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ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

ウォルト・ディズニーの約束

2014-03-27 23:38:12 | Movie



ウォルト・ディズニーの約束・オフィシャルサイト


素晴らしい児童文学の執筆および映画制作の裏には、深い哀しみが隠されていた。
そして「メリー・ポピンズ」のお話は、気難しい女性作家「P・L・トラヴァース」の
頑固なまでの拘りから生まれた。

ウォルト・ディズニーをこれほど手こずらせた女性作家はこの一人だったに違いない。
子供向けと思われる作品は、実は大人の拘りや心の葛藤から生まれていたのだった。


Somewhere Over The Rainbow

2014-02-23 11:41:58 | Movie
Somewhere Over The Rainbow - Judy Garland 1939



「オズの魔法使い」を久しぶりに観た。記憶を辿る思いで……。
そして、この歌「Somewhere Over The Rainbow 」と映画が繋がった。
遠い記憶というものは、時には離ればなれになっているらしい。

「かかし」「ブリキの兵隊」「弱虫のライオン」そしてこの歌がみんな繋がった。

小さいおうち

2014-02-12 13:54:09 | Movie



「小さいおうち・オフィシャルサイト」

原作:中島京子(文春文庫刊)
監督:山田洋次
音楽:久石譲

《キャスト》
布村タキ:倍賞千恵子(老女時代)黒木華(娘時代)
平井時子:松たか子
平井雅樹:片岡孝太郎

板倉正治:吉岡秀隆

荒井健史(布村タキの大甥):妻夫木聡


この映画をどのように評価したらいいのやら?
観終わってからの最初の印象は「黒木華さんはいい女優さんだなぁ。」と。
あたたかい体温と控えめな行動が平井家を底から支えていたという印象だった。
次には「倍賞千恵子さんは見事に老女を演じていたなぁ。」と。

主役は誰か?松たか子演じる「平井時子」ではないような気がする。
黒木華演じる「布村タキ」ではないだろうか?

戦前の豊かな暮らしから敗戦に至るまでの、布村タキを女中として迎えた平井家の
ささやかな事件は、戦後の豊かさが建てた赤い「小さなおうち」のなかで密かに起こった。
「小さなおうち」は敗戦色が徐々に迫ってくることに気付かなかった。
そしてその「小さなおうち」は爆撃によって焼失した。

日刊ゲンダイ・「小さいおうち」原作者・中島京子氏が語る安倍政権の危うさ、怖さ

……に書かれているように、わたくしたちは繰り返し政治や軍事から正確な情報を隠されていたのだと言うことだ。
私たちはそれに気づくべきだ。

キャプテン・フィリップス

2013-12-13 22:15:10 | Movie
映画『キャプテン・フィリップス』予告編


感想はのちほど。

……というわけで、追記します。

「キャップテン・フィリップス・オフィシャル・サイト」



監督:ポール・グリーングラス
脚本:ビリー・レイ
原作:リチャード・フィリップス  ステファン・タルティ『キャプテンの責務・英語版』

製作国:アメリカ合衆国
言語:英語 ソマリヤ語



これは、実際にあったお話です。
2009年に発生した「マースク・アラバマ号」乗っ取り事件で
ソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップスの回想録『キャプテンの責務』が元になっています。

12月14日に観てきました。
からだが震えるほど怖いシーンが続出、それでも逃げ出すことなく、
最後まで観ていられたのは、キャップテン・フィリップスが英雄としてではなく、
一個の真面目で愛情深い人間として描かれていたからでしょう。
「死ぬかもしれない。」と予感した時には、妻に「愛している。」と遺書を書き、
救出された時には、ドクターの前で子供のように震えていた。

キャプテン・フィリップスのコンテナ船「マースク・アラバマ号」は、
私の記憶違いでなかったら、「救援物資」を運ぶ船ではなかったか?
そして、貧しい漁師から、海賊にならざるをえなかったソマリアの若者たち。
富める国と、貧しい国とが一つの海峡で出会うしかなかった。

マーサの幸せレシピ

2013-08-28 21:46:27 | Movie


監督:ザンドラ・ネッテルベック
脚本:ザンドラ・ネッテルベック
製作:カール・バウムガートナー クリストフ・フリーデル

《キャスト》
マーサ:マルティナ・ゲデック
マリオ:セルジオ・カステリット
リナ:マクシメ・フェルステ


公開:ドイツ  2002年4月18日
   日本   2002年11月16日

上映時間:105分

製作国:ドイツ オーストリア イタリア スイス

言語:ドイツ語 イタリア語


マーサの幸せレシピ・オフィシャルサイト


舞台はドイツ、ハンブルグのレストラン。主人公の女性マーサは、ここの天才的なシェフという設定。
ドイツが舞台の料理映画とはなんぞや?と思ったけれど、ここはフレンチ・レストランだった。
さらに、ここにイタリア人シェフのマリオが登場して、人生の味覚はふくよかに広がってゆくのだった。

「マーサ」という名前にも、聖書が背景にある。
イエスがマーサの家を訪問する。
妹のマリアはイエスの足元で話を熱心に聞いているのだが、
マーサはもてなしの料理に忙しい。
マーサは不満を言う。「私ばかりが働かされています。」
イエス曰く「あなたは直面したくない心配事があって、キッチンに逃げ込んでいるのでは?」

マーサは、姉の突然の事故死によって、孤児になった姪のリナと暮らすことになる。
別れた父親とは、なかなか連絡がとれない。事故のショックからリナはなかなか解放されない。
慣れない子供との生活、学校の送迎、食事の支度、に振り回されるがうまくはいかない。
リナは食事を受け付けない。(天才シェフはお手上げ。)
リナは学校でも問題ばかり起こす。

やむをえずレストランの厨房にリナを連れていく。
そこでリナが初めておいしそうに食べたものは、マリオが賄い料理に作ったパスタだった。
トマト味に粉チーズと香草を振りかけただけのものであった。

こうしてマリオは、頑ななマーサの心とリナの孤独をとかしてゆく役割を担う。
いつも天気が悪い、プロテスタント的風土のハンブルグの2人の暮らしに、
イタリア人マリオが温かい光をもたらすのだった。

「幸せレシピ」は天才シェフのマーサに、新たな窓を開いた。
そして、3人で幸せに暮らしましたとさ♪

料理は食べる幸福にのみ存在するのではないのか?

風立ちぬ

2013-07-31 16:19:05 | Movie
風立ちぬ 劇場予告編4分


「風立ちぬ・公式サイト」

実在の人物2人がモデルとなるのはスタジオジブリの長編作品では初めてのこと。
「零戦」を完成させた飛行機の設計技師の堀越二郎をベースに、
同時代を生きた文学者の堀辰雄の私小説「風立ちぬ」の恋人たちを融合させた物語となっている。
「零戦」という死の飛行機を作ることと、新しい技術開発への夢の狭間で設計技師の心の葛藤が描かれている。
さらに、その時代には不治の病とされた「結核」に侵された恋人、そして妻へ。そして死。
関東大震災(1923年・大正12年9月1日11時58分32秒)で恋人と出会い、そして第二次世界大戦の時代を共に生きて、宮崎作品としては珍しく、約30年(二郎の半生)を描いた作品である。

少年時代から憧れた、イタリアのカプロー二(飛行機設計技師)が、時折夢のなかに現れて
彼の行く末を予知した通り、憧れの飛行機設計技師の仕事は、その生きた時代のなかでは
「死の飛行機」である「零戦」が、彼の仕事の最初の成功であったという悲劇の時代であった。


堀越二郎(1903年・明治36年6月22日~1982年・昭和57年1月11日)

堀辰雄(1904年・明治37年12月28日~1953年・昭和28年5月28日)



海辺の墓地  ポール・ヴァレリー


風 吹き起こる…… 生きねばならぬ。一面に
吹き立つ息吹は 本を開き また本を閉ぢ、
浪は 粉々になって 巌から迸り出る。
飛べ 飛べ、目の眩(くるめ)いた本の頁よ。
打ち砕け、浪よ。欣び躍る水で 打ち砕け、
三角の帆の群の漁ってゐたこの静かな屋根を。

  (海辺の墓地・24連より・鈴木信太郎訳)

 
 《付記》

◆N33.風 (♪誰が風を見たでしょう).mp4

映画『舟を編む』

2013-05-28 22:06:23 | Movie
映画『舟を編む』予告編


映画『舟を編む』「辞書が出来るまで」の特別映像



監督:石井裕也
原作:三浦しをん
脚本:渡辺謙作

《キャスト》
馬締光也(まじめみつや):松田龍平
林香具矢(はやしかぐや):宮崎あおい

西岡正志:オダギリジョー
松本朋佑:加藤剛
荒木公平:小林薫
佐々木薫:伊佐山ひろ子
岸辺みどり:黒木華
村越局長:鶴見辰吾

タケ:渡辺美佐子

松本千恵:八千草薫


出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の気の遠くなるような作業が続く。
すごく魅力的な仕事だなぁ。
玄武書房の営業部に勤める馬締光也は、独特の視点で言葉を捉える能力を買われ、
新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に迎えられる。
松本朋佑をトップに、おかしくて真面目(!)な編集部員たちの永い「言葉の海」の航海が始まる。

そして長い年月を重ねて「大渡海」は完成する。
しかし、それは「改訂」へ向けての出発でもあったのだ。
言葉とは限りない旅であった。今まで生きて、わたくし自身がどれだけの言葉を知り得たのか?

絶望的であるなぁ(笑)。

小津安二郎 - 大人の見る繪本 生れてはみたけれど (1932)

2013-05-13 22:32:31 | Movie
小津安二郎 - 大人の見る繪本 生れてはみたけれど/Ozu - I Was Born, But...(1932)


監督:小津安二郎
脚本:伏見晁

《キャスト》
父ちゃん:斎藤達雄
母ちゃん:吉川満子
良一:菅原秀雄
啓二:突貫小僧
岩崎:坂本武

大人の見る繪本 生れてはみたけれど(ウィキペディア)


1932年6月3日公開の、無声映画である。
しかし時代を超えたテーマであって、現代社会にほとんどスライドさせることができる。
名監督の映画というものはこのようであったか!と再確認!

大人のサラリーマン社会における、人間関係の理不尽さは、
子供社会にまで影を落とすが、そこを見事に乗りきったのは子供たちであって、大人の教育の力ではない。
身動きできない大人。
「何が偉いのか?」と、子供同士で問いかけるが、その基準は柔らかだ。

父ちゃん「将来の夢は?」
啓二「中将になる。」
父ちゃん「大将ではないのか?」
啓二「だって、兄ちゃんが大将になるから!」

陰湿な「いじめ」が後を絶たない今日にこそ、改めて見て欲しい。

リンカーン

2013-04-26 16:27:19 | Movie
映画「リンカーン」本予告


映画「リンカーン」特報


『リンカーン』特別映像


監督:スティーブン・スピルバーグ
製作:スティーブン・スピルバーグ  キャスリーン・ケネディ
原作:ドリス・カーンズ・グッドウィン
脚本:トニー・クシュナー
衣装:ジョアンナ・ジョンストン
音楽:ジョン・ウィリアムズ


《キャスト》
エイブラハム・リンカーン:ダニエル・デイ=ルイス
メアリー・トッド・リンカーン:サリー・フィールド
ロバート・リンカーン:ジョセフ・ゴードン=レビット
タッド・リンカーン:ガリバー・マクグラス
ダグラス・スティーブンス:トミー・リー・ジョーンズ

リンカーンのお話はあまりにも有名だから語ることはないのですが、
スティーブン・スピルバーグ監督が、これをどのように映画化したか?が気になるのだった。
映画は、リンカーンが「奴隷制廃止」へ向けて、議会を丹念にその方向へ導く姿を克明に描き出しました。
「奴隷制廃止」がアメリカを二分する戦争にまでなって、それを抑止するには気の遠くなるような策略が必要だったのだな。
さらにリンカーンの家族の、戦時下におけるそれぞれの悲しみや葛藤を愛情深く表現されていました。


リンカーンはアメリカ合衆国の歴史上初の共和党所属の大統領である。
「奴隷解放の父」、有名なゲティスバーグ演説、南北戦争による国家分裂の危機を乗り越えた、
「最も偉大な大統領」と評価される。
しかし、ワシントンD.C.のフォード劇場で観劇中にジョン・ウィルクス・ブースの凶弾に倒れた。
これにより、リンカーンはアメリカ史上最初の暗殺された大統領となった。

しかし一方で、リンカーンはインディアンに対しては強い迫害の姿勢を見せ、
多くのインディアン戦争はリンカーン政権下で行われた。(これは今回の映画にはないのだが。)
これを矛盾と言うべきか?どうかはわからない。
しかし、すぐに思い出すのが、映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」です。
北軍のジョン・ダンバー中尉は、サウスダコタ州のセッジウィック砦へ赴任を希望。スー族との友情を育てたという物語。

さらに「アンクル・トムの小屋(ストウ夫人=ハリエット・ビーチャー・ストウ作)」も思い出す。
当時のアメリカは奴隷解放問題で南北分裂の危機を抱えていたため、大きな反響を呼び、奴隷解放への世論を喚起する一方、
奴隷制の擁護論者からは激しい批判を浴びることになる。
リンカーンはストウ夫人と会見した際、
「あなたのような小さな方が、この大きな戦争を引き起こしたのですね」と挨拶したという逸話がある。

こうして歴史を辿ってゆけば、アメリカという国は、先住民族を迫害し、奴隷として拉致してきた黒人を差別し、
その結果、戦争を続けるしかない大国になったのだなぁ。リンカーン1人ではどうにもならぬ大国なんだなぁ。