湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

殻の詩パート9

2015-12-01 00:00:28 | オリジナル
共通テーマ「殻」でEが書いた詩を投稿します。
 法性寺本堂と天王大権現
崖の内側から

いつもの時間に家を出る
あたりまえのルートをさけ
朝比奈の切り通しの方へ行ってみる
崖の表面は脆くなり
ポロポロと崩れてくる
金網のフェンスは用をなさず
大きな岩がころがっている
その時 突然 私の脳に
とんでもない事がひらめき
いつの間にか妄想の中を
私と犬は歩き始めている
崖に出来た黒いシミは成長を重ね
柔らかくなった中には卵がみえる
私がノックをすると殻が割れ
小さな恐竜が顔を出す
とびかかろうとする犬を押さえ
じっと みていると
少しずつ大きくなっているのに
息づかいは感じられない
岩がゴトリとくだけたその時
恐竜はとてつもなく大きくなって
街の方へとびさり
割れた卵の殻も消えかかっている
これは本当に妄想なのだろうか?

犬が崖に向かって吠えている
巣から離れた哀れな恐竜
殻の中は安全だったのに
安易なわたしの思いつきが
大事なものに穴を開け
大切なものを失わせてしまった
どうして家に戻れる?
割れた殻は私のかもしれない
崖の内側と外側の区別さえ
いまとなってはわからない
恐竜のとんでいった先には
何がある?
私が割った殻は
何を意味しているんだろう


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