狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

宮城晴美氏の苦悩・最終章-母の勇気も、人生の師も捨てて

2008-06-04 07:05:30 | ★集団自決

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沖縄「集団自決」の大きな争点は「軍命令の有無」の一点に尽きる。

軍の命令とは、必ずしも文書による命令書の存在を意味せず、例え口頭であっても当時の戦隊長から発せられた命令を聞いたという客観的証言が一つでもあれば、この論争は一気に決着に向かうだろう。

だが、現在のところ隊長が命令を下したという客観的証言は皆無である。

巷に流布する「隊長命令」とされる証言は全て伝聞であり、それを基に命令があった、と類推するものばかりである。

当初から「結論ありき」で裁判に臨んだ大阪地裁の深見裁判長が、「推認」という苦し紛れの述語で被告側全面勝訴に持ちこんだ理由もここにある。

何しろ物的証拠がなく、証言にのみ頼らざるを得ない裁判において、類推による証言を根拠に、被告側を勝訴にするには「推認」するしか手がなかったのだ。

目的のために手段を選ばないというのは、深見裁判長の判決をさして言う。

 

これほど裁判長を苦しめた「軍命」がが、裁判が提訴される以前は、宮城晴美氏は、自著は勿論、地元紙の対談等でも「隊長命令はなかった」と気軽にというか、頻繁に語っている。

ここに「沖縄集団自決冤罪訴訟」が提訴される以前の2005年に、沖縄タイムス紙上で行った対談記事がある。

<2005年6月10日 沖縄タイムス 朝刊15面>

[座談会・戦争と記憶―戦後60年](5)
集団自決

証言者の表現大事に・宮城
共有することが大切・比嘉
当事者の矛盾に思い・屋嘉比

(略)

 屋嘉比収 「自由主義史観」の問題でいえば、宮城さんは母親さえも告発しなければいけないような思いで『母が遺したもの』を書いたという。自由主義史観の人たちが、宮城さんの本の中から「隊長の軍命はなかった」という部分だけを取り上げて「集団自決」はなかったと矮小化した。それに対して、宮城さんの書き方も問題だったんじゃないか、という指摘もある。しかし、自由主義史観の人たちが、一部だけを取り上げて矮小化したことが問題なのであって、母親を告発する覚悟で書いた宮城さんを批判するのは向かう矛先が間違っている。

 宮城 隊長の命令がなかったと証言したために、母は島で攻撃を受けた。それから母はすごく落ち込んで、結局はがんで亡くなってしまうが。母は歴史を曲げてきたという思いがあって隊長が生きている間に、きちんとしたいという思いがあった。

 私は、隊長の命令はなかったと書いたが、その本には当時島がどういう状態であったかも具体的に書いてある。それを読めば、読者は、島の人たちが勝手に死んでいったとは思わないはず。「玉砕するから集まれ」と各壕を回る伝令の役場職員がいて、彼が来たことで、島の人は隊長命令だと思った。それまで陣地を構築するとか、食糧増産など島の人を集めるときはその伝令が来たから。激しい砲弾の中で伝令が来たことは、隊長の命令だと島人に理解された。しかし、命令があったかどうかというより、皇民化教育は国のためには「死」を惜しまないことを教えており、「集団自決」は敵を目前にした住民の必然的な行為だった、つまり国家によって殺されたといえる。

 命令しなかったという隊長はそれじゃ許されるのかというと、そうではない。彼の戦後の生き方が問題だ。自分の身の“潔白”を証明しようと、手段を選ばず、えげつない方法をとってきた。(略)

                        ◇

宮城晴美氏は、対談の中でも「隊長命令はなかった」と繰り返し発言しながら、その一方では

「自著の一部を取って矮小化している」とか、

命令があったかどうかというより皇民化教育」の問題だとか、

命令しなかったという隊長はそれじゃ許されるのか」だとか、

左翼特有の論点ずらしというか、まるでピンと外れの発言を連発している。

ところが昨年の証人尋問の一ヶ月前になって突然、これまでの主張を変え、それだけに留まらず自著『母の遺したもの』までも書き換えてしまった。

ジャーナリスト鴨野守氏の渾身のレポート「沖縄戦「集団自決」から62年 真実の攻防 第2部」より 「宮城晴美氏の苦悩」最終章を下記に抜粋引用します。

平成19年10月29日
真実の攻防 沖縄戦「集団自決」から62年 第2部 <6>

宮城晴美氏の苦悩(4)-母の勇気も、人生の師も捨てて 
不自然な「決定的証言」
 慎重に、日本兵が潜んでいそうな地下壕を調べる米海兵隊員=1945年4月1日(米軍撮影、沖縄県立公文書館所蔵)  (写真省略)


 宮城晴美氏(57)が『母の遺したもの』で梅澤隊長の自決命令はなかったという立場から、自決命令が「あったかどうかわからない」という立場に変わったのは今年六月の宮平春子さん(80)の証言を聞いたからだと言われました、と原告の徳永信一弁護士が言及した時だ。
 大阪地裁の深見敏正裁判長が思わず質問した。「前提として春子さんの証言を聞いたから考えを変えたということでいいんですか」と。

 「はい」と宮城氏は肯定した。今までの考えを覆す決定的な証言だという。最後に原告の松本藤一弁護士が、宮平さんは『母の遺したもの』で自決命令を出したと書いた宮里盛秀助役(当時)の妹という立場だから、その身内の言葉が本当かどうか検証するためにどうしたのか、と問うた。

 すると宮城氏は「春子さんは、自分の兄を救うために決してうそを言ってああいう言葉を言ったわけじゃないです」「彼女が証言したことだけで、私は十分信頼に値すると思っています」と、少し語気を荒くして反論した。

 これと同じ内容の言葉を、かつて沖縄タイムス紙上で作家、曽野綾子氏と自決命令の有無をめぐって論戦した太田良博氏が語っている。「生死の境をくぐってきたばかりの人たちの証言として重くみた」という発言だ。太田氏は、あとに残るのは、赤松氏の言葉を信じるか、渡嘉敷島の住民の言葉を信じるかという問題であると言い、「私は赤松の言葉を信用しない。したがって、赤松証言に重きをおいて書かれた『ある神話の背景』を信じるわけにはいかない。渡嘉敷島の住民の証言に重きをおいた『鉄の暴風』の記述は改訂する必要はないと考えている」という乱暴な展開を主張するのであるが。

 春子さんが、兄の宮里助役から「軍からの命令で敵が上陸してきたら玉砕するように言われている」という発言を聞いたのは確かだろう。だが肝心な点は、その宮里氏の発言にウソがないかどうか、である。その質問に、「彼女が証言したことだけで、私は十分信頼に値すると思っています」と突っぱねた宮城氏。

 しかし、この発言で宮城氏の「人生の師」である作家、澤地久枝さんをも裏切ったように思われる。

 『母が遺したもの』によれば、宮城氏の原稿に三度も目を通してアドバイスをしたのが、澤地氏であった。自宅を訪ねて手料理でもてなしてくれたり、本のタイトルまで付けてくれたという。

 <澤地さんからは、言葉の使い方をはじめとして「証言」を鵜呑みにせずに事実を確認すること、一つの事象を記述するのに、どんなに些細なことでもそれに関連するあらゆるできごとをびっしりおさえることなど、多くのことを学びました>

 集団自決問題は宮城氏にとって学生時代から三十年かけてのライフワークであったはず。それを母の証言を決め手として、ようやく書き上げたのが『母が遺したもの』だった。

 その後書きに「座間味島の“戦争”を語りつづけ、“真実”を証言した母の勇気をムダにはしたくないという思いから原稿を書きはじめた」と胸中を吐露している。

 そんな母の勇気と、自らの長年の努力を、たった一人の証言で捨ててよいのか。今、明らかになっている陳述書などによれば、宮平春子さんは今年四月二十日、二十一日に座間味島で被告の秋山幹男弁護士に、当時の内容を証言し、五月十日付でその陳述書にサインをしている。

 普通なら、被告側の新しい情報や陳述書の中身を即座に細かく報道してきた沖縄タイムスが、この時ばかりは報道を控えている。タイムスが春子証言を大々的に扱ったのは七月に入ってからだ。その間に、宮城晴美氏が六月二十四日に春子さんに取材して、六月二十七日付で陳述書を提出している。

 被告側と宮城晴美氏、さらに地元関係者を巻き込み、春子証言を「決定的証言」に仕立て上げようというストーリーを作ったのは果たして誰なのか。

 宮城晴美氏は、母の遺言とも言えるノート、自身の著書の中心的な記述、そして人生の師さえも今回の証言で捨てたと原告側はみている。では、それと引き換えに宮城氏は何を獲得できたであろうか。

 彼女は今、著書を書き直す途中だというが、その内幕を書いた「本当の証言」を読んでみたい。

(編集委員・鴨野 守)

(本紙10月28日掲載)

                       ◇

控訴審の第一回期日が三週間後に迫ってきました。(6月25日)


沖縄集団自決冤罪訴訟 控訴審 第一回期日

大阪高等裁判所

6月25日(水)午後2時より

裁判の進行に興味のある方は、知識整理のため下記エントリーをご参照下さい。
  

関連エントリー: 

宮城晴美氏の苦悩(3)-かつて「命令はない」と確信

宮城晴美氏の苦悩(2)-真実味ない「決定的証言」

宮城晴美氏の苦悩(1)-母から託された「真実」を本に

宮城晴美氏がカミングアウト!「軍命派」の作戦変更

 

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