ふろむ播州山麓

京都山麓から、ブログ名を播州山麓に変更しました。本文はほとんど更新もせず、タイトルだけをたびたび変えていますが……

物静かなカラスたち

2012-10-19 | Weblog
 冬が近づくと恒例だったのが、夕方の空をカラスの大群が舞うこと。京都西山の麓あたりは、乱舞の名所でした。過去形なのは、3年ほど前までがそうだったからです。数千羽、ときには万のカラスが集結しました。まるでヒッチコックの「鳥」さながらだったのです。
 ところが近ごろ、この数年ですが、カラスの数はどんどん減る一方。夕方になっても数百羽もそろえば多いくらいになってしまいました。早朝も、「おはよう」「おはよう」と鳴きかわしていたのですが、最近は元気もなく静かなものです。

 大群集結のころは、どれもみなよく遊んでいました。たとえば避雷針の先端取りゲームなどは見ものでした。一羽しか留まれない尖った先を取り合うのです。これは何の得もない、遊びです。何羽もが避雷針目がけて席取りゲームを競います。ところが今年はこの遊びを楽しむカラスがほとんどいません。
 数が極端に減ったのは、食料不足のためでしょう。彼らはみなお腹がペコペコなのです。原因は家庭が出す生ゴミ袋をあされなくなったため。かつて人間にとって大問題だったカラスの食害ですが、ネットを掛けるだけで解消してしまいました。あれだけ住民を困らせた鳥害が、網だけで解決してしまいました。
 しかし彼らは日々、満腹の経験も減ってしまい空腹を抱えて弱っていることでしょう。「ガーーカアアーグアーー」と鳴いていたのが、近ごろでは「かぁ~かぁ~」。ずいぶん弱々しくなってしまいました。
 
 衣食足りて礼節を知るは、『管子』の言葉だそうです。「衣食足りて栄辱を知る/憂いも辛いも食うての上/恒産無き者は恒心無し/倉廩実ちて囹圄空し/倉廩実ちて礼節を知る/富貴にして善をなし易く、貧賤にして功をなし難し/礼儀は富足に生ず」
 カラスたちは「食足らずして、空腹で礼節を知る」。そんな状態でしょうか。いつもきれいなゴミ置き場を見るたびに、彼らを励ましたくもなってしまいます。目標は「食足りてこそ避雷針もまた楽し」
 本当かどうか、友人から聞いた話しですが「カラス二羽が一組になって、一方がクチバシでネットを持ち上げ、相方が袋を引っ張り出すの見た」。すごい。ガンバレ!カラス!
<2012年10月19日>
コメント (2)
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