心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

線と空間と生きることと

2014-11-15 | 前衛・抽象
                     「木簡へのオマージュ -『是』」 写真:洋三先生


2014書TEN(ずずいと下まで記事あります) 出品作。


9点で1つの作品という思いで。全体は⇒ 画像クリックで拡大します 


夏からずっと忙しくて、さすがに体力気力の消耗に負けてしまい
ほんとはまだまだやらねば~なこと満載なんだけど、
今日は無理をしないで1日、ひさびさ~にのんびり過ごしておりました。

珍しくテレビのドラマをボーっと見ていたら、普段はめったに鳴らない家電話が鳴って。
誰かしらんって出てみたら、聞き覚えのある声。

え?え?・・と思っていたら、私の書の師からでした。

今はウィーンに暮らす笛吹花さんから手紙が来て、そこに私から先生の話をよく聞いていたとあり
二人のことが懐かしくなって、思わず電話している、と。

花さんは、拙ブログでも何度かご紹介しましたが、同じ師の下で一時期を一緒に過ごした友人。
当時彼女はまだ大学生だったけど、お互い刺激し合いながら切磋琢磨していました。

彼女は25才で単身ドイツに渡り、現代美術を学びながら作品制作も。

2010年には、現代美術のハンス、スーラージュ、ポロック、ダリ!と並んで
花さんの作品も展示されたりと、今もどんどん活躍の場を広げているようです。
その模様は⇒ここをクリック

師は、花ちゃんからの手紙を丁寧に私にも読んで下さり。
日本を離れて厳しい世界に飛び込んだ時は、今のような自分がいることは想像できなかったけれど
今の自分があるのは、先生が厳しく教えて下さったお蔭だと。

そう読みながら、師は泣いておられた。
私も感極まって涙が止まらなくなり、二人して声をあげて泣きました。

私も、ここ数年封印していた抽象の世界を、昨年からまた探し始めたことで
思いがけずNY展や、銀座のArt Point Galleryでの個展のお誘いを頂いて。

師から教えて頂いた「線と空間」の世界を、私なりに表現していきたいと強く思った矢先、
師からのおことばは、私に更なる力と悦びを下さいました。

私は、なんていうか、自分のために作品を書くというのが苦手というか楽しくなくて。
そこに必ず誰かを驚かせたいとか、喜んでもらえたらというものがあると
なぜか自分も俄然楽しくなって、どんどん書けるようになるのでして。

師の下にいた時もそうだったなぁって、思い出したらまた涙が出ちゃう。

たとえば。
全然お呼びでないのに気付かずに、師と張り合ってこんなの書いてみましたけど~?って
図々しく折本にいろはを5冊位書いて見て頂いたことがあって。

それを捲る師の顔を横目に、先生、今「むむっ」って思ったでしょって心の中でにんまり。
けれど師は、笑顔で「はい、よくできました」とだけ。

で、次のお稽古の時。色んな書体、書風で書かれたいろはの折本をずらーっと並べて
「どうだ、これはできないだろ。引出しが違うんだ。もっと勉強せい」と、また笑顔で。

悔しいけど「く~参りました」と言って、次なる作戦を練り始め。
そんなやり取りが本当に楽しかったし、今も挑戦し続けるエネルギーの元は
あの時の「遊び」のお蔭なのかもと、つくづく思う今日この頃です。


滅相もないことを許容し、一緒に楽しんで下さった稲村雲洞先生。

私の、物の見方や感じ方、書、抽象作品、ものづくり、生き方、譲れないもの、
大事にしたいもの、いらないもの、探しているもの・・
それらの多くは、稲村先生でできているような気がします。

そして、私にとって、私の大好きな木簡は、師とどこか似ているのです。

先月で90歳になられてもお元気に書作に励まれているとのこと、
私も師にまた「はい、よくできました」と一笑して頂けるよう
書も人生も悦べたら~と思いましたとさ 

久々の更新で長々となりまして、おつきあい下さりありがとうございました 



師の米寿記念展福井展の動画見つけました。

なんと、先日のTEN展で私は般若心経を折本に貼って壁面に横にして展示していましたが、
師は巻子にしてやはり壁面に横にして展示していました~。 
記憶になかったのですが、どこか考えること似てる?と、また図々しいことを思い
一人で嬉しくなったりしとります。




わたしのはこれ⇒  う~やっぱり師のは断然俄然猛然!


追伸:先日のクイズにご参加下さった皆さまへ
   粗品は順次、近々お送りいたしますゆえしばしお待ちくださいませ 



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うさぎさんへ (沙於里)
2016-09-27 15:16:20
本当ですね。人生に師と思える方がいることの幸せを実感しています。
せめて、書を続けることでご恩返しができたらと思っています。
師の作品の格調の高さは、魂の顕れだと思っています。
返信する
線と空間といきること (izumisogabe(大福うさぎ))
2016-09-24 15:13:32
「師」と呼べる人がいるというのは幸せですね。たとえ「師」のもとを離れても刻み込まれた師からの教えを軸に進んで行けるのですから。自分の特性を理解してそれを更に伸ばしてくれる、そう思える存在がいらっしゃるのはうらやましいです。稲村先生の書と言うより構築物に見える圧倒的な線の存在感と空間の静寂が素晴らし過ぎて作品の格の高さなのかな~と。素人ながら思うところです。
返信する
のぼるさんへ (沙於里)
2014-11-16 22:30:54
今は師のもとを離れてはいますが、
師の世界はどこか私の中にもあるような気がします。
ほんとですね、師がいることのありがたさを
離れてみるとつくづく感じています。
返信する
Unknown (のぼる)
2014-11-16 10:21:18
いいお話をお聞きしました。
師は、いつまでも「師」ですね。
また、「師」と呼べる人がいる沙於里さんが
羨ましいです。
返信する

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