先付は白子豆腐の柚子釜仕立て。河豚の白子で作成したお豆腐とは何とも贅沢である。そして柚子を丸ごと一個使っているが、中身は使い回さず捨てているから金がかかる訳だ。次の煮椀は、「寒鰤のみぞれ仕立て」で慈姑も入っていた。ダシは残らず飲み干した。室内照度は明るいものの、相変わらずいい感じのボケ感たっぷりの写真を撮ってくれるニコンD810。このカメラを一度手にしたら、C社やS社の中級カメラ何て馬鹿らしくなって来る。ニコン中毒、ニコン信者が現れる訳がようやく分かった。ニコンD810を使用するとニコン中毒になる理由は、このカメラのバカチョン性にある。つまりアングルさえ上手く選べば、誰が撮影しても同じようなプロ級の写真に仕上げてくれるからだ。どんなデジイチでもマクロモード(ソニーαシリーズなら花印モード)にしてお料理の写真を撮れば、前ボケ中ピン後ろボケの写真に仕上がるが、ニコンD810の場合は中ピンの合う領域がピンポイント、つまり針の穴程度の小ささなので、一点だけピントが合い、それ以外は全てボカす写真に仕上げてくれる。だからお料理写真は本当に芸術的な作品に仕上がるのだ。だからこのカメラは撮影者の撮影技術は問わないが、撮影者の撮影感性を問う。
御造りは「すみ烏賊の雲丹乗せ、鮪の赤味、天然真鯛の三種盛り。鯛はポン酢に付け、鮪は醤油、そして烏賊は藻塩を付けて食すよう勧められた。焼き物は「天然帆立、車海老、アスパラ、百合根の香油焼き」だが、やや甘味のあるダシの効いた餡がかけられており、極上のお味だ。揚げ物は「車海老の身にジャガイモの衣を被せて揚げた美濃揚げ」である。ほっこりとした車海老の甘味を上手く閉じ込めてあり、くわいチップと青唐辛子の素揚げが添えられていた。やはり日本料理と言うのは、味は勿論だが、見た目はそれ以上に大事である。お料理の見た目の綺麗さは犠牲にしているが味で勝負の所謂家庭料理屋は佐渡にはたくさんある。居酒屋もその一つであるが、そうしたお店で出されるお料理の見た目は、都会に掃いて捨てるほどある居酒屋チェーンのそれであり、全て画一的で高級感に欠ける。世の中に安くて美味いものなどあるはずがなく、安ければそれなりのお料理でしかない。高級な日本料理とは、厳選された旬の高級食材を惜しげもなく使用し、薄味のダシを効かせた味付けで調理し、そして華麗なる盛り付けで客の目を楽しませる、そういう料理の事を言う。炊き合わせは、珍味の鯛子と海老芋の煮物で、オランダ風柚子味噌は板長のお父様の御手製だそうだ。最後に食事前の酢の物が出された。本ずわい蟹、菊、包丁で細かく切れ目を入れた胡瓜、若芽の酢の物である。酢〆加減が抜群で彩も綺麗で写真映えのする一品!お食事は大根のかやくご飯、しじみの赤だし、「奈良漬、胡瓜、蕪」の香の物である。最後のデザートは苺のゼリーで底にはアングレーゼソースが敷かれていた。最後まで一切の手抜きがなく完璧な首尾で文句なしである。税サ込のお代は9936円。お値段相応の殿様気分を味わった筆者は気分よくお席で会計を済ませ、この美味しい高級会席料理のお店「ひのきざか」を後にした。
煮椀
御造り
鯛
鮪
雲丹とすみ烏賊
右からポン酢、醤油、藻塩
焼き物
帆立の貝を除けたら別のアスパラが隠れていた
揚げ物
天ツユ
車海老の身
炊き合わせ
酢の物、菊
胡瓜と蟹
大根かやくご飯
赤だし
香の物
胡瓜には包丁で細かく切れ目を入れてあった
デザート