共通テーマ「風」でAが書いた詩を投稿します。
エスの井戸
風が巻くラビスタビルの前を歩いていて
一階の柳澤葬儀社に吸い込まれ
店の奥に開いている風穴に吸い込まれる
微かに見える穴の口に向かって
父母の名を呼ぶ
失われた私を返せ と叫ぶ
闇が招く
過ぎたことはもう忘れなさい
底まで降りて来なさい
具体的に希望したことはできる
家から逃げるのなんて簡単だと
思ってしまった
わたしの浅はかさ
失策をごまかし
小さな成功を過剰に評価し
転がってきた年月の間に
深くなってしまったのだぞ
この穴は
もう埋めることはできない
まだ底をつかない
芝居がかって
あ~~~ と
息が続くまで適当に叫んで
上を向いて
下に向かって
飛んでいく
わたしの 甘くて悪い癖
それでも機嫌がよければいいんだよ
機嫌のいいうちに詩集を出さなくちゃ
穴の横で煙草をふかしながら
エスが言う
エスの井戸
風が巻くラビスタビルの前を歩いていて
一階の柳澤葬儀社に吸い込まれ
店の奥に開いている風穴に吸い込まれる
微かに見える穴の口に向かって
父母の名を呼ぶ
失われた私を返せ と叫ぶ
闇が招く
過ぎたことはもう忘れなさい
底まで降りて来なさい
具体的に希望したことはできる
家から逃げるのなんて簡単だと
思ってしまった
わたしの浅はかさ
失策をごまかし
小さな成功を過剰に評価し
転がってきた年月の間に
深くなってしまったのだぞ
この穴は
もう埋めることはできない
まだ底をつかない
芝居がかって
あ~~~ と
息が続くまで適当に叫んで
上を向いて
下に向かって
飛んでいく
わたしの 甘くて悪い癖
それでも機嫌がよければいいんだよ
機嫌のいいうちに詩集を出さなくちゃ
穴の横で煙草をふかしながら
エスが言う