湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

潮の詩パート1

2019-07-30 06:58:01 | オリジナル
共通テーマ「潮」でTが書いた詩を投稿します。

スーパームーンの夕暮れ

河口近く
小さなゴムぞうりが片方
満ちはじめた潮の上で
たゆたっている

昔 同じ川に
小さなサンダルの片方を落とした
雨上がりの日で
流れの速さは
一瞬にサンダルを消してしまった
葉から雫が落ちて
木いちごが黄金色に光っていた

今 歩きながら
ポテトチップのわさび味を食べた
ツンとして涙が出た
あとから あとから涙が零れる

あの頃いた家族は皆いなくなって
先月は二人目の孫ができた  けれど
あの日から
六十五年の時間を
きちんと消費しただろうか
私も
河口で揺れている

山際から
朱色の大きな月が上ってきた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする