ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

社会崩壊! 日本もアメリカのような格差社会へ

2009年02月04日 | 時事問題
朝日新聞 2009年2月4日1時43分
派遣切られ「強盗して逮捕されれば食料困らぬ」 
 「強盗しようとしたが怖くなった」と自分で110番通報した男が3日、刃渡り16センチの包丁を携帯していたとして、銃刀法違反(刃物の携帯)の疑いで福岡県警に現行犯逮捕された。小倉南署によると、男は「派遣の契約を切られた。逮捕されれば寝る場所と食べ物に困らないと思った」と話しているといい、逮捕時の所持金は11円だった。

資本主義社会の利潤の配分がバランスを失った時、格差が極端となって社会は崩壊する
その経済社会を支えてきた市民生活の中庸クラスの安定が社会の安定につながり、その安定がなくなった時には社会はタガの外れた桶のように分解する。だから中流を破壊する格差社会を推進する構造改革派の政策は危険極まりないのである。小泉政権はアメリカのグローバル化要請に忠実に答えて、規制緩和によって国民のセーフティーネットをズタズタに切り裂いた。「総中流社会」から「格差社会」の時代に突入した。資本主義の利潤(富の生産)を労働側と資本側でできるだけ公平に配分できれば、中流は安定です。利潤を独占資本の一極に収奪しようとするから、格差社会と云う貧乏社会に陥るのである。

読書ノート 高橋洋一著 「さらば財務省!」 講談社

2009年02月04日 | 書評
財務原理主義から増税・大きな政府を図る財務省 第9回

旧大蔵省時代ー財政投融資改革、米国留学時代(1980年4月-2001年7月)(2)

 高橋氏は東大理学部数学科から経済学部卒業で、ほんとうは数理統計・経済関係の学者になりたかったという。軽い気持ちで受けたパズルのような公務員試験に合格して旧大蔵省に入所したのが1979年であった。1982年に財政金融研究所勤務となり、ここで運命的な竹中平蔵氏と云うエコノミストに出会う。竹中氏は旧日本開発銀行からの出向であった。キャリアーとして高橋氏は1985年香川県にある観音寺税務署長に赴任した。あまりに閑なので金融工学を勉強したらしい。1986年公正取引委員会課長補佐として東京に戻った。東京証券所の固定手数料をカルテルだといって上限を設けた手数料に改めさせた。そして1988年に大蔵省証券局に戻る。そこで投資顧問業の違法行為に対して登録取り消しに行政処分を行っていたが、1991年7月理財局資金運用部に移った。定額郵便貯金の金利計算は難しいものらしく、高橋氏は数学科出身で数値に強いので局内のものは誰も理解できなかったらしい。1997年橋本龍太郎内閣は財政投融資改革を断行するが、その前には大蔵省内で、郵便貯金や年金積立金の預託金400兆円という大金を貸し付けるリスク管理がどんぶり勘定で行われていた。民間金融機関ではすでに広く行われていた金利のギャップによるリスク管理のソフトであるALM(資産・負債の総合管理)を導入していた。ALM手法で大蔵省の財投リスク管理問題を解析し問題点を論文にまとめた。1993年7月には大臣官房金融検査部に移り、日本長期信用銀行を初めとする不良債権問題に取り組んだ。その時財投の金利リスク問題が理財局トップの知るところとなって、1994年7月再び理財局に呼び戻され、ALMプロジェクトを手がける事になった。日銀と大蔵省の暗闘が絡んでいたようで、大蔵省の金利リスク管理の不安を日銀が衝いてきたのである。そこで極秘にALMシステムの構築を命じられ3ヶ月でこれを遂行した。財投の入金に当る預託金制度を廃止して、債券発行にすれば金利ギャップはいかにも調整がつくのである。預託金廃止について大蔵省内部では猛反対であったが、1996年に理財局長は預託金制度廃止に踏み切った。財投改革の第一歩となった。

そして橋本龍太郎内閣は1997年に財投改革をおこなった。これによって大蔵省は財投金利リスクから解放され生き残ることができた。この財投改革によって郵政公社は国債以外に自由に郵貯を運用するには、必然的に民営化する以外に生きる道はないことになった。財投改革の出口である投資先の特殊法人改革が次のスケジュールに登場する。ほんとうに投資する価値のある事業をしているのかどうかという「政策コスト分析」を手がけた。道路公団を精査すると、主計局が詳細な報告義務を5年しか求めていないため、5年を過ぎると道路公団は補助金の額を上げてくるのである。プロジェクト全期間の補助金額を決めるように求めたが主計局は反発した。高橋氏は1998年より米国プリンストン大学に留学した。そこで米国の学者より日銀の金融政策批判を聞かされた。日銀が通貨量(ハイパワーマネー)を抑制しながら金利ゼロ政策を解除するのは馬鹿だというのである。日銀の超デフレ政策は海外でも有名でこれでは日本経済は壊滅すると指摘されたようだ。2001年7月に三年間の留学を終えて帰国すると待っていたのは、国土交通省特別調整課長という左遷ポストであった。長年の高橋氏の上部・他の部局に対する歯に衣を着せぬ批判が嫌われたためである。 (続く)


医療問題 「現場からの医療改革レポート」 JMM 編集長村上龍

2009年02月04日 | 書評
絶望の中の希望ー現場の医師は「医療崩壊」の現状をネットに訴える 第1回

序(1)

 2003年ごろより、地方病院の赤字化や廃止という内容で「医療崩壊」という報道が出るようになった。そして昨今ではメディアの報道は健康保険制度を含む医療体制全体の崩壊という意味が強くなっている。「医療崩壊」という現象には色々な側面があり、「医療事故」からくる「医療不信」、臓器移植・インフォームドコンセントなどの「医療倫理」、「医師の絶対不足」、「産科・小児科から医師が逃げる」問題、「救急患者のたらいまわし」、そして最期には「健康保険料値上げ・医療保険点数切り下げ・薬価切り下げ」などの経済問題と厚生労働省政策などが絡んでいる。私はこれまで本コーナーで永田 宏著 「医師不足が招く医療崩壊」や 真野俊樹著 「入門 医療経済学」 をとりあげて、医療崩壊の実態や対策の現状を紹介してきた。しかし事態は改善の方向に向うより、ますます昏迷を深めているように思われる。情況を整理してみよう。  (続く)




自作漢詩 「立春」

2009年02月04日 | 漢詩・自由詩
立春吟宴不堪     立春の吟宴 題するに堪えず

料峭園林緑未     料峭たり園林 緑未だ斉しからず

白髪愧躯蒼欝欝     白髪躯を愧じて 蒼欝欝

紅梅惜吐晩凄     紅梅吐くを惜んで 晩凄凄

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(赤い字は韻:八斉 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD  今日の一枚 バッハ 「教会カンタータ全集 第2卷 CD-10」

2009年02月04日 | 音楽
バッハ 「教会カンタータ全集 第2卷 CD-10」
ニコラス・アーノンクール指揮 コンツェンタス・ムジカス・ウイーン
ウイーン合唱団とソリスト アルト:ポール・エスウッド テノール:クルト・エクイルーズ バス:マックス・フォン・エグモンド
ADD 1974 TELDEC

「喜べ、救われし群れよ」 BWV30
「天は笑い、地は歓呼す」 BWV31