サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

サキさんとの違いは(2)

2017年05月05日 23時55分05秒 | 介護日記
やっぱり考えてしまう。サキさんのように進行の早い人(こういう若年の方のほうが圧倒的に多いと思います)と、割と穏やかに長く過ごせる人たちとの違いは、いったい何なんだろう?

この前のブログで、以下の2つについて書きました。
1.診断時期の差(自覚症状が出てからの経過時間)
2.職場の理解(介護者の職場も含めて)

そして、今回、その続きを書きたいと思います。

3.パートナーの差(一番身近で接している人たち)
若年の当事者の方たちが、サポーターという言葉ではなく、パートナーという言葉を使われていたのが、とても印象的でした。水平の目線で、同じ立ち位置で、お互いに力を合わせながら、手助けしあいながら、同じ目標に向かって歩んでいく仲間=パートナー ということになる。
サキさんにとっての一番身近なパートナーは私。結婚してからずっと二人で力を合わせてやってきた、まぎれもなくパートナーだった。しかし、サキさんが認知症と診断されてからは、パートナーではなく、ヘルパーになっていた。時にはヘルパーでもなく管理人・監督官のような感じにも・・。サキさんをじっと待ってあげることはなく、すぐに手を出し、サキさんの能力を次々に奪ってしまいました。そして、次から次に指図します。
「待っとって」
「おとなしく座っとって」
「わかったで、動かんといて」
「お父さんがやるでいいで」
「(デイサービスの)車来たで、早よしんと間に合わんで」

などなど。とても同じ目線のパートナーとはいえません。上から目線で、サキさんを追い立てまわします
これでは、穏やかに過ごせるはずもありません。

やはり、サキさんの進行を速めた一番の理由は、一番身近にいる人(つまり私)の「余裕のなさ」だったと思います。全てにおいて余裕がないからサキさんを追い詰めてしまいました。
 もし、時間に余裕があれば
 もし、お金に余裕があれば
 もし、気持ちに余裕があれば
 もし、知識があれば
パートナーとして、サキさんのそばに寄り添って、もっと穏やかでゆるやかな時間の流れを作ってあげられたと思います。でも実際には、その余裕を持ちながらサキさんのそばに居ることはできませんでした。

普通に会社勤めの身としては、時間に余裕は持てません。始業の時間には会社にいなければいけません。
お金にも余裕はありませんでした。家のローン、子供たちの教育費用。一番お金の必要な時期でした。会社を辞めてサキさんのそばに寄り添うという選択肢は初めからありません。生きていくために働き続けなくてはなりません。
精神的にも余裕はありませんでした。つどいなどで皆さんの話しでは聞いたことがあっても、それがいざ実際に目の前で起きると、もうパニックです。もちろんそれはサキさんにもすぐに伝わってしまいます。悪循環です。
知識もあるようでなかったと思います。必死で認知症の勉強をしたわけでもなく、ただ本を買って、勉強した気分になっているだけ、認知症の妻の面倒をみている、健気な旦那を装っているだけ。うわべだけだったような気もします。

きちんとした知識を持った「専門職」のパートナーが、早い段階(介護保険を利用するもっと前)からサキさんに寄り添ってくれていたら、もっと違った展開になっていたかもしれません。

介護保険の利用=私達だけではどうにも対処できないところまで来てしまった
ということです。ここまで行ってしまっていては、もう遅いのです。

「アルツハイマー型の認知症です」と診断を受けたその瞬間から、サポートが始まっていれば・・、(サキさんだけでなく介護家族に対するサポートも)サキさんも、きっと今でもサキさんらしく輝いていたかもしれません。

認知症と診断されたその日から、適切なサポートを受けられるような、そんな仕組みを早急に作る必要があると思います。


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5 コメント

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Unknown (B男)
2017-05-06 09:38:15
第三者的な冷めた目で書かせていただければ,もう少し子供さん達の関与があれば,夫さんにも余裕が少しは生まれたのかな?と思います。

あくまでも個人的な見解です。
気に障ったらごめんなさい。
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感動しました。ずっと訴えたいと願っていることを言葉にしてくださいました。。。。。 (musicayorozu)
2017-05-06 10:05:35
おはようございます。今朝もブログを読ませていただいて感動しています。
パートナーや環境という考え方もあるのでしょうが、厳然と進行が早いタイプと遅いタイプがあるらしいですから、他人のケースと比べて悔やまないでください。
私たちは まだまだ始まったばかりですけれど「今」こそスピーディーなサポートがほしい!と痛感しています。その切実な思いを ご自身の経験の重みでつづってくださって感謝します。
緊急性がない?たしかにそうです。介護保険の利用のときがきたら むしろ迷いも少なくなります。楽になるかもしれないです。でも、もうもどれません!!
進行の早いタイプって悲しいです。
うまく書けません、すみません。F.B.で理解者を増やすページをつくってかつどうしているので そこにシェアさせていただきたいです。お返事おまちしています。
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まったく考えませんでした (サキさんの夫)
2017-05-06 16:06:59
B男さん、いつもありがとうございます。

子供たちの協力については、全く考えたことはありませんでした。もちろん、少しの間だけサキさんを見てもらったり、休みの日にサキさんと一緒に留守番をしてもらったりはありましたが、積極的に役割を担ってもらうことはありませんでした。考えもしませんでした。
お姉さんも時々、「もっと子供たちに協力してもらえば」と言われたことがあります。でも、子供たちには子供たちの生活がありますから。子供たちは子供たちで、それなりに気は使ってくれていたと思います。
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Unknown (サキさんの夫)
2017-05-06 16:14:50
ムジカさん、いつもありがとうございます。
介護保険を使う前のサポートは本当に必要だと思います。それが本人の生きがい、やりがいにつながる居場所づくりになればと思います。
だありんさんには、音楽の力があります。音楽がだありんさんの居場所になっているはずです。心の支えになっているはずです。
FBで、ムジカなんとか、という音楽グループが検索できました。ムジカさんと関係ありますか?
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お返事ありがとうございます (musicayorozu)
2017-05-06 16:43:53
子供たちとの関わりはホントに難しいです。同居中の長女には 意識的に介護力としての動員はしないようにしています。もし 彼女が介護を肩に負ってしまって仕事のキャリアに影響が出るようなことになれば 将来の不安をもっと大きくしてしまうでしょう。

親子としての自然な距離感を保ちながら 、それぞれの家族のやり方があっていいと思います。正解はないですよね。大学生の次男には通える距離ですが 下宿してもらってます。見えちゃうときっと気になって勉強に集中できないでしょうから。。。


FB検索でしたら[Musica Yorozu],[Yorozu×yorozu],「みんなで若年性アルツハイマーな生活を理解しようの会」でヒットすると思います。ものすごくジタバタしていますでしょう?
「みんなで・・・の会」可能でしたらご参加くださいませ。シェア許可いただけます?
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