中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

ライ麦畑

2008-11-20 22:40:53 | 読書
 「食堂を出たときには、でも、気持ちよかったな。地面の上に、雪が3インチばかし積もってさ、しかもまだ、気違いみたいに降ってくるんだ。すごくきれいだったよ。僕たちはみんな、雪投げをやったり、メチャクチャにふざけちらしたんだ。てんで子供っぽいんだけどさ、でも、みんなほんとに喜んでたな。」

 サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」のワンシーンです。若い頃は、雪が降るとわけもなく、なんか楽しいようなウキウキしたような気持ちになったものです。今は違いますが…。

 今朝、息子と共に窓を開けたら街が真っ白で、息子はテンションが上がって喜びましたが、自分は「何これ…どうすんの…」。まだタイヤ替えてないし。今年はいきなり来ましたね。

 「ライ麦畑~」は大好きな小説です。若さゆえのセンチメンタリズムや、大人への不信感が本当にリアルによく書かれてると思います。

 「僕は窓のとこへ行って、窓をあけると、素手で雪球を握ったんだ。握るのにもってこいの雪だったな。しかし、僕は、そいつを何にもぶっつけなかった。ぶっつけかけはしたんだ。道路の向こう側に停まってた車にね。ところが気が変わったんだ。その車があんまり白くてきれいでね。次は消火栓にぶっつけようとした。ところが、これがまた、実に白くてきれいなんだな。それでとうとう、何にもぶっつけなかったのさ。どうしたかっていうと、そのまま窓をしめて、その雪球を、もっと堅く握りしめながら、部屋の中をぐるぐる歩いただけなんだ。バスに乗ったときも、まだ僕はそいつを持っていたんだ。運転手がドアを開けて、僕にそいつをすてさせやがった。僕はひとにぶつけるんじゃないって、そう教えてやったんが、信用しないんだな。大人ってのは絶対ひとを信用しないものなんだ。」
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