ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

万歳(まんざい)の歴史 №3

2009-08-16 | Weblog
萬歳(まんざい)はかつて「千秋萬歳」と記され、新年早々に寿詞(ほぎごと)の芸能が演じられました。前回にみたように、古くは新年の予祝は1165年、『古今著聞集』の記載「千秋萬歳とは、正月の子の日に寿詞を唱えて禄物を乞うて歩くもの」にそのルーツをみることができます。それ以前にも「千秋萬歳」の記載はありますが、新春慶賀との関係は明らかではありません。祝いの言葉としては、あまりにも古い千秋萬歳です。二千年以上もの昔に、中国でうまれた語です。
 平安のいつのころからか、12世紀以前には富貴な家々を、さらには禁裏御所を訪れ、新年の予祝を述べ、芸能を演じる万歳、すなわち千秋萬歳を演じる芸能民がいたのです。歳のはじめにいつも此界に来たる異人・神に扮したのです。
 近世以降、単に万歳・萬歳(まんざい)とよびますが、この祝福芸の誕生から中世まで「千秋萬歳」と彼らの芸能は称されました
 1165年から1580年までの記録から、彼らの演芸の記載文字と読み呼称をみてみようと思います。本来、今日書く気はなかったのですが、長かったお盆休暇も終わり、明日からは仕事です。これから一週間、書くことはまず不可能です。あえて、まとめてみました。

 文字は千秋萬歳がもっとも多いのですが、読みは「せんしゅうまんざい」あるいは「せんしゅ」、一部「まんぜい」かもしれません。数字は確認された西暦換算年です。

[千秋萬歳](せんしゅう・せんしゅ・まんざい・ばんぜい)
1165・1211・1233・1241・1246・1247・1280・1289・1301・1319・1324・1347・1436・1437・1447・1471・1472・1475・1477・1481・1586・1487・1488・1490・1492・1503・1515・1516・1520・1522・1533・1537・1546・1551・1552・1554・1559・1560・1564・1565

[千寿萬歳](せんじゅ・せんず・せんす)
1213・1225・1385・1402・1497・1509
 ※14世紀後半から千秋がいくらか減り、千寿がみられるようになる。

[千寿万財](せんじゅ・せんず・せんす・まんざい・ばんざい)
1418・1431・1432・1433・1434・1436
※ いずれも『看聞日記』記載

[千しゆ万(萬)さゐ](せんしゅ・まんさい・ばんざい)
1478・1481・1482・1486・1488・1491
※ いずれも『御ゆとのゝ上の日記』

[千すまんさい](せんす・せんず・まんさい・まんざい)
1546・1552・1560・1564・1565・1570・1580
 ※16世紀には「せんす」あるいは「せんず」ばかりになってしまいます。
いずれも『御ゆとのゝ上の日記』より。
<2009年8月16日 送り火の夜 南浦邦仁>
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