BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

言 い 訳

2008年10月15日 | 古本
 5年前に出版された375ページ、400字詰原稿用紙でざっと
計算すると750枚のこの本が、何故早くも百円コーナーに
落ちるのか、その事情がいつも分らない。何処でどんな過程を
踏んで百円になるのか、そいつがいつも分らない。その棚に帯付きの本はない。
それがあると整理の邪魔で、半端に破れでもしたら扱いに手間がかかるのだろう。
逆に言うと出版年月日や内容に係わらず、その帯を失くしたら百円落ちなのか。
 
 うまく書いている分、なにか虚しい。相応に複雑な偶然を折り重ねて展開する
小説だ。しかしなぁ、何故こうもトーキョウは言い訳と偶然に満ちているのか。
時々小説を読んで思う。一体誰に向けての、何が言いたくてこんな事を書いてる
のかが解らなくなる。手を替え品を替えてはいるが、パターンはいつもカタカナ
職業とワインとセックスだ。(ラブシーンが激しいと嬉しいが。笑)
東京を札幌に置き換えると、結局藤堂さんと同じだし、それを外国にして音楽と
いうスパイスを振り掛けると 村上 春樹の小説と同じになる。違いは数十ヶ国
に翻訳され、ノーベル賞候補とウワサなるかどうかだ。(笑)

 しかしなんだ、言い訳も 後ろめたい偶然という出来事もない、現実の生活と
いうのも なにか味気ないが・・・。(笑)

 「100万回の言い訳」 著者 唯川 恵  新潮社 定価1600円+税
  ( 2003年11月5日  2刷 )