帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二百八十四〕宮づかへする人々の

2012-01-21 00:01:59 | 古典

  



                     帯とけの枕草子〔二百八十四〕宮づかへする人々の



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言枕草子〔二百八十四〕宮づかへする人々の

 
 宮仕えする人々が退出してきて集まって、おのがきみ(己が主人…各自の男君や女君)の御事を愛でて言い、宮の内やそこの男たちのことなど、お互いに語り合っているのを、その家の主人として聞いているのは、をかしけれ(すばらしいことよ)。

 家は広く清げで、わが親族はいうまでもなく、語り合ったりする人も、宮仕えする人を方々(の座に)据えておきたいことよ。しかるべきときは、ひと所に集まり座して何かお話し、人の詠んだ歌を、何くれとなく語り合って、人の文など持って来ては諸共に見て、返事を書き、また、仲睦ましくして来る人でもあれば、清げにちょっと部屋など整えてあげて、雨など降って帰れないのも、おもしろく接待して、(宮中へ)参上するときは、そのことのめんどうみてあげて、思いどおりに出立させるようにしたいものよ。

 高貴な人の暮らしぶりなどが、いとゆかしきこそけしからぬ心にや(とっても聞きたい知りたいのは、よくない心でしょうか)。 


 道隆殿の
姫君の中宮の御為に、行事の記録や、また、笑い奉仕のことを一つも落とすなということで、書き継いできた。

 残念ながら、その仕事は終わった後は、里に帰り住んで、今は、若い女たちに宮仕えを勧め、志す女たちのために色々なことを教えているとすれば、自然なことでしょう。

宮の内での言葉使い。詩歌の知識。歌についての豊かな感受性を養うこと。知的感情を研ぎすまし「心におかしきところ」のある応対の仕方。男どもの性情等について、教示してきた。この章では、そんな女たちが、女官になり、あるいは各家の女房となって、里帰りしてきたときの、集会場としての我が家を想定したとおもって読んでみてください。

あの噂は? あの人の車でのことはほんとなの? 時には高貴な人のことまで、語り合うなんて、興味のないお人はいますか。


 伝授 清原のおうな

 聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。