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「黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2」 奥泉光

2015年05月09日 | 本(ミステリ)
クワコーの夏

黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2 (文春文庫)
奥泉 光
文藝春秋


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夏。
文芸部の女子学生を引き連れて海に合宿へ赴いた桑潟幸一准教授に怪事件が降りかかる。
女子部員の水着が消失、羽衣伝説のある岩で発見されたのだ。
日頃の行ないゆえ、容疑はクワコーに!
表題作と、答案用紙消失の謎をめぐる「期末テストの怪」を収録。
笑いの地雷を敷きつめた傑作ユーモア・ミステリ。


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でました、クワコー第二弾。
クワコーこと桑潟幸一准教授。
千葉県権田市「たらちね国際大学」勤務。
40歳。独身。
給料月額手取り110,350円。


そうそう、思い出しました。
あまりの給料の少なさに、食費を切り詰めるべく
極力安くスーパーの品を買いもとめ、
工夫して自炊していたりする、
いじましくもなかなか器用なクワコーなのでした。


今回は、試験の解答用紙紛失の謎と、
文芸部が海へ合宿に行った際に起こる水着消失の事件、
二つの短編が収められています。
やはり謎をとくのはクワコーではなく、
あの、ホームレス女子大生ジンジン。
しかし、そもそもこの「たらちね国際大学」にはろくな教授陣が揃っておらず、
クワコーなどまだましな方に思えてくるから不思議です。
意外と、文芸部の学生たちには大事にされていますよね。
というかおもちゃにされているのかもしれないけれど、
少なくとも嫌われてはいないような・・・?


私はモンジくんのしゃべりにいちいちウケてしまいます。
実際目の前にこんな喋り方をするやつがいたら
イライラして蹴飛ばしたくなるかもしれないけれど・・・。


また、これまでザリガニなど食べてみたいなどと思ったこともないのですが、
クワコーの食べ方を読むうちになんだか食べてみたくなってしまいました。
クワコーの清貧な食事風景。
これもまた本作の魅力の一つなのであります。


「黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2」
奥泉光 文春文庫

満足度★★★★☆


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