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2016年、特に後半の国際的なニュースで話題になったのは、アメリカの大統領選でした。
2017年1月20日に、ドナルド・トランプ氏が新しく大統領に就任しますが、世界中がその動向に注目しています。
今回は、トランプ新政権誕生後に本格化する「トランプ革命」を、もっとも警戒している中国にとって2017年はどのような年になるか、見ていきます。
◎中国の資産が海外に逃げている
今回は、「内憂」です。
中国でもっとも懸念されていることは、やはり経済の問題です。
いま中国の富が、どんどん外国に出ていく「資本流出」が起きています。
これは、中国の経済がクラッシュすることを恐れる人々が、「国内に持つ資産の価値が下がるのが怖い。海外に持ち出した方が安心」と考えて起きていることです。外国の不動産や金融商品を買ったり、外国に留学している子供に送金したり、さまざまな形で資本の流出が起きています。
中国では、個人が人民元から外国のお金に両替できるのは、一年間で5万ドルと決められています。年が明けると新たにゼロから両替できるので、国内経済に不安を抱く人々の外貨への両替、すなわち、資本流出が加速するという見方もあります。
こうした状況に、冒頭の「45%関税」などが重なると、中国経済の見通しはますます「視界不良」となるでしょう。
中国にこれまでなかった「相続税」を2017年3月に法制化する動きや、「環境保護税」を2018年1月から導入する動きからも、中国経済はかなり厳しい状況にあると見ていいでしょう。
◎「皇帝」を目指す習近平
もっとも大きな「内憂」、それは「権力闘争」の激化です。
共産党の独裁である中国は長年、複数の党幹部(近年は7〜9人)が集団で国を指導する体制を敷いてきました。ところが、習近平は自分一人に権力を集中させる「一強」体制を敷こうとしています。
2017年秋、5年に一度の共産党の党大会が開かれますが、ここから習近平政権の二期目が始まります。二期目は2022年までで、この時、習氏は69歳。本来なら引退しなければいけませんが、それを阻止するために、いま習氏は、68歳定年制を廃止して、死ぬまで「皇帝」であり続けようとしています。
「腐敗を一掃する」という国民に受けのいいスローガンを掲げて、金銭スキャンダルなどで政敵を失脚させてきましたが、これもすべて、「皇帝」になるためのプロセスと言えます。
17年秋の党大会に向けて、権力闘争はさらに激しくなるでしょう。
◎3つの空母艦隊でアジア支配を目指す
最後に、そうした「内憂外患」が進むと、習氏が何をしたくなるか。歴史を振り返ると、やはり、対外的に敵をつくって、国民を団結させたくなります。つまり、紛争や戦争です。
先日、中国の空母「遼寧」率いる艦隊が、沖縄の宮古海峡を通過した後、台湾の東側、バシー海峡を通って、海南島に移動しました。これは明らかに、トランプ氏と蔡氏の会談をけん制したものと言えます。
専門家は、「中国共産党創立100周年の祝杯は、北京ではなく、台湾の台北で挙げる」と指摘しますが、その節目の年は2021年です。習氏は、念願の「台湾統一」を果たすとともに、「皇帝」の座を確立するために、二期目(2017〜22年)のどこかの時点で、台湾侵略に打って出ることも考えられます。
もちろんその他にも、尖閣諸島や沖縄を含む東シナ海、軍事施設を造った南シナ海など、習氏が紛争を起こしうる地域は、アジアにいくつも存在します。
中国は、「遼寧」の他に、2017年初めにも進水すると言われている国産初の空母を大連で製造中であり、2隻目の国産空母を上海で建造しているといいます。3つの空母艦隊が完成すれば、日本や台湾、東南アジアの国々にとって極めて大きな脅威です。
トランプ氏は、こうした中国を経済的な面から弱らせようとしています。日本もその流れに乗って、世界1位と3位の経済大国である日米ががっちりとタッグを組み、中国と対峙することが、長期的な国際社会の繁栄につながるはずです。(山下格史)
(おわり)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄への決断 〜「トランプ革命」と日本の「新しい選択」』 大川隆法著
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