黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

久しぶりの読破

2019年03月18日 21時55分26秒 | ファンタジー


 なかなか本を読み通せない。読み出してすぐページを閉じたままになっている本の方が圧倒的に多い。それでも少し読んだ分、雰囲気だけはなんとなく頭に残る。10年たったら、何ページ読んだかなんてすっかり忘れてしまい、いかにも物知り顔でその本について語ることもある。
 福岡伸一氏の「動的平衡2」を珍しく読破した。特別おもしろかったわけではない。本を閉じたら、帯に印刷された福岡先生の顔が迫ってきて、もう止めるのかと言っているような気がしたのだ。
 もちろん、ぜんぜんつまらなかったのではない。
 動物の起源とは。植物や微生物は自前でほとんどのアミノ酸を合成できるのに、動物は進化の過程でその能力あえて捨てた。一見すると進化でなく退化なのだが、体内で合成できないから食物を追い求める「動く生物」の誕生につながった。
 DNA複製時に発生する傷やミスコピーは、通常、修復システムによって発見され取り除かれる。このシステムが完全に働けば、がんは発生しなくなる。しかし、同時に生命にとって進化の可能性が消えるという致命的なことが起こる。進化しなければ種の滅亡が待っている。
 といったところは示唆に富んだ論考だと思う。
 何と言っても福岡先生の文章は美しい。彼の「生物と無生物の間」は学術書の域を超え、詩的な雰囲気をまとっていまだに私の記憶媒体によみがえる。(2019.3.18)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大雪だったの?

2019年03月07日 22時20分34秒 | ファンタジー


 今年の冬は全般に雪が少ないというが、私の居住地周辺に限って、決してそんなんではなかった。ついひと月前の2月上旬、町内あげての排雪作業が終わった途端、ドカ雪に見舞われ、排雪前に戻ってしまったのには、たまげたなんてもんじゃなかった。雪の重みで古い車庫の屋根が抜けるかと心配したり、2月下旬には季節外れの暖気がやって来て、屋根からドロドロの雪が落ちるのを心配したり、右往左往するうちに大雪の話題をブログに乗せそびれてしまった。
 しかし、こんな雪のことはどうってことはない。この間、人の生き死になど、あまりにもいろいろあり過ぎた。時はくるくる回転する駒のようにどんどんスピードを上げていくが、頭の方はそれに追いつけなくて、茫然と成り行きを見守るばかり。自身が年を取るというのは、同伴者がじわじわいなくなることだと理屈では分かっていたつもりなのだが、30年来の友人Mが亡くなってからしばらく経ったころのこと、ふいに、親をはじめ多くの人々を失ったことを思い起こし、なんとも言えない寂しさにとらわれた。まさか自分の心がこんなに繊細に揺れ動き、ふさがるようなことがあるとは、まだ信じられない。
 ところで、はなは、今日で満15歳になった。食欲も体形もおしゃべりも若かりしころとまったく変わりがない。ただ体のキレが鈍ったのは確か。ふと、はなを見たら、父しゃんの反射神経の衰えはいかんともしがたい、と言いたげだ。(2019.3.7)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする