湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

奏の詩パート4

2018-08-21 01:05:45 | オリジナル
共通テーマ「奏」でSが書いた詩を投稿します。

音楽をきらいになる日

立派な
国歌と校歌

つえをついている
子守歌

テレビによく見る奏者の

早口でまくし立てる
無残なショパン

笑いをこらえて
音楽は言った
わたしは人間です
ただの音楽です
自己紹介は以上です
奏でるとは?
音楽が音楽をきらいになる日の……もはや
わたしではない
別の存在になって さまよって
消えていく 一晩中
いつもあたらしい仲間の名の無い
クローンたちが……

こんな音楽の独り言の中に
いや 外に
奏でるとは何かの
答えがある
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風の詩パート5

2018-08-20 16:34:41 | オリジナル
共通テーマ「風」でSが書いた詩を投稿します。

風・それは美しかった私の乳房

オブジェかもしれぬ自負の
風を持ちあるく
重い
重いなあ
つぶやきながら

それから長いトンネルをぬけた
きゅうに
風は
昔の私の乳房になった
ああ この意味は重すぎる

意味の重さが
私を倒す
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奏の詩パート3

2018-08-19 15:33:55 | オリジナル
共通テーマ「奏」でTが書いた詩を投稿します。イラスト(EBアート)もTの作です。

始まりの予感

診察室では的確な診断を下し
入院病棟では患者と握手をする
握り返した力で状態を把握
休日返上で
長期療養の病棟を診まわる
時間を整然と積み上げてきた男

昼休み
屋上で独り
遠くに見える相模湾を眺めていた男
きょう
私は男のうしろに伸びる濃い影を見た
その中で ひっそり奏でられている旋律を聴いた
脱皮する時の痛みや不安を抱えていた頃
私も繰り返し聴いた曲
迷路に立ち竦んでいた若い男が見える
今もまだ
男はパズルが完成していないのだ

この夜 松籟は騒がしく
私は いつまでも眠りにつくことができなかった
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風の詩パート4

2018-08-18 01:59:11 | オリジナル
共通テーマ「風」でCが書いた詩を投稿します。

水俣 天草 長崎

水俣

あたりは
音もなく浮かぶ
トンボたちで
いっぱい

歩いて行くうちに

トンボは
小舟に

足もとの
埋め立て地は
輝く海に

なりました


天草

陶器の
ちいさな
観音母子像は
マリアさまと
イエスさま

ひとびとの
密かな祈りを
一身に受けた
お姿はとても
柔らかそうでした


長崎

坂の多い町
上って下って
流れる汗を
ぬぐうこともせず

蝉の声に
驚いて
目をやると

大切なひとに
伝えられなかった
七十三年前の
声たちの

言の葉の
さざめき

  
ほんとうの父は
どこにいますか
  
水俣 天草 長崎の
風に
尋ねてみました
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灯籠流し&プレバト俳句

2018-08-17 01:53:45 | 文学
10年ぶりに復活した灯籠流し@森戸海岸

さて、昨日のプレバト俳句特待生昇格試験では、下記の作品で立川志らくさんがワンランク昇格を勝ち取りました。
啄木の顔して帰る盆休み
都会で文学をかじった青年の帰省をイメージした句です。評価のポイントは「啄木の顔」という暗喩。夏井先生は「人選が巧み」と評価していましたね。上を目指すためのヒントとして、次のように添削。
啄木の顔し盆休みの無心
「盆休み」と詠めば「帰る」と言わなくても帰省したのだろうと想像してもらえるので「帰る」をカット。その3音分で「無心」を加え、句またがりの高度な句になりました。またがっているのは中七下五だけではありません。
啄木の表面上の童顔と裏の顔である借金魔のダブルミーニングを「無心」で表現したのです。にわかに、ただの文学青年ではなく無頼派文学青年に。急に複雑感がアップです。
そうすれば冒頭の「啄木」が動かなくなるという解説にはシビれちゃいました。
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風の詩パート3

2018-08-16 00:17:42 | オリジナル
共通テーマ「風」でEが書いた詩を投稿します。



この夏は
NHKですら クーラーの使用を推奨する
未曾有の高温
高齢者がバタバタと倒れる

聞けば クーラーは言うまでもなく
扇風機すら使っていない
設備はあってもなのだ

かれらは敗戦後の貧困を目のあたりにし
働くことが生きることであった
見事に一途な生涯
野放図な欲望ははずかしいとした

窓を開ければ わずかでも
涼風が通る
陽が落ちれば おのずと
夜気がよみがえる
もって楽しみとするに足るではないか

この国にも 昔
闇米を食わずに餓死した検事がいた
平成最後の夏に殉じた
老人たちよ
あなたがたもまた
歴史に刻まれねばならない
――と信じる
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蘆花籐椅子俳句

2018-08-15 09:41:55 | 文学
海茫々蘆花ありし日の籐の椅子 矢島としえ

柳屋焼失前に移動してあったので無事だった徳冨蘆花が使った籐椅子と机。
展示していた柳屋旅館が廃業・売却されて、またどこかに行ってしまいました。
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奏の詩パート2

2018-08-14 00:00:10 | オリジナル
共通テーマ「奏」でEが書いた詩を投稿します。
 昨夜の森戸の浜の盆踊り大会で
奏でる

平成の世が暮れようとしている
明瞭には聞こえないが
どこかで
晩祷が奏されている

耳なえの私には
それは聞えないとしても
若ものの耳には
ごう音となってとどろいていよう
その声を虚に聴いて
目をつぶりたい

若ものよ
おくせず 声を出せ
警世の楽を奏でよ
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奏の詩パート1

2018-08-13 08:45:48 | オリジナル
共通テーマ「奏」でAが書いた詩を投稿します。

天上の楽

地上では皆忘れている
天上で奏でられている音楽

尊く卑しい労働を重ねて
平和や幸福を見つけたって
浸っていたら呆けていく
君に耽溺してバカになる

溽暑の時期に必ず
戦の記憶を反芻するこの国で
わたしたちはなにかに夢中に
なりたくてなれないでいる

今夜もまた熱帯夜
死にたくなるほど怖い夢
見たのだけれど覚えていない
眠りは中途半端な死の手続き

南の夜空を見てふと気付く
人類の失せ物は高いところにある 
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小笠原学園で作文募集

2018-08-12 00:29:08 | イベント

来月22日に開催される小笠原学園祭で、作文を募集しています。
エッセイ、旅行記、感想文、評論、物語など内容・テーマは自由。400字前後。応募は1人1点まで。本人が創作した未発表のもの。締め切りは8月31日(金)です。
応募作品は、学園祭から1か月間「文章の書き方コーナー」で講師による添削を付けて公開させていただきます。応募多数の場合は抽選。抽選に漏れてしまった場合でも毎月開催している「人を感動させる文章の書き方」レッスン内で添削します(1回無料)。
最優秀賞には賞品をご用意しています!

<応募方法>
下記の宛先まで必要事項を明記してお送りください。
宛先 :逗子市逗子5-10-28 小笠原学園 作文公開添削係 又はメール:mail@ogasawara-gakuen.com
下記内容をご明記ください。
①題名
②作文(縦書き)
③お名前
④ご住所
⑤お電話番号(携帯可)
⑥ペンネーム
どなたでもどこからでも、応募できます。
小笠原学園の生徒さんは、学園内の提出箱へ!
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