公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

アラブ大賞典回顧

2006-06-06 10:54:41 | 大レース回顧集

4日、福山競馬場で、アラブ唯一の全国交流競走、第6回タマツバキ記念・アラブ大賞典が行われた。

先月、名古屋杯を制した名古屋のキジョージャンボが出走してくれば有力と見られたが回避し、その名古屋杯でキジョージャンボと叩きあいを演じ、元は福山の馬であった、名古屋の9・モナクカバキチが圧倒的な1番人気。これを地元期待の7・ユノフォーティーンが追い、差なく40勝をマークしている高知の5・エスケープハッチが続き、ただ一頭牝馬の10・ラピッドリーランが4番人気となって、10倍を切る上位人気は以上4頭。

スタートからポーンとラピッドリーランがハナを奪い、すぐさまユノフォーティーンが追う展開。あとの後続はごちゃつく感じとなったが、1・リードオーカンが3番手に落ち着く。

注目のモナクカバキチは後ろから3頭目の位置。エスケープハッチは最後方からの競馬。快調に飛ばすラピッドリーランは終始、藤本三郎騎手が手綱を持ったままの状態。一方、カバキチは3角あたりで鞍上の手が動き始め、エスケープは前団の流れに乗れず苦しい競馬。

しかも4角手前でユノもズルズルと後退していき、ラピッドがマイペースの逃げ。

直線に入ってブービー人気の2・アトムビクトリーが追ってくるも全く体勢は変わらず、ラピッドリーランが堂々と逃げ切ってビッグタイトルを手にした。2着にアトムビクトリー、ユノフォーティーンが3着。人気を集めた遠征勢はいずれも完敗に終わり、今年のアラブ大賞典は大波乱となった。

昨年、金杯と福山菊花賞を制覇し、 悲願の重賞ウイナーに輝いたラピッドーリーラン。

スイグンらがいた頃は地味な成績しか収められなかったが、歴戦に歴戦を重ねた結果ついにアラブの頂点に立ち、また、遠征勢にタイトルを奪われるのではないかと思われた今回の一戦において横綱相撲という形容がぴったりの内容。

スタートからポンと出ると、終始2番手のユノフォーティーンは追うのがやっとで、しかも4角ではズルズルと後退。ある意味、力の違いを見せ付けた格好となった。

4月に行われた福山桜花賞のときは逆にユノフォーティーンにハナを奪われて4着に終わったが、逆にユノからハナを奪えばこっちのほうが強い、と言わしめるような競馬。

ついに名古屋においてもアラブ単体の競走がなくなりつつある中、福山もまた、アラブ全廃の危機が叫ばれ、今回のアラブ大賞典をもってこれが最後ではないかといわれている中で、見事な優勝であった。

アトムビクトリーは中団に構え、最後はユノを交わして2着に入った。ちなみに1・2着は那俄性哲也厩舎であり、見事ワンツーを決めた。

ユノフォーティーンは完全に力負け。やはり、ハナを奪えないと厳しい競馬になったようだ。

モナクカバキチはスタートで行けなかったことがすべての内容。結局、このレースではほとんど見せ場も作れなかった。


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高松宮記念杯回顧

2006-06-06 03:01:10 | 大レース回顧集

第57回高松宮記念杯決勝大津びわこ競輪場で行われた。

前は6・井上昌己が取り、井上-2・山口富生-8・山内卓也、7・兵藤一也-4・坂本英一、1・山崎芳仁-3・佐藤慎太郎-5・岡部芳幸、9・村本大輔の並び。

ジャンが鳴って山崎がスパート。佐藤がそのまま続いたが、3番手の岡部は井上に粘られてズルズル後退。

かかりがいい山崎が佐藤を従えそのまま逃げ、3番手争いを兵藤が井上をどかして奪い取るも、優勝争いは山崎か佐藤のどちらかの展開。

佐藤が4角手前で2回ほど後ろを見る余裕があり、そのまま差す展開に持ち込んだかに思われたが、山崎がきわどくタイヤ差、佐藤を抑えて初のG1優勝。2着に佐藤。3着に兵藤が入った。

逃げ一車という恵まれたメンバー構成ではあったが、山崎が1周逃げ切り、タイトル奪取期は一気に88期まで若返ることとなり、昨今言われ続けられている、「世代交代」を急加速化させた印象が強い。

それにしてもここ半年の山崎の走りは充実の一途。

昨年のヤンググランプリを制覇するや、今年2月の東王座も優勝。3月には熊本記念で初のG3制覇も果たし、ついには今回、G1までも優勝してしまった。

もともと世代交代が一気に変わるときには、力で現状勢力を打破するケースがほとんどだが、今現在、力で他をねじ伏せられる選手といえば山崎しか見当たらず、3.71とやや大きめのギアがかかる状態であれば、後ろにつく選手もそう簡単には差せないだろうと思っていたが、まさにその通りの結果となった。

今回のシリーズでは、初日の青龍賞では渡邊一成にうまく駆けられてしまい、2センター過ぎから出るもマザーレークカップ進出圏内の5着が精一杯。

ところで続くマザーレークカップ。山崎は渡邊の番手に入ることになった。ヤンググランプリで勝ったものの、一瞬渡邊の踏み出しに対応できなかったことから従来の競走ギアである3.71から3.57へ変更した。

結果は普段慣れていないギアでの競走になったせいか、山崎は逃げる渡邊の番手という絶好の展開となりながらも、加藤慎平以下にうまくかけられてしまってまさかのハコ3。

結局、3.57のギアでは持ち味が出せないことから準決勝、決勝と通常の3.71で走ったが、両方のレースともにうまく駆けきり、かかったときの山崎にかなう敵はいないというような感じでレースを進められ、そして優勝を果たした。

当然、このあともG1タイトルをどんどん取ってほしい逸材であるが、一方で、ダッシュ力の強い選手がメンバーに居た場合の不安もよぎってしまうのが山崎。

日本選手権でもダークホース的な存在となりながらも、佐々木則幸や金子貴志といったダッシュ系の選手に手も足も出なかった。したがってこのあと山崎が勝ち続けるためには、さらに長い距離を踏めるような競走ができるかどうかにかかっている。

少なくとも400では1周半、500では1周といった形で常時駆けられるようならばまず、他の選手は手も足も出まい。つまり、往年の名選手である高原永伍や、滝澤正光のような走りができるかどうかにかかっているわけだが、そのようにできるならば、今後もいくつでもタイトルの量産は可能だと思う。

しかしながら、常に同期では先陣を切る活躍ぶりを見せていた武田豊樹よりも先にG2やG1も制覇してしまった。おそるべき新人、山崎。世代交代が叫ばれる競輪界のリーダー的存在として今後も君臨することになろう。

佐藤はわずかに及ばず2つ目のG1タイトルを逸したが、あまりにも後ろを警戒しすぎたこともタイヤ差及ばなかった原因と見られる。

とりわけ2回目の振り返りは「余分」。1回見てしまえば、かかりきったときの山崎の強さというのは、同門の先輩である佐藤ならば十分分かっていたはずであり、あとはいかにして山崎を差すかを考えるべきであったはず。

絶好のチャンスを逃す形となり、その分、今後に影響が出なければいいと考えるわけだが・・・


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安田記念回顧

2006-06-06 02:17:09 | 大レース回顧集

第56回安田記念が4日、東京競馬場で行われた。

単勝1番人気は17・オレハマッテルゼで、5.7倍。2番人気は1・ダイワメジャー、5.8倍、3番人気は香港の4・ブリッシュラックで6.4倍、4番人気は2・ダンスインザムードで7.3倍、5番人気は3・テレグノシスで7.4倍、6番人気は11・カンパニーで8.5倍、7番人気は6・ハットトリックで9.7倍。10倍以下の単勝人気は以上7頭であり、上位拮抗の様相に思われた。しかし・・・

スタートでオレハマッテルゼがポンと飛び出しいいスタートを切ったかに思われた。それを制して5・メイショウボーラーがハナを奪い、9・ローエングリンが追う。その後ろはかたまりがいくつかできて、3番手集団にダイワメジャーがつけ、オレハマッテルゼもこの集団のグループ。ブリッシュラックはほとんど中団グループの内側につけ、その集団にカンパニーもいた。さらにその後ろのグループにはダンスインザムード、16・ジョイフルウイナーが入り、後方から3頭目に15・アサクサデンエン。そしてテレグノシスは最後方の集団。

大欅を通過するあたりではかなり固まり、どこの集団からでも来れるような感じ。そんな中から、オレハマッテルゼがいい感じで外を向いてあがってきたように感じたが・・・

直線に入って一旦は11・インセンティブガイが先頭に立ったが、馬場の真ん中を突いてブリッシュラックが一気に先頭。一方、オレハマッテルゼはズルズルと後退。これに対して最内を突くダイワメジャーに、外からジョイフルウイナーが2番手争いと思いきや、大外を回って昨年の覇者・アサクサデンエンが伸びてきて2着争いは大混戦。

しかしブリッシュラックは他を突き放して1着。アジアマイルチャレンジの総合ポイントで1位となり、100万ドルのボーナスも合わせて獲得した。2着には最後の最後でジョイフルウイナーを交わした今回10番人気のアサクサデンエンが入り大波乱。ダイワメジャーは4着、オレハマッテルゼは10着と大敗した。

昨年の香港マイルにおいて1番人気に支持されたブリッシュラック(牛精福星)。香港の超特急・サイレントウイットネスにはじめての黒星をつけた馬としても有名であるが、そのときは直線で伸びきれず、ハットトリックの末脚の前に4着と屈した。

その後はドバイ遠征などを経て先月7日に行われたチャンピオンズマイルを連覇。今回の安田記念にも出走したジョイフルウイナー以下を一蹴したばかりか、9着に終わったサイレントウイットネスに東京行きを断念させる会心のレースを見せた。

今回の来日では、当然アジアマイルチャレンジの最終戦となる安田記念を制覇してアジアマイル王者に輝くことしか眼中になく、自信をもっての参戦。また、ハットトリックやアサクサデンエンといった馬たちとはシャティンやドバイで対戦しており、手の内も分かっていた。

しかし、レース直前に発汗が著しく、ゲート入りに戸惑う場面も。一抹の不安も感じられたが、競馬になってからはスムーズな動きができ、馬ごみを縫うようにして坂下で一気に決着をつけた。

また、今回は前にいた馬が平均ペース以上で駆けてくれたことも勝因だったかも。香港マイルのときは流れに終始乗れず、逆に前にいた馬のペースにまんまと乗せられたばかりか、じっくり脚をためていたハットトリックの末脚に屈した。だが、今回は前にいた馬が総崩れとなった。時計が速いレースだとこの馬の真価が発揮されるのかも。

ところでブリッシュラックは昨年の安田記念にも出走した(4着)が、最後の直線だけで一気に伸びてきた。長い脚が使える東京向きの馬であったともいえるわけで、地元での敗戦をここで返したことにもなる。

セン馬なだけにこれからも競走生活を続けることだろうし、当然今度は香港マイル制覇が第一目標であろう。そこで迎え撃つ日本勢を「返り討ち」にすることを今から主眼において調整が進められることであろう。

アサクサデンエンは海外遠征時は体調に不安を抱えていたが、ここにきてその不安もほとんどなくなり、前年優勝時の体調がほぼ戻ってきた感があった。

今回もまた、直線で一気に脚をためて末脚を爆発させた格好。マイルのスペシャリストの片鱗をみせつけた。

ジョイフルウイナーもいい脚を駆使して伸びてきたが、最後はアサクサデンエンに2着争いで破れた。

ダイワメジャーは一時は先頭に踊り出る勢いであったが、追い比べとなった時点で完全に上位3頭との決め手の差が現れた。

オレハマッテルゼは道中すごくいい感じの競馬ができ、一時は安田記念もこの馬で仕方ないという感もしたが、直線に入ってサッパリ。予想以上の速い流れに脚をなくしてしまったのか?

コメント (8)
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