映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

団地

2016年07月16日 | 映画(た行)
しみじみいい味の夫婦と、人間離れ(?)した青年と。



* * * * * * * * * *

わけあって三代続いた漢方薬の店を売り払い、
団地へ越してきた清治(岸部一徳)とヒナ子(藤山直美)。
清治は暇さえあれば近所の林の散歩。
ヒナ子は、パートの仕事。
仲良く、といいますか、二人でいるのがごく自然という、
まさに長年連れ添った夫婦の味わいですね。
ところがあるとき、清治は団地の奥様方が清治の陰口をウワサしているのを耳にしてしまいます。
頭にきた清治は、帰るなり「死んだことにしてくれ」と床下の収納庫へ潜り込んでしまいます。
でもまあ狭い収納庫に一日中こもっていることはできません。
とにかく家から出ないことにして、
誰かが来た時にだけ、潜りこむことにしたんですね。
さて、それから数ヶ月、
団地の皆さんは清治の姿が全然見えないことに不信を覚え始めます。
奥さんの方は、何食わぬ顔でこれまでどおり暮らしているのですが・・・。
誰かが、「清治さんは奥さんに殺されたのではないか」と言い始めると、
皆つられたように妄想を膨らませ始めます。
死体はバラバラにして、凍らせたのではないか。
何処かへ捨てるつもりなのではないか・・・。
さて、そんな騒ぎもどこ吹く風、平和に暮らしている夫婦のもとに、
スーツを着た青年・真城(斎藤工)が訪ねてきます。
清治に5000人分の漢方薬を作って欲しいというのですが・・・。



さて、これは一体どういう話なのか? 
団地の中の誤解と妄想の大騒ぎ。
もちろんそれはあるのですが、実は本題はそうではなく・・・。
真城の、どうにもヘンテコでトンチンカンな日本語にまず笑ってしまうのですが、
どうもそれは彼のボケというわけでもなさそう、
では何・・・?という辺りをヒントに、
なんと、本作のこの序盤まででは全く予想もつかなかった方向へ、話は展開していくのです。
唖然としてしまいました・・・・!



それにしても実に、この夫婦の妙。
信頼し合いながらもどこか辛辣な物言い。
物静かだけれども意地もある。
二人の共通の悲哀が一層絆を深めてもいる。
いい味出てます~。
完璧です。
そして斎藤工の何やら人間離れした会話や物腰。
これがまた楽しい!! 
この3人の会話を私はいつまでも聞いていたい!!


ものすご~く、ユニークで楽しめる作品。おススメです。

「団地」
2016年/日本/103分
監督・脚本:阪本順治
出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工
あっと驚く展開度★★★★★
夫婦の実感度★★★★★
満足度★★★★☆


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