共通テーマ「玉」でZが書いた詩を投稿します。
玉や
肌寒い風が吹いている 高台で
折りたたみ椅子を 持ち出して
子連れも 年寄りも 湧いてきて世間話を始める
「まだ 始まらないの」
暫くぶりの花火大会
みんな 黄昏すぎの薄暗い彼方を見つめる
「まだ」「まだ」にせかされて
「ドン」「ドン」とスマイルやハートマークの打ち上げ花火
「見て見て スマイルやハートマークだよ」
暫くすると大人たちは 他の花火大会と比べ始める
子供等は 「みんな同じでつまらないな」とぐずる
ついには 「もういいよ 帰りたい」で終わる。
寂しさで包まれた帰り道で 僕は思った
花火大会は 僕の人生に似ていると
「まだ」で始まり「もういいよ」で終わる。
どっこい僕は 「もういいよ」と言われても
必死で このくだらない世の中にしがみついている。
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