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粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

サンデー毎日を買って読む

2011-09-21 00:05:36 | 煽り週刊誌

先週は週刊朝日について広瀬隆氏を中心に書いた。今回はもうひとつの煽り週刊誌サンデー毎日を購入(350円)。毎日の人には申し訳ないが、これまでの人生でサンデー毎日を買って読んだ事がない。朝日もそうだが、新聞社系の週刊誌は、大手出版社系と比べて週刊誌としての印象が薄い。実際コンビニには朝日も毎日も売ってない。もちろんアエラもない。週刊大衆やアサヒ芸能はあるというのに。

したがって書店での販売に活路を見出す事になる。サンデー毎日を手にしてまず感じた事は、「主婦」を対象にしている事だ。ライバルは女性週刊誌だ。たとえば特集「お母さんのための放射線汚染対策」の「子供のお弁当は大丈夫?(ウィンナー・ハンバーグ…)」はそのものズバリだ。あるいは「関東・関西私立中・高630校学校説明会スケジュール」といった記事も細かい表にして紹介しているがその一環だろう。

お受験の傾向と対策はともかく、こちらの放射能汚染の報道姿勢は感心しない。悪くいえば放射能で煽いながら、その傾向を分析しその対策として食品選びを念入りに勧める。読んでみると結論は「できるだけ汚染の少ない食品を選べ。できれば輸入品がいい。加工品は産地が不明なものが多くできればメーカーに尋ねるのがよい。むしろ産地がはっきりした生鮮食品を食べた方がよい…」とまあ、陳腐な内容だ。そもそも政府の基準値があるのに放射性物質を含むだけで子供の体には問題があるようなトーンで記事を進めているのがいかにも毎日らしい。

朝日の広瀬隆氏の記事にも登場したが、ここでもドイツ放射線防護協会の子供キロ4ベクレル大人8ベクレルの汚染基準が「専門家」の証言として言及される。自分自身もう一度ネットでその協会を調べてみたが、ドイツの民間の調査期間であり、その協会がただ「提言」しているだけであり、全く政府となんの関係もない。そもそもキロ4ベクレルの精度まで正確に計れる検定機があるのか。事故以前から放射性カリウムは存在する。カリウムの検出が多すぎて多くの食品がクリアできない…といろいろ疑問がわいてくる。毎日と朝日も揃ってこんなうさん臭い協会を世界の常識がごとく得意げに紹介している事自体、雑誌の品位が疑われる。

自分がサンデー毎日をレジで会計している間に、主婦が週刊朝日の在庫の有無を聞いてきた。朝日も同じ路線(主婦対象)といえる。放射能汚染を今一番心配しているのは小さい子供を持つ主婦だろう。自分たちの反原発の主張をこうした主婦を中心に訴え世論を誘導する。おまけに販売の実利も挙げる。こう単純に決めつけるのも問題だろうが、どうしてもこうした煽り週刊誌(アエラを含めた朝日の2誌、サンデー毎日)のいやらしさを感じてしまう。表紙に登場する知性的なイケメン・美女さえうざく見えるのが悲しい。


新しい反原発のシンボル

2011-09-17 05:54:21 | 煽り週刊誌

「週刊朝日」今週号には、もうひとり反原発の旗手、小出裕章京都大助教の証言も掲載されていた。メルトダウンした燃料棒の断片は建物外部にまで及ぶ危険があり、地下水の汚染を防ぐ防壁設置の必要性を説く。ただこの指摘は彼が既に2ヶ月前に警告した陳腐なものだ。

最後に放射能の被害は甚大で福島東部、宮城・茨城・栃木の一部及び東京や千葉のホットスポットを「無人化」するべきだと締めくくる。これも以前から彼が主張していた事だが、地域が微妙に変わっていく。福島県が「福島県東部」に限定された反面、新たに東京・千葉のホットスポットの無人化が加わった。福島が半分になったのは地図を見て福島県の大きさを実感したためか。ともあれ、彼の主張は、以前のものの焼き直しであり新味がない。「煽りの基本」は変わらない

つい最近「東北の野菜は捨てた方がいい」と暴言を吐いた武田邦彦中部大教授を加え広瀬氏、小出助教の反原発三大旗手はひと頃の精彩を失っているように見える。

しかし、ここへきて新しい人物が「反原発」のシンボルに担ぎ上げられそうである。児玉龍彦東大教授である。彼は一般の大学教授に見られない激情型タイプの学者であり、その政府批判は凄まじい。さらに原発事故を非常に深刻にとらえ、熱量で広島原発の29個分、ウラン換算で20個分の放射性物質が放出されたとして物議をかもした。また内部被曝は特に妊婦、乳児、幼児などには危険極まりないと警告した。

ここで、反原発のメディアやジャーナリストが飛びついた。特に母子の内部被曝の件は彼らの絶好の発奮材料となった。つい最近出た彼の著書「内部被曝の真実」はベストセラーになっているようだ。なんと、上杉某が本の推薦文を書いている。大メディアを叩いた結果、ラジオなどのローカルでマイナーな場所で小遣い稼ぎをする自称「真実のジャーナリスト」だが、やっている事は小賢しい茶坊主そのものだ。

児玉教授は放射線医学の専門だが、珍しく放射能被曝に関して危険性を説く異端児のようだ。しかも、感情過多というか、気持ちが表面に表れる。彼の国会での熱情的発言はネットの反原発主義者たちに「感動」の嵐を引きおこしたようだ。

ただ彼には広瀬氏や小出助教のような思想性は見られない。しかも政府を批判するがある意味では除染に全力を挙げるよう「叱咤激励」している面もある。内部被曝の研究にしても長年の実地調査での成果ではなく、あくまでも他者の十分とはいえないデータに基づいているきらいがある。今後児玉教授がどんな活動をし、周囲がどう評価していくかか、今後の興味と課題だ。



広瀬隆改造計画

2011-09-16 00:22:40 | 煽り週刊誌

ふだん原発事故の煽り記事を載せた雑誌は買って読まない。やはり結局は「煽り」でしかないのだからだ。したがって「新潮」や「ポスト」は買っても他は立ち読みですます事が多い。これでいけないと思い、「罪滅ぼし」にまず煽りの雄である「週刊朝日」を購入した(350円)。

やはりこの雑誌で「異彩」を放っているのは広瀬隆氏の連載記事だ。「首都圏の放射能と汚染食品の恐怖」広瀬氏お得意フレーズの「放射能」「汚染」「恐怖」が踊っている。まず放射性物質を含む食品基準で日本の甘さを指摘している。ドイツ放射性防護協会が食品で子供はキロ5ベクレル以上大人は8ベク以上を規制するように「提言」しているとする。あくまでも「提言」であり、ドイツ放射性防護協会がどんな組織かネット検索でも釈然としない。測定機械もまだ精度的にキロ25ベクレルが限界のものが多い。

次にあの福島の爆発では高温だったため「プルトニウムやストロンチウムがガス化して大量に放出されたと、私は考えている」としている。「考えている」ではこれも弱い。5月のNHKテレビで実際に学者たちが福島の土壌を調査した様子を報じていた。プルトニウム自体は60年代に世界の核実験で大量にばらまかれ、日本全土の土壌には今も微量ながら検出される。学者の調査で原発の敷地に隣接する土地で他の地域と比べると若干プルトニウムの量が「数割」は高く、これは原発事故によるプルトニウムでないかと判定した。ただもともと微量なものが若干増えただけで問題にする数字ではないとし、今回の事故で「不幸中の幸い」は核種がヨウ素とセシウムに限られたことだと結論づけている。つまりプルトニウムもストロンチウムも放出は無視できる程度だったのが実情だ。

次に東京の土壌汚染に移る。市民グループ「放射能防御プロジェクト」が行なった首都圏の「植え込みや庭、公園」の土壌汚染の調査結果をもとに持論を展開する。また例の「市民グループ」だ。「植え込み、庭、公園」と限定するもの腑に落ちない。ここで検出されたセシウムは、東京を例にとると1平方メートルあたり3.7万ベクレル~18.5万ベクレル。「チェルノブイリ事故での汚染区域の第4区」に該当し避難こそないが厳重な健康管理が必要だとしている。

算定方法に疑問が残るが、ここは百歩譲ろう。植え込みあたりでは放射性物質が蓄積し高いところが出るのは事実だろう。しかし問題は放射線医学の専門家が指摘するように「ベクレル」ではなく「シーベルト」つまり体に与える影響だ。汚染の土壌を食べて内部被曝するのなら別だが、そんな事はありえない。土の中に住むモグラさえそんな事はしない。植え込みは確かに放射線は若干高いかもしれないが、路上生活者さえそんな場所に長時間いない。東京では日常の生活で問題ないというのが大方の専門家の見るところだ

その矛盾に気づいたのか、突然「壮大な食料安保』に慌ただしく移る。「幸いな事に日本列島の背骨には山があり、日本の分水嶺となった」ことで日本海側の地域は汚染度は太平洋側より低い。その地域の食料供給を期待したいのだが、そこには北海道泊原発、新潟刈場原発があり、九州には「農業県」佐賀と鹿児島にそれぞれ玄海原発、川内原発があると論を進める。ここで彼の結論が見えてくる。日本の食料安定政策のためにも原発再稼働反対、そして即廃炉すべきだ。野田内閣が腐敗した「原発マフィア」と結託して再稼働を企てる事を警戒する。「日本人よ、よく聞け!これから次の大地震と大事故が迫っているのだ。」「日本反原発」教の予言者面目躍如である。

私は講演で鹿児島湾をフェリーで横断したとき、桜島がドーンと噴火する姿を目にして言葉を失った。」理工学部出身らしかぬ文学的表現で結ばれる。地震の恐怖と原発事故の連動。いつか大地震がくるかもしれない。そして大規模な原発事故がおこるかもしれない。最後は反原発派特有のSF的展開。20年後に放射能で癌が発症するかもしれない、でもないかもしれない、というのと同様に。この曖昧さが彼らの強みであり、弱点である。

最近の広瀬隆氏の写真を見ると、往時の面影がなくひどく痩せて見える。まるで放射能汚染の土壌を食べたモグラの妖怪のように見える。失礼!ここは少し養生が必要ではないかと思ったりする。そこでお奨めメニューは娘さんの味噌に加えて、おいしい福島の早場米、福島の新鮮な野菜、脂ののった福島牛、ビタミンたっぷりの福島桃はいかがか。もちろん出荷許可のものだが、疑い深いあなたの事だから、基準以下でもキロ499ベクレルでは困ると言うかもしれない。でも安心してほしい。今では福島でも検出されなかったり、されても微量なものが多いのだから。

6ヶ月すれば見違えるようにふっくらしたつやのある健康なお姿に戻るかもしれない。雑誌の連載も続けてください。今回で25回目ですが、100回と言わずずっと続けて欲しい。ただし「長寿評論家」として、あるいは「美食家」として…。