映画と本の『たんぽぽ館』

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十三人の刺客

2011年07月18日 | 映画(さ行)
太平の世で行き場をなくした男たち



           * * * * * * * *

片岡知恵蔵主演工藤英一監督による同作品のリメイク。
まあ、そちらは見たことはありませんが、
三池崇史監督により、見事に迫力ある現代の時代劇となっています。


江戸時代末期。
明石藩主松平斉韶は残虐な殺戮を好み、暴政を行っていた。
これがなんと稲垣吾郎さん。
頽廃の極みといいますか、まともに生きる気力も無く、
ただ楽しみのために人を殺す。
心が病んでいますね。
でもそんなところが非常に現代風でもある。
ゴローちゃん、好演です。
さて、この危険な男が現将軍の弟ということで、
今度老中の職に就くという。
このままでは政は乱れ人民が苦しむことになるだろう・・・ということで、
密かに斉韶暗殺の計画がおこるのです。
この役に当たったのが、お目付役島田新左衛門(役所広司)。
彼はこの計画に荷担する侍12名を集めた。
一方、斉韶を守る役目は、かつて新左衛門と同じ剣の一門にいた鬼頭半兵衛(市村正親)。
彼は斉韶の行いをよくは思っていないのですが、
主を守ることこそ武士の勤めと信じている。
チャンスは、斉韶が参勤交代で江戸から明石へ戻る間のみ。
新左衛門の一行はある宿場町を買い切り、斉韶等を待ち受ける。
しかし、彼らがその宿場を通るかどうかは、一か八かの賭のようなもの。
さあ、どうなる・・・?



刺客の人数は12人。
あれ?13人のはずでは・・・。
きっと13人目はユニークな現れ方をする。
・・・予想違わず、13人目は山の中で加わります。
彼は侍ではなく、全くの野人(伊勢谷友介)。
・・・というか野猿?
その野性的敏捷さ・たくましさが、彼らの大きな力となります。


それにしても片や300名に近い軍勢に対し、刺客は13人。
圧倒的に不利ながら、壮絶な死闘が繰り広げられます。
50分間、血の嵐。
映像は渋く壮絶。
けれどここがやはり三池監督。
エンタテイメント性も忘れず、
そういうところで実に、見させられてしまう作品でした。



長く続いた太平の世で、実戦経験のない武士たち。
彼ら双方、行き場のない自らの獣性をもてあましていた・・・、
そんな風にも思えます。
斉韶は逃げ惑いながらもいいますね。
生きていた中で今日が一番面白かった、と。
こんな行き所のないエネルギーが
幕末から明治へと向かって爆発したのかも。



十三人の刺客 通常版 [DVD]
役所広司,山田孝之,伊勢谷友介,伊原剛志,松方弘樹
東宝


「十三人の刺客」
2010年/日本/141分
監督:三池崇史
出演:役所広司、山田孝之、松方弘樹、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、伊原剛志、松本幸四郎、稲垣吾郎、岸部一徳


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