ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

続 「立て! 奴隷を望まぬ人民よ!」

2011-08-06 | Weblog
 中国の高速鉄道事故、驚くべき手抜き工事、そして鉄道省高官たちによる巨額収賄…。
 前鉄道相だった劉志軍は事故前の2月に更迭されたが、20億元(250億円)のわいろを得ていたとされています。劉の弟の劉志祥は、武漢市交通分局副局長だったときに4千万元(4.8億円)の収賄罪と傷害罪で、なんと執行猶予付きの死刑判決を受けています。
 鉄道省技術部門トップだった前運輸局長の張曙光は28億ドル(2200億円)を不正蓄財したといわれています。また同省管轄の情報技術センターの幹部たちは何人もが、鉄道関連企業の会長職を無断で兼務していた。
 
 しかしこのような醜悪な汚職不正情報を中国マスコミが熱心に伝えたのは、どうしてでしょうか? 秘密主義で臭いものにはフタをし、知らしむべからずを決め込む中国政府です。情報にオープンな中国には、何か裏があると考えてしまいます。

 鉄道相だった劉志軍の後ろ盾は、前国家主席の江沢民です。運輸局長だった張曙光も同様、彼らは江沢民グループ、すなわち上海閥につながっています。そして次に上海閥を率いるのは、胡錦濤のあとの中国のリーダーに確定している周近平です。
 胡錦濤が退陣する2012年以降、周たちの上海閥によって窮地に追いやられるのを恐れる胡錦濤派が仕掛けたのが、今回の鉄道省叩きという見方があります。
 しかし近ごろ、中国高速鉄道事故と収賄について、あれほどオープンだったマスコミが、また沈黙しだしました。胡錦濤の仲間、温家宝首相の秘書ふたりも高速鉄道わいろ収賄の疑いで処分されてしまいました。
 これまで江沢民と次期トップの周近平、彼らの上海閥の力を削ぐためのわいろスキャンダル暴露の作戦が、切って返して胡錦濤や温家宝の現体制派に及んで来たわけです。
 おそらく上海閥と胡錦濤派(共青団派)は、手打ちをしたのでしょう。これ以上、泥試合を続けることは互いにとって、何の得もない。
 胡錦濤派は、これまでの江沢民のやりかた同様、政治局常務委員の過半数を制したのであろうと思います。国家首席・党書記・党中央軍事委員会主席に周近平が来年ついても、胡錦濤派は安泰です。パワーゲームを日々闘っているのが中国共産党中枢部です。いや、どこの国でも権力の構造は同じかも知れませんが。

 さて、今回は中国通の情報をもとに畑違いのことなどを記しました。もともとは中国国歌が気になるのが、書くことの原因です。
 ♪立て!
  奴隷を望まぬ人民よ!

 中国版新幹線は事故前から「怖くて乗れない」と、手抜き工事や試験運転を無視した無謀を知るひとたちからいわれていました。ある鉄道技術者は「自分は絶対に乗らない。友人にも乗るなといっている」。事故前の声です。
 いま中国では、いたるところで治安が乱れているそうです。たくさんの警察官や公安職員が殺され、ほとんど政府の手に負えない「反乱前夜の様相」だそうです。
 中国が近いうちに人民革命に突入することは、ほぼ間違いがないであろうと思います。その時、中国人民は国歌を歌います。
 立て! 奴隷を望まぬ人民よ!
 国歌、すなわち革命歌…。これまでの世界史で、これほど皮肉な反体制の国歌があったでしょうか? まもなく始まる自由を希求し、不正を断固糾弾する正義の革命。貧困を恨む根底の心理以上に、自由と正義のための戦いが、まことの命を惜しまぬ革命であろう。隣国のこれからを注視し応援します。
<2011年8月6日>

○追記8月7日 「アサヒ・コム」8月6日付によると、中国高速鉄道事故報道で、当局を批判したTVプロデューサーが停職処分を受けた。
 中国国営中央TVのニュース番組担当の王青雷氏。事故3日後の放送で「人の安全が確保されていないような速度を、我々は求めているのか。人の魂を置き去りにしたスピードアップなどいらない」
 そして放送翌日の7月27日、王は自身のブログに「権力に屈しない記者がいれば、国の魂は失われない」と記した。
 朝日記者は「今回の事故では国内メディアも当局批判を展開したが、こうした措置は現場の記者らへの大きな圧力となりそうだ」
 おそらく、中国のジャーナリストや穏健を装う志士たちは、いまエネルギーをためつつあるのでしょう。この膨大なパワーが結集し大爆発を起こせば、一気に革命へと全土を捲き込むことになるはずです。
(王青雷氏停職のことは、7月30日に香港メディアが伝えていました)



コメント    この記事についてブログを書く
« 立て! 奴隷を望まぬ人民よ! | トップ | 「GHQ占領下の京都」 連載第... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事