BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

そ の 時

2008年10月17日 | テレビ
 10月15日(水)NHK「その時歴史が動いた」
知里 幸恵編は、どうも納得がいかない。
在りものの映像を継ぎ合せて、しかも何度もリピートする
あの投げやりな番組づくりは、二十世紀 北海道が生んだ天才少女を扱うにしては
安易に過ぎないか。 松平定知アナは旭川へ行ってアイヌコタン、チセ前での前
フリと小野 有五(北大大学院教授、知里幸恵記念館建設世話人)さんとの対談でお終いだ。それも一応行きましたのでという様な雨の中、傘を差しての顔出しだ。べつに雨の日で一概に悪いとは言わないが、だったら雨を生かす画は撮れないも
のか。やっつけ仕事がミエミエで、ナレーションの言葉だけが先行し、映像に愛
情も工夫もない。 同じ写真を寄ったり引いたりは何時ものパターンだとしても、
幸恵さんの出生地 登別は、在住の姪 横山 むつみ さんのインタビューのみで、
いくらでも撮る画は在るハズなのに。

 今年の6月、「アイヌ民族を日本の先住民族と認める決議」が日本の国会でや
っと採択された。つまりNHKがいう「その時」(1923年8月10日に出版
された 知里 幸恵が著した アイヌ神謡集 を指す)から歴史は動いていはいず
あたり前のことに85年を私たちは費やしていたのだ。そこに深く切り込む考察
が甘い。
 アイヌ先住民への略奪や差別が、明治維新の統治政策だけだった如き構成は、
和人のあるいは人間の、他民族に対する偏見や差別意識の存在を曖昧にさせた。
番組はどうでもいいフカンの空撮映像と、埋め草でお茶を濁したのだ。
 今番組は「その時から歴史は動かず」と改題して、NHK大阪は放送すべきだ
ったと、アタシは怒っているのだ。
 ※( 制作がNHK大阪だったのも、なんかヘンな気がする )