映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう

2024年03月16日 | 映画(さ行)

とある街の日常で巻き起こるファンタジー

* * * * * * * * * * * *

ヨーロッパの桃源郷と言われるジョージアの古都、クタイシ。

街中で、本を落としたリザとすれ違いざまにそれを拾ったギオルギは、
夜の道で偶然にも再会します。
2人は互いの名前も連絡先も聞かないまま、
翌日白い橋の近くにあるカフェで逢う約束をします。

しかし翌朝、彼らは邪悪な呪いによって、外見を変えられてしまうのです!!

穏やかで美しい日常の風景をずっととらえて行きつつ、この展開にはちょっと驚かされます。
いきなり、ファンタジー?!

2人は外見が変わっただけではなくて、
それぞれのスキルまでも奪われてしまいます。

リザは薬剤師としての知識。

ギオルギはサッカー選手としての才能。

外観が変わってしまった2人は、相手も姿が変わっていることを知らず、
約束のカフェで互いを待ち続けますが、
当然、巡り会うことはできません。

さて、能力を失った2人はこれまでの仕事を続けることができず、
リザはこのカフェでアイスクリームを売る仕事に、
ギオルギはカフェの近くでおかしな商売の仕事につきます。
顔見知りとなった2人は、次第に親しくなっていって・・・。

まあ、なんとなく結末は予想がつくファンタジックなラブストーリー。
でも最後にどうやって2人が互いを運命の相手と気がつくのか、
というところがミソであります。

さて、本作全編がこの穏やかで美しい街中でストーリーが進んでいきます。
町の人々の日常がじっくりと描き出されます。
折しも、サッカーのワールドカップが開かれている時期。
子供たちがサッカーを楽しんだり、
カフェのプロジェクターで人々がサッカー観戦を楽しんだり。
この町の舞台自体が素晴らしい雰囲気を醸し出していて、
こんな街でなら、不思議な出来事も起こるかも・・・という気もしてきます。

ジョージア・・・。
いや、そもそもジョージアってどこ?という地理音痴の私。
えーと、ヨーロッパの東端であり、アジアの西端でもあるというくらいの位置。
かつてロシアやソ連に長く支配されていて、
ソ連崩壊時にグルジアとして独立した場所。
しかしその後また、ロシアの侵攻があったりして、
地域により政情が安定していないようです。
ウクライナと同じくロシアとの関係で長く辛酸をなめてきたのですね。
そのような長い歴史の上に成り立つこの街。
なるほど、魔法の力が宿るというのにも説得力を感じてきました。

ごくごく日常の舞台でありながら、巻き起こるファンタジー。
ステキです。

白い橋のカフェの店長さんが、いかにも人が良さそうで好きです。

<WOWOW視聴にて>

「ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう」

2021年/ドイツ・ジョージア/150分

監督・脚本:アレクサンドレ・コベリゼ

出演:ギオルギ・アンブロラゼ、オリコ・バルバカゼ、ギオルギ・ボチョリシビリ、
   アニ・カルカラゼ、バフタング・パンチェリゼ

日常度★★★★☆

ファンタジー度★★★★★



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