
真に存在するのだろうか、破壊する時は?
いつ 静かに横たわる山の上で、それは城を打ち砕くのか?
この心、この限りなく神々に属するもの、
いつ それをデミウルゴスは暴戻に滅ぼすのだろう?
私たちは実はそれほど不安におびえる脆い者なのか、
運命が私たちに実証しようとしているように?
根のなかにやどり、未来をひめて、深い
幼時が――のちには――息をひそめてしまうのか?
ああ 無常というあの妖怪、
邪心なく受け容れる者の内部を
それは煙のように通りぬけてゆく。
私たちがそれである者 漂う者として、
しかし私たちは永続する緒力のもとで
神々の使用にあたいするのだ。
(田口義弘訳)
デミウルゴスの原義は「工人」。プラトーンの著作である『ティマイオス』に登場する世界の創造者である。プラトーンは物質的世界の存在を説明するために、神話的な説話を記した。原始キリスト教時代のグノーシス派の二元論によれば、デミウルゴスは感性的世界創造者であって、最高神の下位に立つ。
「無常性」に対するリルケの問いかけには、二重の構造がみられます。頑固に自己を守ることは必ず崩される。山上の城もやがて崩れる時がくる。このようにすべてのものは無常ではあるが、かつ無常ではないと・・・・・・。
破壊に身を委ねながら、滅尽を逃れる道があることが、このソネット全体における暗示ではなかったか?その暗示が「オルフォイス」ではないか?「オルフォイス」は破壊されることによって、もはや破壊されないものへ変容して、純粋に永久に存在する者なのだから。
人間は無常であり、過ぎ去ってゆく者であることは自覚できる。それによって「永続する緒力=神々」のもとで、人間はいくばくかの働きかけができるのだろう。このソネット中の5つの「?」に対する答えとして、リルケはおだやかに最後の言葉を差し出しています。
いつ 静かに横たわる山の上で、それは城を打ち砕くのか?
この心、この限りなく神々に属するもの、
いつ それをデミウルゴスは暴戻に滅ぼすのだろう?
私たちは実はそれほど不安におびえる脆い者なのか、
運命が私たちに実証しようとしているように?
根のなかにやどり、未来をひめて、深い
幼時が――のちには――息をひそめてしまうのか?
ああ 無常というあの妖怪、
邪心なく受け容れる者の内部を
それは煙のように通りぬけてゆく。
私たちがそれである者 漂う者として、
しかし私たちは永続する緒力のもとで
神々の使用にあたいするのだ。
(田口義弘訳)
デミウルゴスの原義は「工人」。プラトーンの著作である『ティマイオス』に登場する世界の創造者である。プラトーンは物質的世界の存在を説明するために、神話的な説話を記した。原始キリスト教時代のグノーシス派の二元論によれば、デミウルゴスは感性的世界創造者であって、最高神の下位に立つ。
「無常性」に対するリルケの問いかけには、二重の構造がみられます。頑固に自己を守ることは必ず崩される。山上の城もやがて崩れる時がくる。このようにすべてのものは無常ではあるが、かつ無常ではないと・・・・・・。
破壊に身を委ねながら、滅尽を逃れる道があることが、このソネット全体における暗示ではなかったか?その暗示が「オルフォイス」ではないか?「オルフォイス」は破壊されることによって、もはや破壊されないものへ変容して、純粋に永久に存在する者なのだから。
人間は無常であり、過ぎ去ってゆく者であることは自覚できる。それによって「永続する緒力=神々」のもとで、人間はいくばくかの働きかけができるのだろう。このソネット中の5つの「?」に対する答えとして、リルケはおだやかに最後の言葉を差し出しています。
もうあと少しでありまするなあ。
はるばるときつるものかなという思いです。
わたしのリルケを読み返してみましたが、自讃は聊か恥ずかしきことなれども、満足満足でありまする。
感謝感謝。
残り2編は下書きだけはしました。
やっと祝杯に近づくぞ♪
では最終2編を頑張って仕上げませう。