共通テーマ「草または種」でAが書いた詩を投稿します。
瓜の名前
ゴーヤがなったまま黄色くなって割れた
開いた実から赤い種が覗いている
地獄の釜の蓋が開いたみたいだが
火の色をした種は艶ととろみをまとっている
口に含んでみる
甘い
糖度で呼びこんだ虫が
天然のゼリーで腹を満たしたあと
運んできた種をまいてくれるのを狙って
熟すとこんなふうになるのだな
実は柔らかくやはり甘い
熟すまで待たずに食べる人間が
この実を「苦瓜」と名付けたのだ
ゴーヤ棚の隣では
地這胡瓜の実が太って黄色くなっている
葉の下に隠れていて採りそこなったのだ
死んで色褪せたモスラの幼虫みたいだが
皮を剥き種を外して
刻んで炒め煮にする
旨い
胡瓜の種のまわりもゼリーになっていた
これもきっと甘いのだろう
人間は胡瓜も熟すまで待たずに食べる
三百年前は黄色くなってから収穫して
火を通して食べていたから
この実を「黄瓜」と名付けたのだ
瓜の種を洗って干す
瓜の名前
ゴーヤがなったまま黄色くなって割れた
開いた実から赤い種が覗いている
地獄の釜の蓋が開いたみたいだが
火の色をした種は艶ととろみをまとっている
口に含んでみる
甘い
糖度で呼びこんだ虫が
天然のゼリーで腹を満たしたあと
運んできた種をまいてくれるのを狙って
熟すとこんなふうになるのだな
実は柔らかくやはり甘い
熟すまで待たずに食べる人間が
この実を「苦瓜」と名付けたのだ
ゴーヤ棚の隣では
地這胡瓜の実が太って黄色くなっている
葉の下に隠れていて採りそこなったのだ
死んで色褪せたモスラの幼虫みたいだが
皮を剥き種を外して
刻んで炒め煮にする
旨い
胡瓜の種のまわりもゼリーになっていた
これもきっと甘いのだろう
人間は胡瓜も熟すまで待たずに食べる
三百年前は黄色くなってから収穫して
火を通して食べていたから
この実を「黄瓜」と名付けたのだ
瓜の種を洗って干す
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