eつれづれ管理者(66kV特高変電所、技術者)

電気の出来事を技術者向けに適宜up中。
質問等はコメント欄にて。

雷では対策も無しトホホの波及事故

2019年06月05日 | eつれづれ

2012年新規受電した時の自立設置形(方向性SOG制御装置付)気中開閉器キャビネット。

アクリルカバーも煤だらけ...内部機器も酷い状態。レバーターゲットはあり得ない中間位置。

電力会社にて探索場所特定。

電力PCTも並行して交換(文献を参考にするとOCR過電流強度超過の為...東管協2019.6)。

依頼した電設工事業者がたまたま持っていた新中古の高圧気中負荷開閉器(VT.LA内蔵PAS)を急きょ取替。

爆発した高圧気中負荷開閉器(LA内蔵PAS)。

PASの中身はカバーなど完全に溶けている。

金属、碍子、過電流検知、他溶けてバラバラ状態。特にLA内蔵だったので、これは形すら消滅している。
アレスターなどクソの役にも立たない状態で当然、入り.切りなど不能。
コンデンサ型零相電圧検出装置(ZPD)3個は、そのまま付いている。

方向性SOG制御装置の過電流OCターゲットは表示しているが相間短絡と同時だったのか。

夕方より雷雨となり運悪く雷によるPAS爆発事故となった。
事業所の話によると系統の停電後、約1時間後ドンと音がした話で推測するとPAS相間に数百万Vの??誘導雷の電圧がかかり瞬時に短絡、絶縁ケース溶着して温度上昇、ガス発生、PAS内で圧力上昇、そして限界に達して爆発、大量の煤を吐き出した。
第1回目は短絡による爆発、第2回目は内部ガスの圧力上昇による爆発が考えられる。
何れにしても莫大なエネルギーで扉も曲がった。
PASが有ったので良かったが耐圧試験、受電復旧まで約6時間かかり...そんな事でクソ忙しい中、追加で波及事故の第1報を作成するハメとなった。

赤はコンデンサ型零相電圧検出装置(ZPD)、ピンクは過電流検知、黄色はアレスターか。

これは同じメーカーの(VT.LA内蔵PAS)400AタイプのアレスターとVTが本体の底にある。
第1柱の移設に伴って、そのまま廃棄したもので新規のPASを上げ替えた。
アレスター3本の影も形も無い一瞬で消滅。

雷害でPASが焼損波及事故の場合速報(FAX)の後の詳報の報告は不用となった。
詳報の対象とならないものは台風、高潮、豪雨、津波、地震、落雷、雪等の自然災害に起因する供給支障事故がある。

これはブラックリストにのらない事になるがSOG試験等でVT焼損させ波及事故の場合は人災なのでNG、高圧ケーブルパンク、キュービクル機器パンク他もNG、保守不備となり要注意人物、立入等の対象にリストアップされる。