BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

馬にのって

2014年05月29日 | 映画
 やらせや演出がどうかとかは、この圧倒的な現実のまえでは意味がない。険しい岩場や
道なき道を登校するために歩く。その距離と時間は想像を超えたものだ。
 ケニア、兄弟はゾウやキリンからの危険を避け、国旗掲揚当番ためにも15Kmの道のり
のサバンナを2時間かけて駆け足だ。アルゼンチン、幼い妹を馬の後ろに乗せ兄妹は18Km
を1時間30分、駆けてすすむ。モロッコ、少女たち3人は22Kmを4時間、岩場の細い道
をしたたかな戦略で歩く。インド、1人が足の悪い3兄弟、相当くたびれた車イスに乗せ
前から引き後ろから押し、4Kmを1時間15分かかる。途中リムからタイヤが外れパンク
スポークも錆びて折れている。その修理シーンはやや手品風で怪しいが、そんなことはどう
でもいい。
 自分たちがなりたい未来のために学校へ通い、勉強する目的は明確だ。たとえその夢がか
なわないとしても、あの子たちは力強く生きるだろう。

 先日小中学校時代の在札者による8人のクラス会があった。その中のS氏、遠隔地からの
登校で馬に乗って通ったという。学校近くの林の中にでも馬を繫いでいたのだろうが、アタシ
には記憶がない。詳しく聞くにはアタシはもう酔いすぎていた。
 作家の小桧山 博さんは片道17Kmの馬車道を、中学生になって通った。それらは北海道
のわずか50年から60年前の話だ。
 そう言えば「「大草原のみゆきちゃん」も映画に似たようなものだった。

 そのころ、アタシたちは将来のことについて明確な意志を持っていただろうか。そして
その後の今は、どうなっているだろうか。

 映画「世界の果ての通学路」 監督 パスカル・ブリッソン 2012年フランス 77分

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