塵埃落定の旅  四川省チベット族の街を訪ねて

小説『塵埃落定』の舞台、四川省アバを旅する

康定の広場

2007-10-12 02:41:35 | Weblog
康定には午後2時頃に着いた。
武警賓館。名前のとおり武装警察の宿舎を改造した賓館だ。武警はいろいろなところへ派遣されて、部屋が余ってしまったかららしい。今はインド国境へ行かされる事が多いというが、どうなんだろう。チベットへ派遣されると、肉体的にも精神的にも大きなダメージを受け、戻ってから働けなくなる人も多いそうだ。それでは、特別手当をもらっても割に合わない。
支配人だろうか。なよっとした男が1日中ロビーのソファーに座って、小さなマニ車を回している。
ここは有名な歌「康定情歌」の街。甘孜(ガンゼ)州の州都。今迄で一番大きな街だ。河の両側に街が開けているからだろう。
街の入り口の山肌には、大きな仏像が鮮やかな色で描かれている最中だった。その下をまた、黄土色と青に分かれた河が流れていた。
街ではマツタケを売っている。河沿いにたくさんのテントが並んでいて、すべてがマツタケ売りだ。でも、香りはあまり強くない。
肉は尻尾をつけた塊のまま軽トラックに載せて売っている。子供連れの女性が当たり前のように買って行く。
建物はビルと呼ぶにふさわしく、自由に建てられている。そして、街の中心に巨大な広場があった。片隅には小さな遊園地まである。
今日は子供向けのローラースケート教室が開かれていて、百人はいるだろうか、子供たちが鮮やかな色のヘルメットにプロテクターをつけて、塊になって広場を走り回っている。レースのひだひだのワンピースを着ている女の子もいる。山道を朝から走ってたどり着いた私たちにはとても不思議な光景だ。
ビルの間から、山の中腹に建っているお堂が見える。漢族のお堂に近い木造だ。これも石ちょうに慣れてきた私にはちょっと違和感がある。

主人は面白い題材を見つけ、夢中で写真を撮っている。
私は広場の隅の大きな階段でぼんやりする。
チベット族のおばさんもやはりぼんやり座っている。
ここはどこだろう。都会だろうか。街中がにぎやかで、何でも有りそうだ。でも、流れる空気には、チベット族の香りが少し混じって、のんびりさせられてしまう。



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