上板橋駅南口駅前東地区の再開発ビルの完成イメージ=上板橋駅南口駅前東地区市街地再開発組合
再開発事業によって建てられる東京都内のタワーマンションを税金が支えている。都内46地区の再開発事業の資金計画を分析したところ、そんな傾向が浮かび上がった。22地区で総事業費の20%以上を税金でまかない、最大の 上板橋駅南口駅前東地区(板橋区)では68%になる。
都が6月時点で事業中の46地区の再開発事業の資金計画について情報公開制度を使って入手し分析した。46地区のほとんどは、地権者が再開発事業組合を作り、超高層のタワマンを建てて新たに生み出される床(保留床)を開発業者に売って、建設工事や既存家屋の除却、住民補償、調査設計などの事業費をまかなう仕組みをとっている。
■46地区中44地区に交付金
しかし、保留床の売却で事業費をまかなえる再開発事業は2地区で、他の44地区には事業費を補助する交付金などが投入されている。46地区を平均すると事業費全体の12%を税金に依存している。
「税金依存率」が高い地区は(1) 上板橋駅南口68% 、(2)JR小岩駅北口(江戸川区)58%、(3)十条駅西口(北区)47%、(4)大山町クロスポイント周辺(板橋区) 44%となっている。
投入される税金のうち大きな割合を占めるのが、国土交通省が2010年度に設けた社会資本整備総合交付金だ。住宅や道路などに細分化していた補助金を一括して自治体に交付する。国交省は「個別に補助するのではなくパッケージ化して渡す。自治体にとっては自由度が高く創意工夫できるものにした」という。自治体側は計画や事業費を盛り込んだ「社会資本総合整備計画」を作って同省に提出し、それを元にした交付金を受け取っている。
■下町や周辺区でめだつ「税金依存」
都心に比べて開発の遅れた下町や周辺区が、駅前の整備や木造密集地の解消、道路拡幅などとともに再開発を進めるケースが多いため、交付金の要求は都心部よりも周辺区の方が多いとみられる。言い換えれば、交付金なしでは再開発事業を進められない「税金依存」の状態がうかがえる。
同交付金によって、再開発事業の調査設計、土地整備、共同施設整備、防災機能強化にかかる経費は国と自治体が3分の2を出す。十条駅西口の場合、日鉄興和不動産と東急不動産が参加する組合が、131億円の交付金を得て146メートルのタワマン(578戸)を建てる。使途は、調査設計6億円、土地整備(大半が補償費)29億円、共同施設整備費95億円となっている。「廊下など皆さんが使うところを補助している」と北区の担当者は言う。
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