黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

V字回復

2015年07月30日 13時43分13秒 | ファンタジー

 聞くところによると、俳優の榎木孝明氏が水と飴だけのほぼ完璧なダイエットを一ヶ月間続けたそうだ。彼は日常的に、一日一食とか数日間飲まず食わずとかの実践をしていたという。その間、空腹を感じたことがないのはびっくり。
 私の周辺にも、朝抜き昼蕎麦夜酒だけの人、炭水化物拒絶症の人、菓子パン二個分のカロリー(千キロカロリー以下)の人など、そんなんで大丈夫と、つい口を出したくなる様々な食生活のパターンがある。なかには栄養分の摂取を断ち身体を飢餓状態にするとガン細胞を死滅させられる、と主張する人さえいる。
 生理的欲求が特別強いわけでない私のような者にとっても、こんな過酷な食生活は一日だって続かない。まして、食べない方が爽快、などという榎木氏の境地には生きている間たどりつくことはないだろう。
 それにしても、主食を必要としない人が増えるとしたら、この文明に劇的な変化がもたらされることは明らかだ。食文化・農業と関連産業は根こそぎ壊滅。TPPを締結しても農業分野では輸入するものがない。
 そのようなことが起きたとしてもたいした問題ではない。彼らは、進化の過程で生まれた亜種なのだと考えられるが、彼らほど地球上のエネルギーを大切にする生物はいない。もしも彼らが本流になったとしたら、ヒトや他の生物たちの、他者の物を奪い合う争い事がなくなり軍事面でも省エネになり、それこそ地球自体の寿命もV字回復するだろうというような気がする。(2015.7.30)
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家庭内独居

2015年07月29日 16時33分40秒 | ファンタジー

 父さんは、今年も夏風邪を引いた。母さんは、夜中の咳がうるさくて何度も目が覚めると言って、別室に避難したまま。はなは、これまで、ベッドの父さんの身体を踏みつけにしていたのに、母さんにくっついて行ったきり、父さんが寝ている部屋に一歩も足を踏み入れようとしない。父さんはたった一人きりの生活になってしまった。父さんのことを忘れてる、二人とも?
 独居とは、家族が誰もいない状態。所定の仕事に付いていない、あるいは地域社会との接点を持たない、何らかのコミュニティにも属していない人を指す。別居よりずっと悲惨な余韻をひく言葉だ。いったい、父さんはどうなるのだろう? 老後に備えた訓練か?(2015.7.29)
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はなの仕業

2015年07月27日 17時12分23秒 | ファンタジー

 はなは、そうとう、やんごとない身分のお方だ。身のまわりのことはすべて人にやってもらう。気に入らなければ、命令調にニャーと鳴いて、鋭い牙をキラッと光らせ、父さんを震え上がらせる。母さんにはしない。
 はなは、昼間からのんびりくつろいでいるので、たいがい朝早く目が覚める。父さんはまだ寝てる。いちおう目覚まし時計が鳴るまで待ってみる。鳴ったら、ベルの音より大きな声で鳴く。それでも起きなかったら、父さんが起き上がるまで次々とパンチをお見舞いする。父さんは、はなの朝飯当番なのだから仕方がない。
 はなは、そうとう寂しがり屋だ。父さん母さん二人して、何かの用事で、居間から別の部屋に行っただけで追いかけてくる。実は、はなは、眠っているとき以外、一人(匹)で部屋にいられない。父さん母さんが寝るときも、決まって寝室についてきて、何も始まらないのを確認して自分の寝床に引っ込む。このことは、はなと一家の名誉がかかっているので、口伝てでも公表されては困る。
 はなは、そうとう分からず屋だ。みんなが寝静まった真夜中、ソファーの縫い目に爪を立て引っ掻くのを止めようとしない。はなと会話できる母さんが、朝、問い詰めても知らんぷり。自分の悪事をぜったい認めない。ほんとに、にゃんごとないお方だ。(2015.7.27)
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007は二度

2015年07月15日 15時32分49秒 | ファンタジー

「007」の原作者、フレミングが来日した際に、「007は二度死ぬ」のタイトルが、松尾芭蕉の俳句にならって詠んでみたというフレミング自身の英文俳句「人は二度しか生きることがない、この世に生を受けた時、そして死に臨む時」に由来すると語った。また英語の慣用句「You Only Live Once(人生は一度っきり)」のもじりであるとも言った。(Wikipedia)
 芭蕉の俳句とは、「命(いのち)二つの 中に生きたる 桜哉(かな)」だとされているようだ。この句は、芭蕉が琵琶湖南端の町、大津を発ち東海道に歩を進めたことを聞いて、ぜひ会いたいと慕って追ってきた服部土芳(とほう。同郷出身の友人で、のちに芭蕉の門人となる)と、滋賀の水口(みなくち)の満開の桜の木の下で、二十年ぶりに再会して詠んだ句。芭蕉四十二歳の作だ。
 命二つとは、再会の喜びにひたっている芭蕉と土芳の二人の生命のこと。その喜びの生命の目には、咲き誇る桜の姿がいっそう生き生きと映えた、というのが一般的な解釈だ。一人に二つの命がある意では断じてない。以上の内容は全部ネットの記事の引用。
 つまり、007原作のタイトル「You Only Live Twice (人生は二度しかない)」は、芭蕉の拡大解釈過ぎて、明らかな誤訳ということ。
 そうなのだが、人生は一度きりでなく、二度あると言う方が数段インパクトが強いのは間違いない。さらに、人は、生まれてから死ぬときまで、まるでまったく別の命、人生だと感じる道を歩むことがあるというとらえ方にも、卓抜な人生観を読み取ることができよう。それほど意味深なタイトルに比べ、本や映画の内容が軽いのは、商売上のことにつき大目に見なければならない。
 話は逸れるが、見過ごせないのは国民の命を預かる、昨今の政治家の大きな勘違いぶりだ。内容がないのは見え見えなのに、大げさな文言で国民の目をくらまそうとする安保関連法案、どこにでもあるグラウンドなのになぜか屋根だけに莫大な金をつぎ込もうとすること、どんなに金をかけても後始末できない原発の発電単価を低く見積もって平然としていること、などをやり続けるならどんなしっぺ返しがあるか、もう忘れている。二度目の権力の座に酔いしれて、正常な判断ができなくなり、もう一回酷い目に遭っても知らないっと。(2015.7.15)
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オールウェイズ・フリーネコ・はな

2015年07月07日 09時27分02秒 | ファンタジー

 父さん母さんは、はなのことを暇ネコと呼ぶけれど、ほんとうは、オールウェイズ・フリーネコだ。
 ん? いつでも暇ネコ?
 ちゃうちゃう、ヒマとはちがう。はなは、自由ネコだ。
 ノンアルコールビールのコマーシャルが始まってから、父さんは、「オールフリー・はな」なんて気安く呼ぶ。
 やだね、気の抜けたビールみたいに、なにも取り得がないと思われるよ。
 はなは、なにを知っているか直接伝えていないけど、熟睡しているとき以外、なんでも聞いている。なので、遠くの星よりずっと物知りだ。
 はなの顔をよく見てよ! 口をすぼめて立て続けに鳴いているでしょ? 尻尾やお尻を目いっぱいゆすっているでしょ? ヒトのとは別の言葉で、ああだこうだしゃべっているんだよ。
 父さんは年取ったせいか、「はなは、なにもしなくていいから、うらやましい」「自由は最高だ」と言っているけど、父さんもそろそろ、毎日が日曜日に備えた方がいいかも。フリーって、けっこう大変なんだから。(2015.7.7)
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