黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

口が滑ってなにが悪い

2015年09月18日 15時19分45秒 | ファンタジー

 日々折に触れ、書こうと思うことはいろいろ浮かんでくるのだが、それらを文章にまとめるには、いわゆる起こしの言葉が出てくるかどうかが決め手になる。たとえば宙返りが上手な「との」が、きん斗(と)雲に乗ってやってきたり、「はな」が、なんにゃかんにゃとしゃべり出したりすると、私はなにも考える必要がなくなる。しかし、はなは寝てるし、今の世の中、私と遊んでくれるネコはいない。あぁ、ヒマだ!

 ところで、前回七月三日、とのがネコ国の防衛問題について談話(「ネコ憲法の枠内」)をよこした。その後、ネコ国で重要事態が発生した。七月二十六日、時刻は不明、総理補佐官ネコがつい口を滑らせて、酒の席で総理としゃべった内容を漏らしてしまった。国会内やマスコミが上へ下への大騒ぎ、赤絨毯の裏までひっくり返したそうだ。それについて、とのがぶつぶつしゃべっていたことを思い出したので紹介する。

「今回の法律は九条の専守防衛の域を出ないと解釈できるので、多くの犠牲を払って手にしたせっかくの九条を改悪されないためにも、この法律制定はやむなしと考えていた。しかし、他国との交戦権を持ちたがっている総理直属の補佐官が、この法律だけでは心もとない、完全武装の軍隊を海外へ派兵できるように憲法改正しないなら、自衛権行使の実効性を確保できず国民のためにならない(とのの解釈)、などと本音をぬけぬけしゃべったりするのを聞くと、彼らは最初から善良なネコ国民をだまそうとしたとしか思えない」

「いや、それは心配しすぎだ、九条を変えようとしても、その手続きは簡単にクリアできないと反論するネコたちがいるが、それは楽観的すぎる。半島や南東海上などで一旦有事があったり、半島から何か飛んできたりしたら、この国の世論はたちまち対外強硬論へ傾くのは明らか。好戦派がその好機につけ入らないはずはない。本来国というものは兵力を保有して当然、邪魔な九条を廃止して兵力と交戦権を持つぞとなったら、たとえ自衛のためだって、それこそ単独でも集団でも、大ネコ帝国ばりにばんばん戦争をやれるということになる」

「どんなにいい法律を作っても、為政者が信用できなければ国民はそっぽを向く。五十五年前にもまったく同じことがあった。そのときの総理ネコがいかにも戦争しそうな怖い顔していたので、ネコたちは恐怖心を抱いたんだ」

「いつまでも子どものように、おもちゃを振りまわすネコに権力を持たせてはいけない」

 とのは、そう言いながら、おもちゃの銀蝿がついたじゃらしを振りまわして去って行った。(2015.9.18)
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