黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

久しぶりの人

2015年09月14日 15時09分57秒 | ファンタジー

 2011.11のブログを読み直して、人は猫同様、孤独な生き物だとつくづく思う。いや正確に言うと、私がまさにそうなのだ。
 一生会えないと思っていた人、2013.4ころまで毎朝の通勤途中に出会っていた初老の人、生き別れたっきり一生会えないと思っていた人、その人に、数日前の帰りがけの駅構内で思いがけずすれ違った。私の心が突然の再会に動揺したのか、それとも二年を超す歳月を経て彼の印象が少し弱まったのか。ちらりと見えた顔の輪郭から視線を離したわけではないが、もう一度見直してはっきり彼だと確認することができた。
 その表情に多少の変化が見てとれた。以前はもっときまじめそうなきつい表情をしていたと思う。あれっきり顔を合わせることがなくなったのは、彼が定年になって、あるいは役職から降りて、きっと窓際の席へ移動したからに違いない。それで朝晩の通勤時間が変わり、優しげな顔つきになった。
 この一瞬の再会に際し、私のことを彼が認知したかどうかは何とも言えない。そんなことはどうでもいいことだ。互いに仕事に出られるくらいの体力とわずかな気力をまだ持っていることがわかっただけで何だかほっとした。私も、完全退職したら彼のような柔和な表情を取り戻せるだろうか。それとも孤独な者はいつまでも同じ顔をしているのだろうか。(2015.9.14)
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