湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

草または種の詩パート2

2022-09-13 16:44:33 | オリジナル
共通テーマ「草または種」でAが書いた詩を投稿します。

瓜の名前

ゴーヤがなったまま黄色くなって割れた
開いた実から赤い種が覗いている
地獄の釜の蓋が開いたみたいだが
火の色をした種は艶ととろみをまとっている
口に含んでみる
甘い
糖度で呼びこんだ虫が
天然のゼリーで腹を満たしたあと
運んできた種をまいてくれるのを狙って
熟すとこんなふうになるのだな
実は柔らかくやはり甘い
熟すまで待たずに食べる人間が
この実を「苦瓜」と名付けたのだ

ゴーヤ棚の隣では
地這胡瓜の実が太って黄色くなっている
葉の下に隠れていて採りそこなったのだ
死んで色褪せたモスラの幼虫みたいだが
皮を剥き種を外して
刻んで炒め煮にする
旨い
胡瓜の種のまわりもゼリーになっていた
これもきっと甘いのだろう
人間は胡瓜も熟すまで待たずに食べる
三百年前は黄色くなってから収穫して
火を通して食べていたから
この実を「黄瓜」と名付けたのだ

瓜の種を洗って干す

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