斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

無機材料科学I

2011年06月09日 06時25分37秒 | 講義記録
入学試験の準備で、アップがすっかり遅くなってしまいました。
火曜日の学部3年生、無機材料科学Iのお話です。

この講義では、原子核から結晶に至るまで、ものの構造がどのように理解されるか、無機材料をテーマに勉強していきます。

第1回目の講義では、質量がエネルギーの関数であり、振動数がエネルギーの関数であることを話ました。質量を持つ物質はエネルギーが閉じている(束縛されている)のに対し、振動数で示される電磁波はエネルギーが解放されている(束縛されていない)。たとえば、原子軌道上の電子を波動で示すと、電子がもつエネルギー準位が不連続となり。エネルギーの高い準位から低い準位に電子が軌道をかえると、そのエネルギーの差の分が電磁波で外部に開放されることが理解できます。

原子核反応では、反応の前後で核の質量に欠損ができます。ほんのわずかな欠損ですが、エネルギーに換算するとたいへん大きなエネルギーが質量から開放されることになります。そのエネルギーの一部が熱に変換されて、その熱でお湯をわかし、お湯が沸いたときに発生する蒸気で発電機を回して、電気を生みます。それが原子力発電所です。

たとえば、たとえば、体重60kgの人間がエネルギーの塊だとしましょう。
E=mc2の式を使ってエネルギーを計算すると60x(3x10^8)^2 Jです。
水1tを0℃から100℃に加熱するのに必要なエネルギーは100x10^3x10^3calです。1 calは4.2Jですから、このエネルギーでいったい何tの水を沸騰させることができるでしょうか。