http://the-liberty.com/article.php?item_id=12307 幸福の科学出版
フィリピンのドゥテルテ大統領が、7日にマニラで講演した際、アメリカの次期大統領ドナルド・トランプ氏と、電話会談を行い、麻薬対策について支持されたことを明かした。9日付各紙が報じた。
トランプ氏は電話で、「(麻薬対策を)よくやっている。今後も進めるべきだ」と語ったという。これについてドゥテルテ氏は、「聖人になった気持ちだ」と喜び、「我々が国を守る取り組みに米国は干渉しない、と彼は言いたかったのだと思う」とした。
フィリピンの麻薬対策をめぐっては、オバマ米大統領が「人権侵害」と批判したため、ドゥテルテ氏が、「地獄に堕ちろ」と言い返すなどして、9月に予定されていた米比首脳会談が中止。2国間の関係は悪化していた。
だが、真逆の対応を見せるトランプ氏は、今回の電話会談でも、「関係を修復しよう」とドゥテルテ氏に提案し、「ワシントンかニューヨークに来たら一緒にコーヒーを飲もう」と友好的な態度を示したという。
◎300万人以上の麻薬中毒者を抱えるフィリピン
裁判を経ない、警察官による密売人や中毒者への「超法規的殺人」によって、麻薬撲滅を目指すドゥテルテ氏。だが、表面的に批判するだけでは、フィリピンが抱える深刻な問題を解決することはできない。
同国には300万人以上の麻薬中毒者がいて、政治家や高官などの権力者が貧しい人々に麻薬を売って儲けており、汚染された人々が貧困から抜け出すことが難しくなっているという構造がある。ドゥテルテ氏の麻薬対策は、こうした現状を打開し、国を立て直す強硬手段と言えるだろう。
ドゥテルテ氏は、フィリピンにはびこる汚職に対しても、公文書の情報公開を進めるなどの手を打っている。本誌2017年1月号で取材したマニラ生まれの女性は、「ドゥテルテ大統領は、汚職を一掃する勇気がある」と高く評価。実際に、ドゥテルテ氏の支持率は約9割に達する。
欧米諸国の認識とは、大きなギャップがあることが分かる。
◎耳に心地いい主張が、必ずしも正しいわけではない
メキシコからの不法移民によってアメリカに麻薬が蔓延し、犯罪が増加していることを問題視するトランプ氏は、フィリピンの状況をよく理解できるのだろう。
大川隆法・幸福の科学総裁は今月8日、「政治の論点について」と題する法話で、現在の政治・経済の問題に対する幅広い提言を行った。この中で、南米や中南米から麻薬がアメリカに入っている問題について、こう言及した。
「メキシコとの間に塀をつくる、ということだけを聞けば、乱暴なことを言うと思うけれど、犯罪の流入とアメリカの堕落を防ごうとしているという意図を持っているところをよく見なければいけない」
麻薬の蔓延で国内が乱れれば、当然、国力も落ちていく。ドゥテルテ氏の麻薬政策、トランプ氏の移民政策の真意を理解するには、麻薬がもたらしている深刻な問題に目を向けることが必要だ。
誰もが賛同するような耳に心地いい主張が、必ずしも正しい結論を導くわけではない。 (片)
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