4日、福山競馬場で、アラブ唯一の全国交流競走、第6回タマツバキ記念・アラブ大賞典が行われた。
先月、名古屋杯を制した名古屋のキジョージャンボが出走してくれば有力と見られたが回避し、その名古屋杯でキジョージャンボと叩きあいを演じ、元は福山の馬であった、名古屋の9・モナクカバキチが圧倒的な1番人気。これを地元期待の7・ユノフォーティーンが追い、差なく40勝をマークしている高知の5・エスケープハッチが続き、ただ一頭牝馬の10・ラピッドリーランが4番人気となって、10倍を切る上位人気は以上4頭。
スタートからポーンとラピッドリーランがハナを奪い、すぐさまユノフォーティーンが追う展開。あとの後続はごちゃつく感じとなったが、1・リードオーカンが3番手に落ち着く。
注目のモナクカバキチは後ろから3頭目の位置。エスケープハッチは最後方からの競馬。快調に飛ばすラピッドリーランは終始、藤本三郎騎手が手綱を持ったままの状態。一方、カバキチは3角あたりで鞍上の手が動き始め、エスケープは前団の流れに乗れず苦しい競馬。
しかも4角手前でユノもズルズルと後退していき、ラピッドがマイペースの逃げ。
直線に入ってブービー人気の2・アトムビクトリーが追ってくるも全く体勢は変わらず、ラピッドリーランが堂々と逃げ切ってビッグタイトルを手にした。2着にアトムビクトリー、ユノフォーティーンが3着。人気を集めた遠征勢はいずれも完敗に終わり、今年のアラブ大賞典は大波乱となった。
昨年、金杯と福山菊花賞を制覇し、 悲願の重賞ウイナーに輝いたラピッドーリーラン。
スイグンらがいた頃は地味な成績しか収められなかったが、歴戦に歴戦を重ねた結果ついにアラブの頂点に立ち、また、遠征勢にタイトルを奪われるのではないかと思われた今回の一戦において横綱相撲という形容がぴったりの内容。
スタートからポンと出ると、終始2番手のユノフォーティーンは追うのがやっとで、しかも4角ではズルズルと後退。ある意味、力の違いを見せ付けた格好となった。
4月に行われた福山桜花賞のときは逆にユノフォーティーンにハナを奪われて4着に終わったが、逆にユノからハナを奪えばこっちのほうが強い、と言わしめるような競馬。
ついに名古屋においてもアラブ単体の競走がなくなりつつある中、福山もまた、アラブ全廃の危機が叫ばれ、今回のアラブ大賞典をもってこれが最後ではないかといわれている中で、見事な優勝であった。
アトムビクトリーは中団に構え、最後はユノを交わして2着に入った。ちなみに1・2着は那俄性哲也厩舎であり、見事ワンツーを決めた。
ユノフォーティーンは完全に力負け。やはり、ハナを奪えないと厳しい競馬になったようだ。
モナクカバキチはスタートで行けなかったことがすべての内容。結局、このレースではほとんど見せ場も作れなかった。