中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

本物?

2009-07-17 22:33:28 | 旅の空
 「昔の不徳は今日のならわしとなった」 (セネカ)


 さて、最終日は秋田の横手に宿泊してから、今日は雄勝で演奏してから山形に帰ってきました。この旅行中は全国的には暑さが厳しかったようですが、我々は運が良いのか、たまたま涼しい地域や、暑い日(今日のような)には空調の効いたホールでの演奏会だったりと、暑さの直撃を受けずに、今年度前半のスクールコンサートを終えることができました。「運も実力のうち」…意味もなく前向きで行きます。(少々疲れているのは隠し切れない)。

 秋田からの帰り道、山形県の尾花沢の「道の駅」で昼食。なんとなくひかれて「モツ煮」を頂きましたが、やはり山形の味付けは安心します。味覚も山形県民になってきたのかな?新鮮な野菜の旨みと、しっかりして臭みのないモツが美味しくて、「あぁ、早く家に帰って飲もうっ」という気になります。(昼間から「モツ煮」なんて注文してる時点で、問題を感じないこともないが…)。


 昨日は横手の宿の近くで飲みましたが、横手と言えば「横手焼きそば」、焼きそばが名物です。焼きそばがある居酒屋を、極めて「てきとー」にチョイス。少々疲れていたものですから。でもこれが良くなかった…。

 「焼きそば」自体はまあまあ。そもそも、焼きそばの味の違いにうるさくないせいか(って言うかそんな人、世の中にたくさんいるんですか?)、焼きそばの味は「こんな感じかな」。なかなか美味しいが、「この焼きそばを食べに横手に行きたいっ」と思うほどではない。普通に「美味しい焼きそばだな」と。

 しかし、そこの店主がうるさい。「ここらで本物の横手焼きそばを出してるのはうちと○○の二件だけだ」から始まって、「横手焼きそばっていうのは、炒めないところがポイントで、炒めた時点でまがいものだ」とか「麺の太さは~で、それは決まりで定められているから、それ以外は横手風とは言えない」などと、もう止まらない。(旅行で来たんですけど、これがうわさの横手焼きそばですか。などと話をふってしまったことを後悔)。

 いい加減うるさくなってきたので、比内地鶏を食べていたら「この比内地鶏も、きちんと産地と契約してしてるのはこの辺ではウチだけですよ。まがい物が多くてね。」

 …食品偽装が多い昨今、確かに「ウチは本物だ」と言いたい気持ちはよくわかりますが、ただ単に「美味しいものを食べたい」旅行客にそこまでウンチクから何から語られると、ちょっとげんなり。あんまり言葉が多いと、「そこまで偉そうにするほどの味かな…」などと、逆の感情を持ってしまうということもあるのに気づかないんでしょうか?「まずくてもいいから本物が食べたい!」という人よりも「何から何まで本物とは言えなくても、美味しいものが食べたい」という人の方が多いんじゃないでしょうか?

 横手の焼きそばは、もともと「駄菓子屋」のような所で、子供のおやつのためにできたようなもので、駄菓子屋には麺を炒めるような設備がなかったから、炒められなかったのだ、とも言っていました。ということは、設備さえあれば炒めていたはずですよね、その方が美味しいから。であれば、その設備が整った現在にそれを忠実に再現する人にとって、それは「考古学的」な意味はあるかも知れませんが、一般の「美味しいものが食べたい」客のことは二の次な感じがします。「古楽ばやり」の音楽業界も、考えなければいけないことがあるんじゃないでしょうか?時代と共に、「その方が良いから」変わってきた部分もあるわけですから。

 
 今朝、昨夜別行動をしていたらびお氏が、「よく炒めてあって美味しい横手焼きそばの店があったよ」と。
 「それは本物じゃないっ!」と言う気はおきませんでした。良いじゃないですか…それで。

 
コメント (2)
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