ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

立て! 奴隷を望まぬ人民よ!

2011-07-31 | Weblog
 中国の高速鉄道事故には驚いた。国民の多くも政府の対応にあきれかえっているようだ。これまで共産党政権の管理下で、自由な発言が禁じられていたマスコミも、政府の対応に反発を強めている。いま中国は自由や真実を求めて、転換の時期を迎えつつあるように思える。中国では、大改革が起こるのではないか?
 事故三日後の26日夜、事故現場で市民による追悼の集いが開かれた。インターネットの呼びかけで二百人余が集まったが、底意は政府に対する反感反抗であろうが、あからさまに意思表示することはできない。集会や結社の自由はまだない国である。
 市民たちは手に手にロウソクを持ち、非抵抗非暴力の姿勢をあきらかにした。激しい行動をもしとれば、ロウソクの火はたちまち消え去ってしまう。彼らの行為は、あくまで静かな追悼である。

 そして中華人民共和国の国歌を三度、斉唱した。全文を日本語に意訳すると、
♪立ちあがれ! 
 奴隷となることを望まぬ人々よ!
 われらの血と肉をもって
 あらたな長城を築こう
 中国民族に迫りくる最大の危機
 みなで危急の雄叫びをなさん
 起て! 起て! 起ちあがれ!
 万人が心をひとつにし
 敵の砲火に立ち向かえ
 敵の砲火に立ち向かえ
 進め! 進め! 進め!

 一行目を繁体字で書くと、「起来! 不願做奴隷的人們!」
 この歌は1935年に上映された抗日運動映画の主題歌だそうだ。戦闘的歌詞だが、現在の中国においては、中国共産党独裁政権に対する抗議の人民歌とも解釈される。国歌が反体制の歌に変身してしまったとしたら、これほどの皮肉はないであろう。当夜集まったなかの中心メンバーたちは、私服公安に連行された。ほかのメンバーたちも当局の監視下にある。マークされない人はみなスパイである。

 中国の庶民はいま高インフレで生活が脅かされている。また不動産バブル崩壊は確定し、地方政権の不良債権問題が重圧になった。中国の成長神話はまるでロウソクの火のような状態にある。風前の灯火といえる。市場の専門家たちの中国経済金融に対する評価は一変した。
 北京の清華大学教授パトリック・コベヌツ(経営学)は「以前はだれもが信じて疑わなかった中国の成長神話だが、いまや疑問の声をあげる専門家があとを絶たない。市場心理の大転換が起こった」

 ソフトランディングに失敗すれば、世界なかでも東アジアの経済金融は大混乱を来すであろう。しかし中国の民主化なり健全な国家体制を築くための必然の条件であるならば、わたしたちは隣国の大変革をあたたかく見守るべきであろう。
 そして国歌はあたらしく、世界平和を希求する歌詞に変更されるかもしれない。抗日の戦闘から世界平和へ、歓迎すべき革命である。
<2011年7月31日>
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続「アルケミスト」 | トップ | 続 「立て! 奴隷を望まぬ人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事