神鳴り(アメジストネックレス)

難聴ゆえに家居の好きな主婦です。過去、心臓弁膜症、大腸がんの手術を受けました。趣味は短歌です

川添英一さんの短歌冊子「流氷記」第六十二号『花水木』

2015年08月26日 22時01分20秒 | 短歌
大阪府茨木市立中学校の国語の先生をされている川添英一さんから短歌冊子「流氷記」第六十二号『花水木が届いた。

川添さん、どうもありがとうございます。

川添さんは60歳のときに一旦定年退職されて、現在は再任用最後の夏なのだそう。

お忙しい中、こういう冊子を作られるのは大変だろうと推測させていただく。

川添さんの短歌を読ませていただくと、もうすぐ65歳になられる人とは思えないくらい瑞々しい。

今回の冊子にも、そういう歌が散見される。

  教師ではなくて詩人の目でいよう不思議不可思議見逃さぬよう

  生徒とは馴染み大人と相容れぬ気性もつらしぞえぽんわれは

その一方で、長年中学校の先生をしてこられたという自負の感じられる歌も

  分かるには十年早い職人の技術が国語の授業にもある

  文学に最も遠し当たり前すぎる国語の正答なれば

  このときの作者の思いは?などと問うけれどもボーッとしている時ほど浮かぶ

今号には、命終を見つめた歌が散見されるのも特徴かもしれない。

  救急の担架に運ぶさっきまで風呂に浸りし生ま足が見ゆ

  あのときの父の齢を我は生き父と重なるところもありぬ

  最後かも桜咲くその喜びを噛み締めている

3首目の歌は大幅な字足らずというか第五句が欠落した構造になっているが、意識的に?

  存在が死ねばなくなる恐怖にて無限に堕ちてゆく夢を見る

↑これは死ぬことを恐れている歌なのだろうか。それとも「死」を恐ろしい夢の喩にしているのだろうか。とにかく「無限に堕ちてゆく」とはただごとでない。

  母の声母の姿がよみがえりそぼ降る雨の中の紫陽花

ただお母様を懐かしんでいるだけの歌でもなさそうだが、川添さんは、最近は、「死」に親しんでおられるのだろうか。

次の歌は叙景歌と思うが、歴史的人物の名前も詠み込まれているせいで、重厚な歌に仕上がっていると思った。

  大職冠鎌足眠る阿武山が四角い窓にすっぽり嵌る

↑勤務していられる中学校の教室の窓から見える景色と思う。

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短歌を話題にすると、読者数が微妙に減るけれども、私のブログなので、減ろうが増えようが、書きたいものを書かせていただいている。

↓今号の表紙絵はきれいだったので、表側の表紙絵だけでなく、裏側の表紙絵も撮影させていただいた。


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