと指摘し、原発立地地域も実態は同様だと見ている。しかし、どうも「カネを使ってリスクを負わせる」というのは、一面的で皮相的な見方だと思う。

沖縄でも開発が遅れている沖縄北部には辺野古移設を起爆剤に地域振興を進めようとう側面がある。まして、原発立地地域住民がまるで「リスクを地方に押し付けている」と負の部分だけを強調するのは非常に失礼な話だ。日本の経済でエネルギーという基幹部分で支えているという住民の自負はあったはずだ。

それはともかく、今回の知事選で「基地と原発には、どの地域も当事者意識を持つべきなのだ」として、天声人語は原発が都知事選の課題になることを肯定している。しかし、原発政策を唯一の課題にする理屈としては飛躍し過ぎて無理があると思う。

「当事者意識」をもつならば、基地政策も都政の課題に挙げてもいいはずだ。そこを天声人語は巧妙にスルーしている。「都政で原発問題が焦点」という論理の方便にまるで基地問題が利用されているとしか思えない。細川支援になんとかもっていきたいという意図がバレバレである。


田母神候補の支持が断トツ?

2014-01-22 12:02:27 | 国内政治

池田信夫氏のコラムによれば、インターネット放送の言論アリーナという討論番組で明日告示される都知事選を取りあげた。番組の中で視聴者に予定されている候補者の誰を支持するかをアンケートしたところ、田母神俊雄候補がなんと断トツの支持であったという。

田母神俊雄……69.8%

舛添要一………18.0%

細川護煕………7.6%

宇都宮健児……4.6%

もちろん、視聴者は相当偏りがあるし、全国対象だからとても現実の都民世論にはなりえないが、一つの参考になると思う。池田氏が指摘するように「今の段階で、主要な候補者のうち都政についての公約を掲げているのは田母神氏だけで、あとは公約が存在しないという前代未聞の選挙だ」ということによる。

特に細川候補の低い支持率は「原発ゼロというスローガン」だけによるが、池田氏は「出馬を見送った方がいい」とまで言い切っている。一部マスコミが原発ゼロは都政の重要な課題だと援護射撃しているようだが、少なくともネットでは通用しない論理である。

さて都知事選の行方はどうなるか。ネット支持の勢いで田母神候補が大化けするか。そんな折、田母神氏を応援していたデヴィ夫人があるテレビ番組で「出演者の女性を放送中に平手打ちした」ということが話題になっている。これまでの動画を見ると田母神応援で登場する唯一の有名人だが、このスキャンダルでデヴィ夫人の応援は難しくなるかもしれない。

強面の田母神氏だから、どうも女性票に難がある。そのためにも陣営に華になる女性が欲しい。田母神氏の印象からするとどうしても演歌系になりそうだ。坂本冬美あるいは天童よしみでもよい、か。あばれ太鼓のメロディーで田母神さんがさっそうと登場?


痛快!石原発言

2014-01-19 15:48:41 | 国内政治

田母神俊雄氏が都知事選のための事務所を17日開設し、そこで記者会見が行われた。しかし、この日の主役は応援で同席した石原慎太郎日本維新の会共同代表であった。

まず、細川候補を維新の会の一部党員が支援している動きについては、石原氏は小泉元首相の細川支援にも言及してこう言い放つ。

「相手の言い分を聞いて候補者を比較して選択すべきだ。この期に及んでオリンピックを返上するとか、原発の問題でも小泉もそうだけど、単発的で、物事を複合的に考えない人間を私は選択愚かとしか言いようがない。

類は類を呼ぶていたらくだ、あの二人のコンビネーションを見たら。電力は経済の血液だからね。」

「ていたらく」「愚か」といった歯に衣を着せぬ「石原語」が飛び出す。小泉元首相に対しても容赦ない。また「複合的に考えない人間」というのは鋭い指摘であり、国政に関わる政治家への最大限の警告にも思える。

再度朝日の記者から細川出馬と小泉元首相の支援について問われて、田母神氏が「(小泉氏の支援は)まあやめた方が方がいい」と答えたのに続いて石原氏も細川・小泉批判が炸裂する。

「同感ですね。ものを複合的に考えない人間は愚かというしかいいようがない。センチメント(情緒)にかまけてものをする、後で臍を噛む。恋愛と同じなんですよ。

あんな男、あんな女と結婚して酷い目に遭う、周りが何を言っても惚れちゃって結婚して後になって臍を噛むことは多々あるわけだ。

やっぱり原発の問題もセンチメントだけで判断したら後になって取り返しのつかないことになる。お二人とも頭を冷やした方がいいんじゃないの。」

石原氏は、細川元首相ばかりでなく、この小泉元首相の言動にもよほど腹に据えかねているようだ。一時は評価していた時期もあったが。石原氏にとって今冷やすべきは原発の原子炉や燃料プールだけではないのだ。作家だけあって、細川小泉連合を男女の成り行き任せの恋愛に例えるのもさすがだ。

そういえば一昨年の暮れに小沢一郎グループが脱原発の嘉田由紀子滋賀県知事を党首に据えて、日本未来の党を結成して惨敗したのを思い出す。その後嘉田氏と小沢グループが、選挙敗退の責任をなすり付け合って醜態をさらしたことは記憶に新しい。この元首相連合の結末はいかに?

ネット選挙をどう活用についてもそれを評価をしながら既存メディアに手厳しい注文をつける。

「ネットのユーザーというのはあなた方大新聞、既存のテレビ局がつくった世論とは大分違うんだね。

たとえば安部君の靖国神社参拝の賛否両論の時にネットの視聴者の意見は80%賛成なんですよ。こういうギャップはあなた方も考えて論説を張ってもらいたい」

首相の靖国参拝については、自分も石原氏の意見には痛く賛同する。最近テレビや新聞の論調には違和感を覚えるし、国の進路を見誤る懸念をもつ。今後はもっとネットの世論が勢いを増していくことだろう。

場内にどっと笑いがもれる瞬間がいくつかあった。

細川陣営が脱原発のシングルイッシューのまま公約が先延ばしで、いまだに後手後手に回っている状況をどう見るかにつては「「それは候補者の資格がないね、そうしかいいようがない」、細川氏の過去の佐川急便問題を追求するかどうかにについては「あなた方がすることじょないか」と簡潔過ぎる答えだ。シンブルイッシューならぬシングルアンサーか。彼の物言いが何ともシニカルで滑稽だった。

会見を通してどうも見ても石原節が場内を包み込んでいた。あの強面の田母神氏がとても実直で誠実な人間に見えるから不思議だ。(実際そうなのかもしれないが)

田母神氏が会見の最後で「石原元都知事の回答は気持ちよいですね、経験を積んでこうなりたいと思います」と、語ったのが印象的だった。皮肉にも田母神氏の会見でもっとも場内に笑いが起こった瞬間だった。それには石原氏も苦笑いしていた。

自分自身も石原氏の回答は痛快そのものであった。そしてこの田母神・石原両氏のコンビはなかなかおもしろいと思った。ひょっとしたら、結構今後の選挙戦で話題を集めるかもしれない。

それに対抗する細川・小泉コンビ。聞くところによると自民党は小泉元首相に対しては遠慮して敢えて批判するのを憚っているという。彼は今も党内に厳然とした力をもっているようだ。メディアも脱原発のヒーローとして、持ち上げる傾向がある。

唯一小泉批判を堂々としているのがこの石原氏だが、小泉元首相もこれだけ石原氏に言われっ放しということはないだろう。あれだけ頑固で我が強い小泉氏のことだから黙って見過ごせないはずだ。石原VS小泉のバトルが見られるか?


でも、田母神俊雄がいる

2014-01-16 15:54:30 | 国内政治

細川元総理が都知事選に立候補して、まさに政策の焦点も各政党の動きも混沌としてきた。その行方が非常につかみにくい選挙になってしまった。ただ、現在のところ主要なマスコミは本命舛添、対抗細川で持っていこうとする意図がありありだ。

自民党は舛添氏を支援するようだが、かつて当時落ち目になった自民党を捨てて新党結成に走った背信行為に党内の反発は強い。小泉進次郎議員などは「舛添氏は応援しない」と断言している。原発政策でも、安部政権が打ち出した当面の原発維持政策とは微妙に違っている。

しかし、自民党執行部は、選挙戦勝利を優先して過去の経緯は問わないという話だ。どうも場当たり的で姑息な印象が拭えない。他に候補者がいないのか?

いた、いた、田母神敏雄。元航空自衛隊航空幕僚長だ。原発政策も今の安部政権とピタリ符合する。日本人が自信を持てる教育を東京でも目指すという田母神氏の主張も戦後レジーム脱却を唱える安部さんの意向と合致する。災害時に自衛隊が即対応できるシステムを構築するという田母神氏の公約も首相の望むとところだろう。

惜しいかな、この人物、強面の風貌でイメージが強烈過ぎる。思想的にも超保守とみれているようだ。もう既にネットでは「田母神が都知事に当選すると戦争が起こる」なんてとんでもないデマが飛び出し始末だ。

しかし、実際彼がすでに街頭で演説をしているいくつかの動画を見ると、結構ユーモアがあって、柔軟性もありそうで、意外な素顔が見えてくる。「私は危険人物といわれている」とかまして笑わせる。「でも実はいい人なんです。安全パイとでもいっていい、かも」とギャグを飛ばしてまた場内を沸かせる。

政治家が二言目には「官僚支配打破」を口にするが、彼は「官僚を使いこなすことが大事」と現実的なことを言う。かつて5万人の航空自衛隊のトップとして隊員を統率した手腕はしっかりしている。平時の実務能力にも定評があって、部下からの信頼も熱いという。どうも好戦的人物と思われているようだが、現場にいる人間が一番を戦争の起こらないように務めているというのが彼の口癖であってその批判は的外れではないかとも思う。

果たして、都知事選で「田母神旋風」をおこるか。現実問題として厳しいだろう。すぐに大衆受けするというのは難しい。マスコミもまた「敬して遠ざける」という姿勢だろう。応援にはあのデヴィ夫人が駆けつけていた。唯一ともいえる有名人だが、もう少し華が欲しい……。